【ニューモデル情報】ピエヒGT、ピエヒの息子でポルシェの孫が起案したエレクトリックスーパーカーとは?

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3人の開発者、6ヶ月、100%の成功。

ピエヒGTは、こうしてデジタルでつくられる。ベルリンのスタートアップ企業インカリは、ピエヒのレーサーをどのようにデジタルで立ち上げ、走らせているのか? そして、ほとんどの大手メーカーが失敗していることとは? レポート。

どうせうまくいかない、夢物語だ、金の無駄だ。
トニ ピエヒ(Toni Piëch=フェルディナント ピエヒの息子でポルシェの孫)のプロジェクトをそう判断する人もいたかもしれない。
2年前、ジュネーブでコンセプトが発表されたときもそうだったが、その考えは間違っている。

2シータースポーツカーのプロトタイプ「ピエヒGT」が時速200kmを超えるテスト走行に成功し、さらにベルリンのソフトウェアベンチャー企業「インカリ」との開発提携が発表され、注目されるようになった。
むろん知らなくてもいい。しかし、創業者でありCEOであるオスマン ダンブヤのケータイ番号は、今や多くのドイツ車経営者のポケットの中に入っている。
彼は、「私たちのプラットフォームであるインカリ スタジオ(Incari Studio)は、自動車産業における「ヒューマン マシン インターフェイス」に革命を起こしています」と、語っている。
これはどういうことかというと、たった3人のクリエイターが、手を合わせて、「ピエヒGT」の「OS」をわずか6ヶ月で開発したということだ。
何事も道具は一つだけだ。リバーシングカメラを忘れた?
気にせず、数回クリックすれば、5分で統合される。
といった具合に。(笑)

クラシックでミニマルなレイアウト: スピードメーターとステアリングホイールは、GTの仕事場を支配するクラシックなものだ。

インテリアはスピードが命

スッキリとしたミニマリストなインテリアは、ドライバーの前にあるクラシックなスピードメーターと、3つのやや小さなシンクロスクリーン、そしてAR(拡張現実)が主役となっている。
それ以上はない?
ピエヒ 「スクリーンは最も早く老朽化するので、クラシックなスクリーンを選択しました。今の業界ではスピードが重要です」と語る。
ピエヒは、他にも計画中のSUVと4シータースポーツサルーンを含めて、開発から量産までわずか2年しかかからないようにしたいと考えている。

ピエヒGTの「父」たち: トニ ピエヒ(右)とインカリの創業者オスマン ダンブヤがチームになって登場。

政治家や金融機関からのサポートがない

速さといえば、「ピエヒGT」は3基の電動モーター(リアに2基、フロントに1基)、611馬力、重量は1800kgで、「ポルシェ タイカン」よりも500kg、新型「テスラ ロードスター(こちらも航続距離は長いとされている)より1,000kgも軽く、3秒で0から時速100kmまでスプリントする。
充電時間は8分で500kmの航続距離の80%までの充電が可能となっている。
この車は、モジュールを交換することで、何度でも生まれ変わることができ、技術的にも古典的な形でも古くなることはない。

トニ ピエヒ(右)とインカリの創業者オスマン ダンブヤの両CEOは、開発者の不足、政治家や金融機関のサポート不足を訴えている。
ピエヒは、「私たちは、これまで大多数のメーカー(超大手メーカーでさえ)が失敗してきた設計者とエンジニアのスマートでソフトウェアベースのコラボレーションに成功したのです」と語る。
ダンブヤは、「私の携帯電話には多くの会社から問い合わせや面会要望の電話がかかってくることがあるのですが、何と言えばいいのでしょうか、当然といえば当然なのですが、我々は国や政治家、金融機関からのサポートを必要としています。しっかりと我々の夢をかたちにするためにも」と熱意を語った。

「ピエヒGT」、カッコいいではないか!
今後が楽しみなプロジェクトではある。続報をお楽しみに。

Text: Tom Drechsler
Photo: Incari Studio