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BMW3シリーズとメルセデスCクラスのPHVモデルが一騎打ち 果たしてその勝者は?

2021年12月27日

BMW対メルセデス プラグインハイブリッド対決

BMW3シリーズとメルセデスCクラスは果たしてどちらが優れているのか?3シリーズ対Cクラスの新旧対決、今回はプラグインハイブリッド。メルセデスC 300 eとBMW 330eの比較テスト。

今回比較するのは、メルセデスCクラスとBMW3シリーズの現行プラグインハイブリッド車で、その形と構成要素はよく似ている。
しかし、それぞれ4気筒のガソリンエンジン、電気モーター、バッテリーを搭載し、システム出力は約300馬力という部分は同じだが、実際にはもっと違っている。
例えば、BMWは電気航続距離を約50kmとしているが、メルセデスは約100kmとしており、大きくメルセデス・ベンツが航続距離を伸ばしている。
では、どちらが総合的によりスマートな選択だろうか。

ベンツより少ない電力:バッテリーが小さいため、330eは電気のみで45kmしか走行できない。

BMW 3シリーズは、184馬力の2.0リッターと113馬力の電動モーターを兼ね備えている。そのバッテリーは12.0kWhを蓄えている。
8速オートマチックが搭載され、システム出力は292馬力。
今回は電気だけで45kmの距離を走破した。ガソリンエンジンが始動すると、荒々しい喉を鳴らすような音と振動に起こす。

車両データBMW 330eメルセデス C 300 e
エンジン4気筒ターボ+電動モーター4気筒ターボ+電動モーター
排気量1998cc1999cc
システム最高出力292PS313PS
システム最大トルク420Nm550Nm
駆動方式後輪駆動、8速AT後輪駆動、9速AT
タイヤミシュランパイロットスポーツ、225/40-255/35 R 19 YピレリPゼロ、225/45-245/40 R 18 Y
最高速度230km/h245km/h
全長/全幅/全高4709/1827/1435mm4751/1820/1437 mm
車体重量1828㎏2071㎏
平均燃費25km/ℓ20km/ℓ
CO2排出量37g/km13g/km
基本価格54,150ユーロ(約703万円)56,168ユーロ(約730万円)
テスト車価格60,380ユーロ(約784万円)62,136ユーロ(約807万円)

ZF製8速オートマチックはいつも通り、きめ細かい反応と、スムーズなシフトチェンジを実現する。内燃機関と電動モーターの相互作用は、スムーズで控えめなものだ。
それでいて、この「3シリーズ」は、ハイブリッドであっても、普通のガソリンエンジンに近い、クラシックなドライバーズカーのようなフィーリングだ。
素早く正確な – 人によっては鋭すぎる – ステアリング、噛み付くようなブレーキ、強調された便利さと機敏さ。

ハーモニアス: C 300 eの駆動システムは非常に洗練されており、BMWに比べ、より強く、より繊細な回復が可能だ。

メルセデスのプラグインハイブリッドはより調和がとれている

BMWは約1.8トン、メルセデスは約2.1トンという車重だ。
「Cクラス」の車重は、現行の「Sクラス」と同じくらいだ。
その理由のひとつは、25.4kWhというBMWの2倍以上あるバッテリーにある。
もちろん、日常生活においても、電気のみで走れる距離が増えるということで、まったく異なる可能性が生まれている。そして、もちろんハイブリッドシステムもより洗練されたものになっている。
メルセデスは、BMW(20kW)よりも明らかに強く、またより繊細に回復する(最大100kW以上)。
また、BMWでは選択できない回生の強さを、3段階で調整することが可能となっている。

性能データ BMW 330e メルセデス C 300 e
0-50km/h加速 2.3秒 2.2秒
0-100km/h加速 5.8秒 6.0秒
0-130km/h加速 9.0秒 9.5秒
0-160km/h加速 13.6秒 14.0秒
0-200km/h加速   24.3秒 23.0秒
60~100km/h加速 2.9秒 3.2秒
80~120km/h加速 3.7秒 4.0秒
前後重量配分 フロント47/リア53 フロント45/リア55
ターニングサークル 11.5m 11.2m
シート高 520mm   525mm
制動距離(100km/hから)   33.7m 112.6 34.0m
テスト時燃費(155km) 12.6km/ℓ 12.3km/ℓ
純電動航続距離 45km 90km

「C 300 e」のブレーキ性能は、測定値では「330e」とほぼ同じだが、ブレーキフィーリングが弱く、電動ブレーキから機械ブレーキへの移行がうまくいっていない。
BMWと同様、ガソリンエンジンはエネルギッシュで回転数が高く、9速オートマチックは高速で慎重な走りをする。
その結果、重量の差はあるものの、両者は実質的に同程度の性能を持っている。

新型Cクラスが3シリーズに挑戦

両車の違いは、別のところにある。
メルセデスは、前述のように、重い車であり、そのように走るが、BMWは単純に足が軽いという印象だ。
リアアクスルにエアサスペンションとレベルコントロールを備えたシャーシ(もちろんそこにバッテリーがある)は、明らかに一種のソフトフォーカスを持っており、メルセデスは横方向のジョイント、マンホールの蓋、その他すべてをも優しく動かす。
それは、言ってみれば、むしろ運転することと、運転されることの違いだ。

