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【ニューモデル情報】BMW 新型 2シリーズクーペ登場 直6+後輪駆動+小型のキドニーグリルを継承

2021年11月25日

新型2シリーズクーペは、伝統主義者のためのBMWだ。

ニューBMW 2シリーズクーペは、直列6気筒、後輪駆動、を維持している。我々はすべての情報を入手し、すでにトップモデルのM240i xDriveを試乗してみた。

コンテンツ一覧:
➤ 価格と市場ローンチ時期
➤ サイズと外観
➤ インテリア
➤ エンジン
➤ ドライビングインプレッション(アップデート情報!)
➤ テクニカルデータ
➤ 結論

価格は39,700ユーロ(約520万円)から: BMW 2シリーズ クーペの市場導入は2022年初頭
ニュー2シリーズ クーペは、伝統主義者のためのBMWだ。
小さなキドニーグリル、フレームレスウィンドウ付きの2ドア、ホフマイスターキンク、縦置きエンジン(トップモデルでは直列6気筒)、後輪駆動など、「G42」シリーズの構成要素はBMWの持つ古典的なものだからだ。

BMWは、2ドアの「2シリーズ」の価格もリーズナブルに設定している。
4気筒ガソリンの「220i」は39,700ユーロ(約520万円)から、4気筒ディーゼルの「220d」は最低でも42,800ユーロ(約560万円)、トップモデルの「M240i xDrive」は最低でも56,000ユーロ(約733万円)となっている。
海外では、「2シリーズ クーペ」は、2021年末からディーラーで販売されるが、ドイツでは、BMWファンは2022年1月22日まで少し長く待たされそうだ。
「2シリーズ クーペ」をベースにした新型「M2」は、その後に登場する。
おそらく「S58」エンジンの450馬力とマニュアルトランスミッションを備えているだろう。

ワイドなキドニーグリルは、冷却の必要性に応じて、ルーバーを介してエンジンへの空気の通り道を増やしたり減らしたりする。また、見た目にも美しくなっている。

BMW 2シリーズ クーペ、より長く、より広く、よりフラットに

「2シリーズ クーペ」のボディの下には、「BMW 3シリーズ」や「4シリーズ」もベースにしている、「CLAR」プラットフォームが搭載されており、バイエルンの伝統的な基本デザインを担っている。
その結果、2シリーズクーペは、先代モデルよりも全長(10.5cm)、全幅(5cm)、全高(2.5cm)が拡大している。

サイズ一覧:
● 全長: 4537mm(旧型より+105mm)
● 全幅: 1826mm(旧型より+52mm)
● 全高: 1393mm(旧型より-25mm)
● ホイールベース: 2741mm(旧型より+51mm)
● トレッド幅(フロント): 1573mm(旧型より+52mm)
● トレッド幅(リア): 1587mm(旧型より+31mm)

テールライトは独特の低い位置にある

しかし、新世代「2シリーズ クーペ」は、ビジュアル的にもステップアップしている。
オンデマンドルーバーベンチレーションを備えたワイドなキドニーグリル、ギザギザのエアインテークを備えたスポーティなエプロン、標準装備の邪眼、ボンネット上のパワードーム、そして凹型のドアハンドル(新型i4でおなじみ)などのディテールが、BMWの2ドアクーペらしい姿を整えている。

リアでは、立体的なグラフィックが施された独特の低い位置のテールライトと、デュアルパイプのエグゾーストに、正直なところ驚かされる。
トップモデルの「M240i」には台形のテールパイプが装着されている。
「G42」シリーズとしては成功した外観であり、トップモデルでは「F87」シリーズの「M2」に迫る外観となっている。

M240iは、スポーツシート、スポーツブレーキ、スポーツディファレンシャル、スポーツエクステリアミラー、19インチホイール、Mサスペンション(オプション)を装備している。

BMW 4シリーズを強く意識したインテリア

ドアを開けて中へ入ってみよう。
フレームレスのサイドウィンドウ。
ここでもクーペの世界が再現されていて、うれしい。
「M240i」のスポーツシートの着座位置は、BMWファンにはお馴染みの「低い!」だ。
スポーツステアリングホイールは標準装備。
運転席から目を離すと、「これは2シリーズクーペなんだ」と、静かに自分に言い聞かせなければならない。
なぜ?
何も知らなければ、ビッグブラザーの「4シリーズ」に座っているような錯覚に陥る。
なぜなら、操作は直感的で、背の高い人でも完璧な人間工学に基づいており、運転席と助手席の雰囲気は、威圧感のないスポーティなものだからだ。
後部座席については言うまでもなく、運転免許を持っている人であれば、自ら進んでそこに座りたいとは思わないだろう。
2人で長距離を移動する際には、標準装備の40/20/40分割リアベンチシートを倒して、390リットルのトランク容量を確保することができるようになっている。

