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【このクルマなんぼ?】1981年生まれで40歳 でも走行距離わずかに1,450kmのメルセデス500SL その値段は?

2022年1月12日

メルセデス500SL、走行距離わずか1,450kmをハンマープライス(オークション)で販売中。すべての部品を新品に交換したコンプリートレストアによって、このメルセデス500SLは実質的に新車となった。

このエレガントな「メルセデスSL」は、実質的に新車のようなものだ。
約41年前にドイツで納車された「R107」は、一から作り直された。
その結果、現在では新車のようなコンディションを保っている。
今、ボンネットにクリーミーなV8を搭載した「500SL」がeBayで売りに出されている。価格は激安!

「メルセデスSL」は、ロードスターのレジェンドだ。
このたびメルセデスが発表した最新型のロードスターは、AMGバージョンとして専用に用意され、それゆえ、やや埃っぽい「SL」のイメージに磨きをかけることを意図している。
かつて、「SL」は、富裕層や美女が乗る車、洗練された生活を送るための車だった。
1971年、メルセデスは、シェイプアップされたフィリグリーな「パゴダ(W113)」の後継モデル、「R107」を発表した。
当時、誰も疑わなかったことは、「R107」が頑強なクルマで、長期間にわたって生産販売されるであろうということで、事実、何度も修正を施されながらも加えながら、「R107」は18年間もポートフォリオに残り、1989年まで作られ続けた。
特にアメリカでは、3代目の「SL」は完全なる商業的成功を遂げたが、むろん、ドイツでも「R107」は人気があったし、今も人気がある。
事実、現在も22,000台以上のモデルが登録されている。

売主によれば、「R107」はレザー、オートエアコン、シートヒーターなど、絶対的なフル装備を備えているとのこと。

「3ボックス主義」の明快なデザインは、メルセデスの新時代を告げるものだった。
また、「R107」は当時としては、先進的な安全装備も備えていた。
デザイン上の理由でタルガバーが廃止されたため、ウィンドスクリーンを含むAピラー(フレームに接着)は、横転時に十分な力を吸収できるよう大幅に補強される必要があった。
また、独立したフロアアッセンブリーにより、クラッシャブルゾーンの大幅な強化が可能となり、さらにオートシートベルトとヘッドレストが発売当初から標準装備された。
長い生産期間の中で、安全装備は着実に拡充され、ABSやエアバッグなどの重要な装備も搭載された。

大型のV8は特に人気がある

しかし、メルセデスが常にアップグレードを続けたのは、この分野だけではなかった。
エンジンレンジも頻繁に変更された。
当初は8気筒の「350SL」と「450SL」の2種類だけで、1974年からはエントリーグレードの「280SL」に直列6気筒(M110)を搭載して発表された。
しかし、今日、求められているのは、何よりも大型8気筒のフル装備のモデルであり、とりわけ「500SL」である。
「500(M117)」は当時のトップモデルで、製造年やバージョンによって231~245馬力を発揮した。

4,973ccのV8(M117)は240馬力を発揮した。1985年には再びエンジンが改良され、245馬力を発揮するようになった。

まさにそんな1981年に製造された「メルセデス500SL」が、現在eBayで売りに出されているのだ。
詳細な写真を見れば、これが普通の「500SL」でないことはすぐにわかる。
このロードスターは1981年5月にドイツで納車され、初めて登録された(オリジナルの車両登録証がある)。
その後、「R107」はよく手入れをされていたが、2013年から2014年にかけて完全なレストアを行うことになった。
これはメルセデスのスペシャリストである「スターン-マニュファクチャ ドルトムント(Stern-Manufaktur Dortmund)」によって行われ、費用や労力は一切惜しまず注ぎ込まれた。
そのため、この「500SL」は約41年前同様、新車のような状態になっている。
想像がつかない人は、eBayに掲載されている無数の写真を見てほしい。
ネジやパイプ、その周りのものすべてが新しくなっているのがわかるはずだ。

写真で見るとよくわかる、この500SLは実質的に新車と見分けがつかないほどだ。

レストアを終えた「SL」は、「メルセデス・ベンツ クラシックセンター ハノーバー」に売却され、現オーナーに譲渡された。
レストアから1,450kmも走行していない現在、シルバーとブラックのクラシックなカラーコンビネーションの「R107」を次の愛好家に譲りたいと考え、「スターン-マニュファクチャ ドルトムント」が顧客に代わってロードスターを販売中だ。

「メルセデス500SL」は125,000ユーロ(約1,650万円)の予定

この「500SL」は125,000ユーロ(約1,650万円)と、一見すると高額に見えるかもしれない。
しかし、現在の市場を見てみると、この価格はすぐに納得できるはずだ。
「R107」シリーズの最も安い「500SL」は、3万ユーロ(約400万円)前後から購入できる。
さらに米国逆輸入品が安く手に入ることもある。
しかし、3万ユーロ(約400万円)といえども、ベストコンディションの最高級ロードスターの個体を手に入れるには、まだまだ長い道のりがある。
「500SL」の歴史が分かる良品が5万ユーロ(約670万円)以下で見つかることはまずないし、最も高価な「R107」でも8万ユーロ(約1,050万円)を優に超えている。
この「500SL」の希望価格は12万5000ユーロ(約1,650万円)と、それらを大きく上回ってはいるものの、フル装備の最も人気のあるバージョンであるだけでなく、完全にリビルドされた走行距離の少ない車両であり、この状態で2度目に市場に出ることはおそらくないだろうと思われる真に希少な1台であることを考えるなら納得のいく価格と言えるだろう。

「メルセデス・ベンツSL」と聞いて思い出す車は人それぞれかもしれないが、個人的に「SL」と聞いて頭に浮かぶのは、この「R107 SL」である。亡くなった父の憧れもこの「R107」だったし、生産期間が長いこともあり、多くの人に印象的な存在はこのモデルではないかと思われる。
そんな「R107」も当然のことながら立派なクラシックカーで、今回の一台も40年以上を経過した車輛である。さすがにメンテナンス費用もかさむだろうし、乗ってみれば現代の車たちの中では、そこそこの性能でしかない。そもそも「メルセデス・ベンツSL」はスポーツカーではなく、ラグジュアリーなオープン2シーターであって、ビバリーヒルズや南仏とかフロリダあたりで、悠々自適な人たちが買い物に使うような自動車なのである。
本来は「スーパーライト」の意味の「SL」だが、この「R107」は、「スポーティ&ラグジュアリー」と言った性格だし、僕はメルセデス・ベンツの「SL」はそういう立ち位置で良いと思う。今のAMGのようにガンガンオープン2シーターで走らなくとも良いじゃないか、そういう気持ちからすると、この「R107」、ちょっと枯れた感じのクラシックぶりがなかなかいい感じである。ただし価格は新車当時よりもずっと高いし、維持にはそれなりの努力と出費が必要なことはお忘れなく。

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: ebay.de/sternmanufakturdortmund