【ニューモデル情報】新型オペル アストラのすべて
2021年12月8日
新型オペル アストラは、今回のファーストチェックで好印象を与えた。
6世代目のオペル アストラは、新鮮なデザイン、モダンなコックピット、そして初めてのプラグインハイブリッドモデルとともに登場した。5ドアとステーションワゴンの全情報、価格、シートチェックをレポート。
「オペル アストラ」は第6ラウンドを迎える。
しかし、先代の「カデット」を含めると、リュッセルスハイムのコンパクトカーはすでに11代目(!)となる。
リュッセルスハイムといえば、「アストラL」はドイツで開発され、リュッセルスハイムの主力工場で生産されている。
「VWゴルフ8」や「フォード フォーカス」に対抗するために、今回オペルは新型アストラの開発を本格化させ、多くの技術を投入してきた。
さらに、新世代のアストラにはプラグインハイブリッドモデルも用意されている。
新型オペル アストラの主要情報一覧:
● 2023年初頭には、純粋な電気自動車のバージョンも登場する予定
● プラグインハイブリッドも初めて用意される(2つのパフォーマンスレベル)
● エンジンレンジは110馬力から225馬力のシステム出力に拡大
● トランクスペースを拡大したステーションワゴン
● 2022年初頭に納入開始、ステーションワゴンは夏頃に登場予定
● 5ドアモデルのベース価格は先代レベル(22,465ユーロ=約290万円~)
新型アストラのフロントにはブランドの顔となる特徴的な「Opel Vizor」デザインが採用されている。
価格と市場投入時期: アストラLの価格は先代とまったく同じ
オペルの新型「アストラ」は、5ドアモデルに関しては、すでに注文を受け付けており、2022年初頭にデリバリーを開始する。
価格は22,465ユーロ(約290万円)からとなっている。
これは、このコンパクトモデルが先代に比べて価格が安定しており、ベースバージョンでもまったく同じコストであることを意味している。
また、新型「アストラ」には初めてプラグインハイブリッド駆動のモデルも用意された。
プラグインハイブリッドモデルの価格は、エコ助成金を差し引く前の36,710ユーロ(約475万円)からとなっている。
オペルは「スポーツトゥアラー」と呼ばれるステーションワゴンがいつラインナップに追加されるかはまだ明らかにしていない。
我々は、2022年夏に市場投入されると想定しており、価格は25,000ユーロ(約325万円)からとなる可能性がある。
アストラL(セダン)価格一覧:
ガソリンモデル:
● オペル アストラ1.2ターボ6速MT(110馬力): 5ドア 22,465ユーロ(約290万円)より
● オペル アストラ1.2ターボ6速MT(130馬力): 5ドア 25,560ユーロ(約330万円)より
● オペル アストラ 1.2 ターボ オートマチック(130馬力):5ドア 30,350ユーロ(約390万円)より
プラグインハイブリッド:
● オペル アストラ ハイブリッド オートマチック(180馬力): 5ドア 36,710ユーロ(約475万円)より
ディーゼル:
● オペル アストラ1.5ディーゼル6速MT(130馬力): 5ドア 28,660ユーロ(約370万円)より
● オペル アストラ1.5ディーゼル オートマチック(130馬力): 5ドア 33,450ユーロ(約430万円)より
商用車の顧客向けに、価格面でのメリットがあるビジネスバージョンも引き続き用意されている(あくまでもヨーロッパ本国での話、である)。
アストラ スポーツトゥアラー: より広いスペースとフレキシブルなロードフロアを持つステーションワゴン
もちろん、新世代には「スポーツトゥアラー」も用意されており、今回、オペルはそれを発表した。
いつものようにBピラーまでは同じデザインで、そこから先はステーションワゴンの形になっている。
新型のルーフはわずかに傾斜しており、よりスポーティな外観となっており、大型のスポイラーにつながっている。
また、「スポーツトゥアラー」では、縦型の第3ブレーキランプが小さなアイキャッチャーとして組み込まれている。
また、5ドアモデルの細いテールランプを採用し、ボディ全体の明快なデザイン、2つのサイドバイサイドの10インチディスプレイを備えたコックピット、そしてエンジンレンジを採用している。
エンジンは、110~130馬力のディーゼルエンジンとガソリンエンジンに加え、2種類のプラグインハイブリッドが用意されている。
弱い方の180馬力のエンジンは市場投入時(2022年夏と予想)に直接販売されるが、より強力な225馬力のシステム出力を持つバージョンの販売はそれ以降となる。
内燃機関の採用でトランクルームを大幅に拡大
ステーションワゴンで最も重要なのはもちろんトランクだが、これが純内燃機関バージョンでは大幅に増えている。
先代は540~1,630リットルだったが、今では後席のバックレストを立てている限り、608リットルという驚異的な容量になった。