マニュアルギアボックスは廃止されたが、8速オートマチックには最大の加速をもたらすローンチコントロールが搭載されている。

直列6気筒エンジンを搭載したBMW M240i

しかし、ミュンヘン発のクーペにとって、実用性は伝統的に二の次である。
そこで、本当の意味でのインナーバリューに目を向けてみたい。
ニュー「M240i」には、引き続き、直列6気筒エンジンが搭載されている。
最高出力374馬力、最大トルク500Nm、全輪駆動というスペックで、まずまずのパフォーマンスを発揮する。
0から100km/hまで4.3秒、最高速度は250km/hだ。
しかし、エンジンの種類にかかわらず、マニュアルトランスミッションの設定はなくなった。代わりに、優れたZF社製の8速オートマチックが採用されている。

初代BMW M2を超えるパワー

ドライビングマシン、ファンカー、ドリフトモービル・・・、「M240i」の発表会では、そんな言葉が飛び交った。
BMWの開発エンジニアは、メキシコで生産されているこの新型クーペを非常に誇りに思っている。
「M340i」などでおなじみの3.0リッター直列6気筒(B58)を搭載し、最高出力374馬力、最大トルク500Nmと、2015年に発表された先代「F22」の「M2」よりも4馬力、35Nmアップしている。
これに、リアヘビーな全輪駆動システム、ほぼ50対50の重量配分、そして「M240i」には標準でスポーツディファレンシャルが搭載されている。

アダプティブMスポーツサスペンションは追加費用が必要

スタイリッシュなプレゼンテーションカラー「サンダーナイトメタリック」の我々のテスト車には、BMWが快適性と、スポーティさを最大限に両立させるために推奨する、550ユーロ(約7万円)の電子制御ダンパー付きアダプティブMスポーツサスペンションが搭載されている。
確かにこのサスペンションは、スムーズに走行しているときには、心地よいレベルの快適さを提供し、最もスポーティな設定にしても、現行の「M3/M4」のようなハーシュネスとは程遠いものだ。

しかし、開発者の一人は、「M240i」に標準装備されているMスポーツサスペンション(今回は試乗できなかった)の方が、個人的には、よりスポーティで好きだと明かしてくれた。
新型「2シリーズ クーペ」は、走りの楽しさを追求していることがよくわかる。
さあ、「コンフォートモード」から抜け出して、ドライブに出かけよう。

BMW M240i xDriveは、カントリーロードでの楽しみが大きい。後輪駆動のバージョンも後に登場する予定だ。

BMWは、「M240i」がドライビングマシンとしての評判に恥じないよう、あらゆる面で先代モデルを凌駕することに全力を尽くした。
新しいプラットフォームを採用したことで、「F22」に比べてフロントアクスルで52mm、リアアクスルで31mmのワイドトレッドを実現している。
また、「2シリーズ クーペ」は、「4シリーズ」に採用されている、ダブルジョイント式トレーリングアームのフロントサスペンションと、5リンク式のリアサスペンションを採用している。
高速で曲がりくねったカントリーロードでは、「M240i」は、しっかりとした乗り心地で、常にドライバーに安心感を与えてくれる。
ここでは、ダイナミックストラットの追加による、ねじり剛性の向上が顕著で、ボディロールがほとんど生じなかった。

後輪駆動のM240iも登場予定

「M240i」に標準装備されている「xDrive」全輪駆動システムは、選択されたドライビングモードや走行状況に応じて、最大100%のパワーを後輪に送るフル可変式だ。
電子制御式ロック機能付きMスポーツディファレンシャル(最大100%)により、最大限のグリップを確保する。
つまり、日常的な運転では、「M240i」はほぼ常にトラクションを失うことなく、パワーを路面に伝えることができるということだ。
ローンチコントロールを使えば、停止状態から100km/h到達までの時間はわずか4.3秒となり、この分野でも「M240i」は370馬力の「M2」と同等の性能を発揮する。

オプションの19インチダブルスポーク893 Mバイカラーホイールには、ミシュランのパイロットスポーツ4Sタイヤが装着されている。

遊び心、楽しさをなくしてはいないだろうかと心配している人への朗報。
「M240i」はBMW社内では、「ドリフトマシン」というニックネームが付けられていて、ちゃんと遊び心も備えている。
可変式四輪駆動と、Mスポーツディファレンシャルの組み合わせにより、DSCをオフにしても制御されたドリフトが可能になるという。
公道では確認できなかったが、「M240i」が本当にドリフトマシンなのかどうかは、最初のレース場でのテストでわかるはずだ。
全輪駆動を望まない人は、もう少し待たなければならない。
というのも、BMWは、後輪駆動のM240iバージョンが、後日追加されて登場することを明らかにしているからだ。
「M240i xDrive」は決して軽量ではないので、それらの後輪駆動バージョンはおそらく多少軽くなるはずだ。
「M240i xDrive」の重量は1765kg(EU仕様)で、先代の全輪駆動車に比べて約150kgも重い。
BMWによれば、この重量増加は、サイズが大きくなったことと、安全性の要求が高まったことによるものだという。

