【クラシックカー募金】素晴らしい! クラシックカー10台が当たる障害のある人を救うためのチャリティ募金

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クラシックカー寄贈キャンペーン: 本命はポルシェ911カレラ!

このクラシックカー寄贈キャンペーンでは、主な賞品として3台のハイライトとなる車を用意している。当選者には、ポルシェ911カレラ(Gモデル)が贈呈される。そして、その次には、2台の「メルセデス ロードスター」がある。

レーベンシルフェ ギーセン(Lebenshilfe Gießen)の第27回「クラシックカー・ファンドレイザー」では、今回、特に魅力的な賞品が用意されている。
「ポルシェ911カレラ “G”」に加え、伝説のメルセデスロードスターが2台出品されている。
また、レーベンシルフェ ギーセンを長年サポートしてきた、TVプレゼンテーターで、TVプロデューサーでもあるギュンター ヤウフ氏は、今回も自身のコレクションから1台を寄贈した。

寄付キャンペーンは1月20日までとなっている。
ラインハルト シャーデは、20年前にクラシックカーの寄贈キャンペーンを開始した。
これによる収益金は、心身にハンディキャップを持つ人々が自立した生活を送れるようにするためのプロジェクトに毎年寄付されている。
障害者と非障害者が一緒に暮らし、働き、学ぶことを確実にすることに尽力している。目的は、障害のある人が、必要なだけの支援を受けながら、可能な限り正常に、自己決定的な生活を生きられるようにすることだ。
第27回募金活動は、2022年1月20日までだ。
参加を希望する人は、
IBANコード: DE38 5135 0025 0200 6260 00、BICコード: SKGIDE5FXXX、Sparkasse Gießen(ギーセン貯蓄銀行)のレーベンシルフェ(Lebenshilfe)の口座に最低5ユーロから寄付できる。
または、
www.oldtimerspendenaktion.de
寄付金から参加できる。

2021年の賞品となる10台のクラシックカー:
1等賞: ポルシェ911カレラ(G型)

走行距離わずか79,028kmのクラシックな「ポルシェ911」は、若い中古車のようなコンディションだ。3.2リッターの排気量から206馬力を発揮し、6気筒ボクサーは240km/hまで加速する。「911カレラ」にはダークブルーの塗装が施され、同色の革張りのインテリアとマッチしている。電動サンルーフ、パワーウィンドウ、ティンテッドガラスなど、ほぼフル装備の「911」だ。元ドライバーのウルリッヒ イェッケル氏はこの「カレラ」を長く所有していたが、今回、クラシックカー基金に寄贈することにした。
大林晃平: やっぱり一位はポルシェなんですね! しかも8万キロしか走っていない911。障害者のために寄贈したウルリッヒ イェッケル氏も立派なら、この企画を立案し、実現したラインハルト シャーデも素晴らしい。

2等賞: メルセデス190 SL

2等賞は1等賞の約2倍の価値を持つ「1962年式メルセデス190SLロードスター」だ。
Photo: Marcus Gloger / AUTO BILD
この1950年代の小型ロードスターは、このシリーズの最も有名な車と同じカラーコンビネーション、ブラックペイントとレッドレザーを兼ね備えている。これは、1957年に何者かに殺害されたフランクフルトのデミモンドの伝説的社交家、ローズマリ ニトリビットが乗っていた車でもある。フランクフルトで起きた事件の5年後、1962年にアメリカで登録され、その後ドイツに帰ってきた個体だ。ここでは、クラシックカー寄贈キャンペーンに引き渡される直前のメルセデスも、入念なレストアを施されている。つまり、この「190」は新品よりも良い状態だということだ。
大林晃平: おそらく今や大変高価な「190SL」。メルセデス・ベンツお得意の?形式名は「W198」。なぜ2台目のSLである「W113」よりもコードネームが大きい数字なのかはナゾ。

3等賞: メルセデスSL(R107)

そして、3等賞も春が来てドライビングするのが待ち遠しくなる、1982年製のメルセデス ロードスター、「SL R107」だ。
Photo: Marcus Gloger / AUTO BILD
2世代前の「メルセデスSL R107」には、1970年代という時代の刻印がはっきりと残っている。角ばったデザインで、比較的控えめなクロームメッキのトリムエレメントが特徴的だ。クラシックカー寄贈キャンペーンの3等賞は、最初のオーナーが1982年に入手したという、非常にわかりやすい経歴の持ち主だ。「280SL」、走行距離83,526kmと、中古としては良好な状態だ。2.8リッターの6気筒エンジンは185馬力と、1.5トンの乾燥重量に対して十分な出力を持っている。シルバーメタリックの塗装とブルーレザーの内装が見事にマッチしている。ハードトップも付属している。
大林晃平: 「R107」の中でもバランスの良い「280SL」。もちろん350や450のようなパワーはない代わりに、ミッションなどにも負担は少ないため、痛みにくい、と言われている。

4等賞: フォード アイフェル ロードスター(1938)

本物のクラシックカー: オストフィルダーンのハルムート アイデ氏は、80年以上前のスポーツオープンカーをチャリティ募金のために寄贈した。フォード アイフェル ロードスターは、34馬力を発揮する1.2リッターの4気筒エンジンを搭載している。時速100km弱ならこれで十分だ。エンジンは12年以上前に徹底的にオーバーホールされ、それ以来約6,000kmしか走っていない。当選者は、黒とボルドーレッドのツートンカラーのコンバーチブルだけでなく、セカンドエンジンを含むスペアパーツ一式を受け取ることができる。
大林晃平: 本物のクラシックカーというのはこういう形の自動車だろう。「フォード アイフェル ロードスター」は、「タウナス」の祖先にあたるクルマで、ドイツ以外でもハンガリーなどで1930年代に生産されていた。この2トーンカラーが一般的。
Photo: Heimbach