後部座席のバックレストを折りたたんだ状態では、1,634リットルとなり、容量はそれほど増加していない。
プラグインハイブリッド車の場合、バッテリーがあるため、スペースは548~1,574リットルと若干狭くなる。
しかし、どちらのモデルでも、バックレストを折りたたむと(40:20:40の比率)、フラットなラゲッジエリアが形成され、高さがわずか60cmのローディングエッジのおかげで、快適に荷物を積むことができるようになっている。
また、内燃機関バージョンには、オプションで「インテリスペース」ロードフロアが用意されていて、片手で2つの高さに調整でき、45度の角度にセットすることができるようになっている。
トランクカバーは、高さの設定にかかわらず、ロードフロアの下に収納することができ、ラゲッジを片付けることなく、リアシートやトランクからタイヤ修理キットや救急箱へのアクセスが可能だ。
オペルはまだ価格を明らかにしていないものの、我々は、「アストラ スポーツトゥアラー」は25,000ユーロ(約325万円)からと想定している。
インテリア: オペルはタッチスクリーンに完全には頼らない
実際に車内に乗って座ってみて驚いた。
2つの10インチディスプレイを備えたコックピットが、エレガントでモダンな印象を与えている。
太いプラスチックのフレームはなく、すべてがダッシュボードの中にまとまって配置され、ドライバーの方に少し傾いている。
そして以前同様、クライメートコントロールとボリュームは、気が散ることなく調整可能なままだ。
アストラにはまだボタンがあるからだ。
インフォテイメントのボタンでさえ、ディスプレイ上で窮屈にタッチする必要はなく、モニターの下に独自のボタンがある。
デザインを一新したステアリングホイールは、ホーンボタンがグリルの形状を引用したものになっているが、これもしっかりと押せるボタンを備えている。
グローブボックスの収納部には、フェルトのような生地が張られている。
プラスチック製にもかかわらず、貴重な感じがする(だがこれは残念ながら、他のメーカーのモデルでも採用されており、もはや当たり前のことだ)。
良好なシートポジションとエルゴノミクス
アストラには、運転席と助手席にマッサージ機能、ベンチレーション、ヒーター、ナッパレザーを備えたAGRシートが追加料金で装備されている。
最初の試乗では、シートポジションとエルゴノミクスの点で不満はなかった。
フロントシートの位置は以前よりもわずかに低くなり、ルーフはやや平らになっている。
リアは、フロントシートを身体の大きな人に合わせたままだと、膝が窮屈になる。
前席に平均的な身長の人がいれば、後席も背の高い人が快適に過ごせるようになっている。
しかし、太ももの長い人にはリアシートが少し短すぎるため、腰と膝の角度がかなり鋭くなるという小さな制約がある。
一方、ヘッドルームとレッグルームは良好なので、後部座席は身体にフィットしていると感じるほどだ。
エンジンラインナップ: いつものように豊富な選択肢
リュッセルスハイムで「シトロエンC4」とともに生産されているアストラのエンジンラインナップは、排気量1.2リットルのガソリンエンジン(110馬力または130馬力)、130馬力の1.5リットルディーゼルから、12.4kWhのバッテリー(航続距離は約60km)と180馬力および225馬力のシステム出力を備えた2種類のプラグインハイブリッドまで、いつもの通り豊富に取り揃えられている。
クラシックな内燃機関エンジンには、6速マニュアルまたは8速オートマチックを選択することができる。
また、「アストラ」は見た目がスポーティなだけでなく、ねじり剛性が14%向上したおかげで、走りもスポーティだ。
走行安定性とドライビングプレジャーには特別な注意が払われている。
この2つのポイントは、プロトタイプでの最初の試乗を終えた時点ですでに確認できていた。
さらに、オペルは後日、もう1台の「アストラOPC」を発売するという噂も根強くある。
このトップモデルは、約300馬力のプラグインハイブリッド車として登場する可能性がある。
公式に発表されているのは、2023年初頭に「アストラL」の純粋な電気自動車バージョンが登場するということだ。
「アストラ」EVは、外観上は、おそらく内燃機関とほとんど見分けがつかないだろう。
しかし、技術的な詳細や航続距離の仕様はまだ明らかになっていない。
サイズ: スポーツツアラーは先代モデルよりも短くなる
5ドアモデルの全長は先代と同じだが、「スポーツトゥアラー」は新世代ではホイールベースが7cm延長されたにもかかわらず6cm短くなった。
その理由はフロントのオーバーハングが短くなったことにある。
サイズ一覧:
オペル アストラ 5ドア:
● 全長: 4.37メートル(先代と同じ長さ)。
● 全幅: 1.86メートル
● 車高: 1.47メートル
● ホイールベース: 2.68メートル
● トランク容量: 内燃機関422~1339リットル、プラグインハイブリッド352~1268リットル
