ネオクラシック ステーションワゴン対決 ベンツ対フォード対プジョー対ボルボ 果たしてその結果は?

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メルセデス・ベンツ200T

そして、ここにコントラストプログラムがある。4シリンダーで109馬力しか出ないが、メルセデス123シリーズの比類なきクロームフェイスに囲まれている。
約270万台が生産された123シリーズは、数え方にもよるが、メルセデス・ベンツの2番目のベストセラーモデルであり、プジョー(135万台)やフォード(165万台)の2倍の成功を収めている。
メルセデス初のステーションワゴンシリーズは、その品質の高さと早くからの評価により、現在も多くの車が存在している。手頃な価格で多く供給されているのは、2種類の小型キャブレター付きガソリン車、230T(1980年まで)と200Tである。
需要が多く、価格も高いのは230TEである。6気筒のトップモデルである280TEには高い保険料が要求される。ほとんど安いのは、72馬力の強力なベーシックディーゼルの240TDのみ。状態の良い個体は15,000ユーロ(約196万円)以上の価値があるが、経年変化のある走行可能なモデルは4,200ユーロ(約55万円)からとなっている。
分割可倒式のリアシートベンチも、メルセデスでは追加料金が必要だった。後部座席はプジョーやフォードに比べて明らかに窮屈である。スプリングコアシートは、1979年の123シリーズではラビットイヤーと呼ばれる横に盛り上がったヘッドレストがなくなり、1982年にはバックレスト後部のレッグスペースが広くなるように形状が変更された。このヘッドレスト形状は後期モデルのものである。
メルセデスはテールゲートのダンパーを写真の邪魔にならないようにルーフに隠していた。しかし、トランクの中では、直立したスペアホイール(左前)が気になる。Tの奥行きは1.78メートルで、ステーションワゴンの中では最長ではない。フォードとは比べようもないほど整然としたカーゴスペースとカーペットに注意。
450 SEL 6.9のトランクは、Tモデルに比べて愛着のないデザインだった。フロアコンパートメントをロックするための金属製のロータリーハンドルや、テールゲートにあるドアオープナー(写真)など、細部にまでこだわっていることがわかる。厚手のカーペットがいかにも当時。
そしてリアウィンドウの前にある上質なロックノブ(リアゲート屋内側の写真)。
セダン用に開発されたステーションワゴン用ステアリングコラムレバーの論理では、リアワイパーは操作できない。そのためセンターコンソールのボタンが設置された。右側は室内灯のスイッチ。
1982年9月、メルセデスは全バージョンのコックピットをウッドで統一した。防御的に設計されたオートマチック(別料金)は、シフトアップが早く、低速時のキックダウンも受け付けない。0から100km/hまでのスプリントは18秒で、今回の4台の中ではメルセデスが圧倒的に速い。今見ても時代遅れの部分が少ないことには驚く。オーディオはノンスタンダード(あとで交換したもの)。
1980年まで、エステートの4気筒ガソリンエンジンには、M115と名付けられた旧230のみが用意されていた。特にパワーデリバリーと経済性の面で優れていたのは、クロスフローヘッドを備えた後期のM-102エンジンで、キャブレター付きの2リッター109馬力の200Tバージョン(今回のテスト車)と、136馬力の2.3リッターフューエルインジェクション付きの230TEとして提供されていた。エンジンルームが雑然としているのも当時のメルセデス・ベンツの特徴。
メルセデスがすべてを供給できなくなったことは、もはや常識となっている。テクニカルパーツはあるが、高価なものが多い。価格の例。フロントブレーキディスク127ユーロ(約16,000円)/個、ウィッシュボーン512ユーロ(約67,000円)/個。
標準ではこのカラードホイールキャップとなる。