5等賞: フォード タウナス17M

青いバスタブと青い車: 4位はギュンター ヤウフ氏から寄贈された1962年製フォード・タウナス17Mだ。
Photo: Marcus Gloger / AUTO BILD
クラシックカーの収集家でもあるプレゼンターのギュンター ヤウフ氏から寄贈された「フォード タウナス17M」だ。ヤウフ氏は、すでに「メルセデス180Cポントン」や「VWビートル “オヴァリ”」などを過去に寄贈しており、長年にわたってクラシックカー寄贈キャンペーンに献身的に貢献している。「バスタブ」の名で親しまれる「フォード17M」は60馬力で、一からレストアされた。3速のステアリングギアスティック、フルレングスのフロントシート、当時最新のホワイトウォールタイヤを装備している。スピードメーターは22,068kmを表示している。しかし、目盛りは5桁しかないので、その前に見えない「1」があるのかもしれない(つまり122068kmということだ)。
大林晃平: 「タウナス」のような地味なモデルは人気がない、と考えてしまうのは浅はかで、こういうモデルこそ、熱烈でコアなファンが必ず存在しているのである。

6等賞: ボルボPV444

毎日使える手堅い名車: 第6位の「ボルボPV444」は、10年間定期的に遠出をしていたそうだ。「ハンプバック ボルボ」という愛称を持つこの車の走行距離は69,546km。1.6リットルの排気量から60馬力を発揮する極めて頑強なエンジンが、この紛れもないボディを最高145km/hまで加速させる。引き渡しの直前に一から復元された。
大林晃平: 毎日使えるかどうかは別として立派なクラシックカーの「PV444」。ボディがしっかりしてさえいれば機構は簡単なので、維持はそれほど困難ではないかも・・・。
Photo: Werk

7等賞: VWビートル(カブト虫)1302 S

ビートルがいないとやはりチャリティ募金は盛り上がらない。今年はベルリンから1972年製の1302 S(50馬力)が寄贈された。ヴォルフスブルクのクルマは当初、西ベルリンのメルキッシュ ヴィアテルに置かれていたが、壁崩壊後にラルフ バックハウスが購入し、持ち帰った。東ベルリンの人がクーゲルポルシェを復元したのは、それから間もなくのことだった。その過程で、アメリカのジーン バーグによるドラッグスターのギアスティック、ロングレシオのギアボックス、MOMOのステアリングホイール(ABE付き!)、さらには珍しいトレーラーカップリングなど、現代のチューニングも施された。このビートルの走行距離は約6万kmだ。
大林晃平: 「ビートル」がいないと盛り上がらない・・・というのがいかにもドイツらしい。まあこのカブトムシという奴は、そういう存在なのである。1972年というとドイツでの生産は1978年までだったので、ドイツもののカブトムシとしては新しいほう。6万kmというのも魅了的な走行距離である。
Photo: Roman Raetzke

全賞品: フォード アイフェル ロードスター(フォード タウヌスの隣)をはじめ、VWビートル、メルセデス190、ボルボPV444、フィアット850、オペル ティグラが含まれる。さああなたはどの一台がお好みですか?
Photo: Marcus Gloger / AUTO BILD

8等賞: メルセデス・ベンツ190(W201)

「メルセデス190」は、ダイムラーがつくった最も堅牢なクルマのひとつであり、現在でもほとんど現代のモデルのような走りを見せている。そして、今では最も人気のあるヤングタイマーの一つとなっている。この190Dは経済的なディーゼルモデルだ。72馬力で、リッターあたり14.5kmという燃費だ。走行距離も59,000kmと少ないので、状態も良い。しかも、このベンツはすでにHナンバーなので、税金はほとんどかからず、すべての環境保護区を利用することもできるようになっている。
大林晃平: 「190D」というのが渋いが、このころのディーゼルエンジンは機構的にも、ガソリンエンジンモデルよりも電装系などが簡単なためトラブルは少なそうだ。
Photo: C. Bittmann u.a.

9等賞: フィアット850

全長3.57mの「フィアット850」は、「フィアット500」と同様にキュートでありながら、日常的な使い勝手に優れ、全長は60cmも長くなっている。34馬力のこのエンジンは121km/hに達する。その希少性も特筆に価し、このクルマは常に視界に入る。
大林晃平: 決して高性能な自動車ではないが、小柄でキュートなオープン2シーター。高性能に飽き飽きしている方にこそおすすめしたい1台だ。
Photo: Christian Bittmann

10等賞:オペル ティグラ

1994年、オペルは若者向けのミニスポーツカー「ティグラ」を発表した。90馬力で190km/hに達するスポーツクーペで、こちらは25年前のもので、走行距離はわずか38,000kmだ。
大林晃平: なかなかの珍車だがもはや25年前の立派なクラシックカー・・・というのは未来的なルックスで古さは感じない。

クラシックカーやヴィンテージカーが高騰、高騰、という話ばっかりが取りあげられているというのに、今回の話はなんとも爽やかで素晴らしいニュースである。障害のある人のためにクラシックカーを寄贈する・・・。そんな話を聞くと(悔しいし、こういう言葉をあまり使いたくはないけれど)、どこか価値観とか文化の成熟のようなものに、わが国との違いを感じないわけにはいかない。そしてこの企画に賛同する人がいるという事実にも、どこか羨ましい気持ちを抱いてしまう。
車種や年式、価格などに関係なく、それぞれの車を愛する人がチャリティとしてクラシックカーを通して慈善活動を行う、こんな企画が日本でも成立する日が来ることを期待していたい。

Text: Roland Wildberg
加筆: 大林晃平
Photo: Marcus Gloger / AUTO BILD