テストの詳細は、以下、フォトギャラリーとともにどうぞ。

今や電動化はマスト。今回比較するのは、メルセデスCクラスとBMW3シリーズの現行プラグインハイブリッド車の2台だ。つまり、どちらも電化されており、形もよく似ている。
「C 300 e」に搭載されるハイブリッドシステムは、204馬力の2.0リッターと129馬力のeモーターで構成されている。バッテリーは25.4kWh、9速AT、システム出力は313馬力だ。メルセデスに搭載されているバッテリーは、BMWに搭載されているものより2倍以上大きいものだ。もちろん、日常生活においても、電気で走れる距離が増えるということで、まったく異なる可能性を生んでいる。
「330e」は、184馬力の2.0リッターと113馬力電動モーターで駆動する。12.0kWhのバッテリー、8速ATが搭載され、システム出力は292馬力だ。電気だけで45kmの距離を走破する。そして、ガソリンエンジンが始動すると、荒々しい喉を鳴らすような音と騒音になる。
そして、ハイブリッドシステムもより洗練されたものになっている。メルセデスは、BMW(20kW)よりも明らかに強く、またより繊細に回復する(最大100kW以上)。また、BMWでは不可能な、回復の強さを3段階で調整することが可能となっている。ブレーキ性能は測定値では「330e」と同等だが、ブレーキの感触には劣り、電気的回生から機械的制動への移行はうまく解決されていない。
BMWと同様、ガソリンエンジンはエネルギッシュで回転数が高く、9速オートマチックは高速で慎重な走りをする。その結果、重量の差はあるものの、両者は実質的に同程度の性能を備えている。
3シリーズでは内燃エンジンと電動モーターの相互作用もスムーズに働き、まったく目立たない。そうして、ハイブリッドであるこの「3シリーズ」は、普通のガソリンエンジンに近い、クラシックなドライバーズカーのような感覚を味わうことができる。素早く正確な – 人によっては鋭すぎる – ステアリング、噛み付くようなブレーキ、強調された便利さと機敏さを兼ね備えている。
両車の違いはどこにあるのか?メルセデスは重い車で、走りもそれなりだ。リアアクスルにエアサスペンションとレベルコントロールを備えたシャーシは、どうやらソフトフォーカスのようなもので、ベンツは横方向のジョイント、マンホールの蓋、その他、もろもろ、優しくいなす。BMWの方が、足取りが軽いというか、ちょっと違和感がある。
試乗車には11.9インチの大型タッチスクリーンが搭載されており、見た目も美しく、機能も豊富でメニューもわかりやすくなっている。
どちらも重厚で上質、BMWはより卓越したiDriveシステムにより、論理的で簡単な操作が可能となっている。
「3シリーズ」はリアに、「Cクラス」はフロントに、快適で形状の良いシートで、それぞれ十分なスペースを提供している。広さに関しては、メルセデスとBMWは実質的に同等で、どちらも気持ちの良い広さだ。
どちらのハイブリッド車も、ラゲッジルームは内燃機関搭載車に比べて明らかに小さくなっている。BMWは375リットルから480リットル、メルセデスは315リットルから455リットルを飲み込む。
コスト編はBMWの勝ち。試乗車の「330e」は60,380ユーロ(約784万円)、「C 300 e」は62,136ユーロ(約807万円)というものだった。

第2位 800点満点中566点: メルセデスC 300 e.
長い電動レンジで、BMWよりe-carに近い。快適で、最高の装備とマルチメディアを備えているが、より高価である。

第1位 800満点中568点: BMW 330e
よく訓練され、成熟している。現在、3シリーズは完成されている状態といえよう。3シリーズはよりアジリティにフォーカスされている。

結論:
BMWとメルセデスは僅差(たった2点差)で、しかも非常に高いレベルで、これほど多くのポイントが付与されることは稀だ。
メルセデスはより高度なハイブリッドシステムを搭載し、長い電動レンジを持つ
一方で、BMWは、よりドライバビリティの高い車である。

メルセデス・ベンツの「Cクラス」と「BMW 3シリーズ」を比較する鉄板企画、今回はプラグインハイブリッドの対決である。この手の企画の場合、たいていは後からフルモデルチェンジした車種が勝つことが定番で、そのことから考えればメルセデス・ベンツの勝ちになるのだが、買ったのはBMWのほうであった。
考えられることは、BMWのほうが熟成されていたことと、つまりメルセデス・ベンツの熟成不足、ということ、さらにどちらがドライバーズカーであったかという点なのではないかと思う。ややその面で「メルセデス・ベンツ Cクラス」が今回は不利だったようで、わずかの差で「3シリーズ」の勝ちになったのではないかな、というのが私の推測である。
それにしても日本ではあまり人気のないプラグインハイブリッドモデルであるが、ヨーロッパではどれくらいの人気なのか、ちょっと見えてこないところが多い。全体のラインナップの中で、プラグインハイブリッドとディーゼルエンジンと普通のガソリンモデル(さらにはEVモデルも)が、いったいどういう比率で売れている状況なのか、あまり明確に伝わってこないのである。
シンプルで安い普通の内燃機関のモデルよりも、はるかに高価で、複雑(つまりトラブルをかかえやすい)なプラグインハイブリッドが、本国ドイツでは大人気なのだろうか? どうもその部分がいつも気になってしまうのである。

Text: Dirk Branke und Berend Sanders
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de