2シリーズ クーペはフライウェイトではない
少なくともミュンヘンのメーカーは、この重量増をうまく隠していると言える。
ダイナミックな運転では、全長4.54メートルのクーペはとても扱いやすく感じられる。
標準装備のバリアブルスポーツステアリングは、電動機械式のラック&ピニオンステアリングシステムで、BMWの位置をピンポイントで決めることができる。
19インチホイール(ダブルスポーク893 Mバイカラー)に、1,500ユーロ(約20万円)の予算を投じると、スポーツタイヤ「ミシュラン パイロットスポーツ4S」が装着されるだけでなく、フロントアクスルのホイールディメンションが大きくなる(225/40 R 19ではなく245/35 ZR 19)。
この大きな接地面のおかげで、ステアリングレスポンスは非常にダイレクトなものとなっている。

トランスミッションには、まるでポエムのような、お馴染みの直列6気筒が組み合わされている。
500Nmの最大トルクは、1900~5000rpmの広い回転域で発揮され、8速スポーツオートマチックとの完璧なコンビを形成している。
「スポーツプラス」モードでは、トルクコンバーター式オートマチックが勢いよくギアを入れ、そのたびに車内に小さな衝撃が走る。
その際、リアの2本の台形テールパイプからは、響き渡るような重厚なサウンドが届く。

テクニカルデータ:
BMW 220iクーペ:

● エンジン: 4気筒ターボガソリンエンジン ● 最高出力: 184PS ● 最大トルク: 300Nm ● トランスミッション: 8速AT ● 駆動方式: 後輪駆動 ● 最高速度: 236km/h ● 0-100 km/h加速: 7.5秒 ● 価格: 39,700ユーロ(約520万円)より

BMW 220dクーペ:
● エンジン: 4気筒ディーゼル(+48ボルトシステム) ● 最高出力: 190PS ● 最大トルク: 400Nm ● トランスミッション: 8速AT ● 駆動方式: 後輪駆動 ● 最高速度: 237km/h ● 0-100 km/h加速: 6.9秒 ● 価格: 42,800ユーロ(約560万円)より

BMW M240iクーペxDrive:
● エンジン: 6気筒ターボガソリンエンジン ● 最高出力: 374PS ● 最大トルク: 500Nm ● トランスミッション: 8速AT ● 駆動方式: 全輪駆動 ● 最高速度: 250km/h ● 0-100 km/h加速: 4.3秒 ● 価格: 56,000ユーロ(約733万円)より

結論:
感動した!
ドライビングダイナミクスの面では、新型「M240i」は、初代「M2」と同等の性能を持っていて、十分すぎるほどのパワー、優れたシャシー、そして信頼性の高いオートマチックを備えている。
BMWは次期「M2」に対してかなり高いハードルを設定したことになる。
56,000ユーロ(約733万円)の「M240i」は、2015年の初代「M2」と同じレベルの価格(56,700ユーロ=約742万円~)でもあり、我々のテスト車の価格は、71,990ユーロ(約942万円)でもあった。
この金額は、なんとも高額だ!

「BMW 2シリーズ クーペ」の良いところ、それはこの絶妙なサイズと、直列6気筒で、FRで、都会的なスマートさ、というBMWが本来持っているべきものを全部持っているというところだろう。昨今の大げさなキドニーグリルではなく、ちゃんと昔ながらの形状のキドニーグリルを持っていることも、大きな魅力と言える。
強いて言えば(毎回くどくて申し訳ないけれど)、逆回転のタコメーターとややうるさい処理のテールランプ形状は残念だが、そんなことは些細なもの、といえるほど、この本流のBMWクーペは良い感じではないか。
ちょっと年齢を重ねた人が、さらっと乗っていてもきっと絵になるし、こういう大きすぎない上品な2ドアクーペというのは、昨今なかなか見つけられない類の自動車なのである。もはや価格が高いのはしょうがない、とも思うことにしたいが、それでも昔はこの価格で、「633」とか買えたのになぁ、と思ってしまうのはあまりにも古臭い繰り言である。

Text: Peter R. Fischer and Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: BMW AG