ボルボ245

ボルボほどステーションワゴンという形態を一貫して使っていたところはない。1974年の夏に登場した「200」シリーズは、基本的には8年前の100シリーズをさらに発展させ、フロントを長くし、ライトを大きくし、内装を現代風にしただけのものだった。1993年まで(!)修正を加えながら製造された。
小型トラックを彷彿とさせるデザイン。ドアは縦に開き、ドライバーは箱型のダッシュボードの後ろに鎮座している。「200」シリーズのステーションワゴンは、かつての流通量や評価に比べて、現在では比較的珍しい存在となっている。走行距離の多い中古車(メンテナンスも行き届いている)が多く、最高のコンディションで、高値で取引されるコレクターズカーも数台ある。
コレクターズアイテムは、12,000ユーロ(約万160円)以上することもある。コンディション3、つまり消耗していてもすぐに乗れる状態のものを買うと、4200ユーロ(約5万円)からになる。スペアパーツはボルボではほとんど手に入らないが、フリーのディーラーからは入手可能だ。アルミのホイールやインテリアの部品は少ない。
ボルボは、アンダーステアをセーブするが、突然シフトするリアリジッドアクスルで、すべてのものがふわふわするが、それ以外では、主にその狭い幅とその明快さのために、とてもよく扱かえる。
外側のヒンジが積載高を確保。こういう処理部分が当時のボルボらしいところ。
B230Fエンジンは、「200」シリーズの「壊れない」という評価に大きく貢献した。
比較的狭いトランクだが高さはある。サイドカーペットの裏にはよくサビが潜んでいる。まだリアにヘッドレストが装備されていないことに注意。
ボルボのドライバーは、急勾配のフロントガラスの後ろに正座する。今回の4台のステーションワゴンはどれもよくレイアウトされているが、ボルボほど明快なものはない。
この実に快適そうなシート生地とプラスチックパーツのヘッドレスト。これこそがボルボである証拠。
ベロア張りのシート、しっかりとした素材選び、高いベルトラインなど、245は実に快適そうで、最初に思っていたよりもメルセデスに似ていないとさえ言える。細かい処理など、今見てもグッドデザインなところも多い。ただし全体的な仕上げは、それなり。
ボルボが約束した「ミトンをはめたドライバーでもすべての操作ができる」ということを実現するために、この巨大なヒーターコントロール、トグルスイッチ、ミラー調整レバーが採用されている。ヒーターの効きは素晴らしかったと記憶している。もちろんシートヒーターも装備。

プジョー505SX

プジョー505SXは、4気筒115馬力のエンジンを搭載し、5速マニュアルトランスミッションで後輪を駆動する。ドイツでは実質的に見かけなくなった。
実用性の高さ、そして何よりも現代的な操作性など、日常のパートナーとして頼りになる資質を備えている。ルーフレールを中央に寄せて設置することで、プジョーの幅広さを表現している。また、高いボディも印象的だ。
プジョーの全長は4.90m、ホイールベースは2.90mで、メルセデスのSクラスW116をも凌ぐ。地味で愛想のない荷室だが、こういうのこそ使いやすい。
リアパッセンジャーは、ハイマウントベンチで最も広いスペースと最高の視界を得られる。ファミリアーレでは、さらにその後ろに3列目のスペースが確保されている。シートに関しては、4台中圧倒的に快適(なはず)
2リッター4気筒エンジンは、アイドリング時にはフォードV6よりも静かで、ボンネットを開けたときの車内や前方の音も静かだ。3500rpmあたりからは、より大きくなる。
1985年までの505は、フロントのダッシュボードをフラットにすることで空気感を出していた。フェイスリフトのダッシュボードには、小銭入れも付いている。しかし、ラジオの位置はどちらのモデルも低すぎる。残念ながら当時のプジョーの室内は、こんな感じのプラスチックパーツ然としたもの。しかしシートは実に柔らかく快適そうだ。
積載スペースを確保するため、セミトレーリングアーム式のリアアクスルを廃止し、省スペースのリジッドアクスルを採用しているのが特徴。これにより、SXは限界域でのお行儀が悪くなったが、セダンと同様に機敏な動きをするようになった。妙な形のシフトノブではあるが、使いやすそう。

Text: Henning Hinze
加筆:大林晃平
Photo: autobild.de