● 牽引能力: 最大1.55トン
オペル アストラ スポーツトゥアラー:
● 全長: 4.64メートル(先代比6センチ減)
● 全幅: 1.86メートル
● 全幅: 1.86メートル
● 全高: 1.48メートル
● ホイールベース: 2.73メートル
● トランク容量: 内燃機関608~1634リットル、プラグインハイブリッド548~1574リットル
装備: アストラのハイテク装備
一方で、当然、高級感もおろそかにしてはいけないので、オペルはリクエストに応じて多くのハイテク装備をアストラに搭載している。
デジタル計器やApple CarPlayまたはAndroid Autoによるスマートフォン対応は標準装備されているが、ヘッドアップディスプレイや超近代的な「インテリラックス」LEDヘッドライトなどのその他の装備は追加料金が必要になる。
オペルは安全性にも妥協しない。
フロントガラスに設置されたカメラに加え、さらに4つのカメラと5つのレーダーセンサーが搭載されている。
この技術は、スピードアシスタントにも採用されており、先行車との距離を維持し、オートマチックトランスミッション搭載モデルでは、自動的に再発進することも可能だ(「ストップ&ゴー」機能)。
AGR認証を取得した実績のあるアクティブシートは、新型「アストラ」では先代モデルよりも12mm低い位置に取り付けられている。
テスト: アストラのプラグインハイブリッド車が圧倒的なリードを見せる
我々はすでにそのステアリングを握っている。
ほんの数週間前には、プロトタイプを運転する機会を得た。
大きくカモフラージュされた1.2リットルの3気筒ガソリンエンジン(110馬力と130馬力)と1.5ディーゼルエンジン(110馬力)はすでに知られているが、我々が特に興味を持ったのは、真新しいプラグインハイブリッドだった。
1.6リッター4気筒ターボガソリンエンジンは、フロントアクスルに電気モーターを搭載しており、バッテリーはリアシートの下に搭載されている。
トータルで180馬力の出力を発揮する。
内燃機関と電動モーターのパワーで、アストラは力強く前進する。
ドライブモードスイッチで純電動モードを選ぶことができたが、ほとんどの場合、毎日の通勤にはこれで十分だろう。
バッテリー残量が60%の状態でも38kmの航続距離が可能となっている。
しかし、ボディの揺れが気になるため、シャシーの微調整は少なからず必要だ。
デザイン: アストラにも “Opel Vizor “ルックを採用
2015年に登場した先代の「アストラK」と比べても、新型はほとんど見分けがつかないイメージをもっている。
それはモダンでスポーティな印象でありながら、決して過激なスタイルではない。
SUVの「モッカ」、「クロスランド」、「グランドランド」に続いて、「アストラ」もまた特徴的な「Opel Vizor」で、ブランドフェイスを備えている。
ガラスの向こう側には、兄貴分のインシニアでおなじみのLEDヘッドライト「インテリラックス」を装着することができ、1つのヘッドライトに84個、合計168個のLED素子が配置されている。
リアエンドは明確に描かれており、細い2分割のLEDテールライトが標準装備され、3つ目のブレーキランプは縦に配置されている。
中央に「アストラ」の文字が入ったトランクリッドは、軽量のプラスチック製で、オペルのロゴを介して開けることができる。
「EMP2」プラットフォームの第3進化段階にある新型「アストラ」の特別な特徴は、視覚的に大きく前に傾いたCピラーと、先代にはなかったツートンカラーの塗装をオプションで用意したことの2点だ。
フォトギャラリー オペル アストラL(2022):
結論:
新しければ良いというものではないが、新型「アストラ」はよく考えられた車という第一印象を与える。
デザイン性が高く、モダンなコックピットには、ちょっとした工夫や気配りが施されている。
そしてこれはとても良いことだ。
今回の「アストラ」が永遠のライバルである「VWゴルフⅧ」に対抗できるかどうか、興味津々だ。
「オペル アストラ」といえば、かつては地味で実直で基本に優れた自動車であった。最大のライバルである「フォルクスワーゲン ゴルフ」にも、「フォード フォーカス」などにも決して負けない性能を持っていたが、ちょっと目立たない、そんな存在であった。
でも今回のアストラは、もうお洒落でハイテク感満載で、ライバルを凌駕しているのではないか、そう見た瞬間に直感できるほど進化している。これはステランティスグループの効果なのかどうかはわからないものの、とにかく今までとは違うという主張はしっかり理解できる。
日本にもコロナ禍などの影響もあり、ちょっと遅れたがいよいよカムバックして導入されるまでカウントダウンとなったオペル。ぜひ乗ってみたい一台である。
Text: Peter R. Fischer, Jan Götze and Katharina Berndt
加筆: 大林晃平
Photo: Opel