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【初テスト】もっとも安価で購入しやすいメルセデス 新型メルセデス シタンに初試乗 そのレポート

2021年11月18日

新型シタンで、メルセデスはトラックに欲望を抱く。最も手頃な価格のメルセデスは、スモールバンのシタンだ。我々は、このルノー カングーの兄弟モデルであるメルセデス・ベンツの無数のフラップの裏を覗いてみた。

メルセデスはルノーであり、ルノーはメルセデスである。あるいは、そのようなものか。いずれにしても、「シタン」はこれまでのところ、悪気はないのだが、メルセデスによる「カングー」のコピーという程度のかなり味気ないものだった。しかし、今回の新型ですべてが良くなるかもしれない。2022年モデルの「シタン」は、より洗練され、より安全で、最終的にはより独立したものになるはずだ。よりベンツチックに、よりメルセデス的に、それがシュトゥットガルトに本拠を置くメーカーの考えだ。

そして?その作戦はうまくいったようだ。このバンは、ルノーと同じエクステリアの輪郭を持っている。しかし、典型的なLEDライトシグネチャーを備えた、より洗練されたフロントライト(Bクラスと同じもの)だけが、より現代的な内容を示唆している。作戦が奏功したことを裏付けるのはインテリアだ。ステアリングホイールのボタン、ディスプレイ、そして最新の操作ロジックは、すべてシュトゥットガルト製だ。私たちが「ヘイ、メルセデス」と言うと、「シタン」はそれに応えてくれる。パネルバンとツアラー(2~3列シートの乗用車)の両方に、MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエキスペリエンス)インフォテイメントシステムが搭載されているからだ。そして、体をしっかりサポートしてくれるシートは、気持ちよく座れるように仕上がっている。

シタンでは、すべてのものがしっかりと取り付けられ、少ないジョイントでセットされ、ガタつきなく配置されている。この写真だけみれば、メルセデス・ベンツそのもの。

偉大なる重要点はそのクオリティの高いワークマンシップにある

また、厚みのあるステアリングホイールは、商用車の中にうまく溶け込んでいる。ドアパネルは、素材的に地味なので、こだわりのある方には気になるかもしれない。その慰めとしては、すべてがしっかりと取り付けられていて、継ぎ目が少なく、ガタつきなく配置されていることだ。我々のテスト車である、131馬力の1.3リッターのガソリンエンジンを搭載した「シタン113」は、元気に仕事をしてくれる。試乗したのは5人乗りのツアラー(追加料金で7人乗りに拡張可能)で、6速M/T(7速DCGはオプション)との組み合わせは堂々としていて、動きもスムーズだ。そしてその直後に気づいたのだが、「シタン」はとても快適に転がり、車線内をきれいに走る。

1.3リッターのガソリンエンジンを搭載したシタンは、路上での動きがきびきびしている。一方、1.5リッターのディーゼルエンジンでは、2000rpmから、変な唸りとともにやや不快な印象を受ける。

ディーゼルはまだお勧めできない

特に可変パワーステアリングは、非常に適切なフィードバックと、速度に応じた適切なサポートを提供してくれるので、シタンは生き生きとしている。急な方向転換時にも、ESPが抜群に速く、強調して仕事をしてくれ、車はとにかく絶対的に制御可能なチューニングが施されているようだ。ところで、メルセデスは、パネルバンをトリミングして積載量を増やし、荷物を満載した状態でも走行安定性を確保している(最大782kg)。

ただし、ツアラーとは異なり、コンプリートドライビングアシスタンス(パッケージ)は別料金となる。また、1.5リッターディーゼルの112CDI(120馬力)は、エンジン回転数が低いと力強く走り、思いのほか静かなのだが、プリプロダクションモデルの4気筒エンジンは、2000rpmからうなり声やゴロゴロという不快な音がする。スライディングモードでもメルセデスは改善されていて、しっかりとした挙動を保つ。加えて、高い機能性と実用的なディテールが心強い。

テクニカルデータ: メルセデス シタン ツアラー113
● エンジン: 4気筒ターボ、フロント横置き ● 排気量: 1332cc ● システム最高出力: 131PS@5000rpm ● 最大トルク: 240Nm@1600rpm ● 駆動方式: 前輪駆動、6速MT ● 全長×全幅×全高: 4498×1859×1832mm • 乾燥重量: 1556kg • ラゲッジコンパートメント容量: 517~2390リットル ● 最高速度: 183km/h ● 0-100km/h加速: 13.0秒 ● 燃費: 14.0km/ℓ ● CO2排出量: 146g/ℓ ● 価格: 26,481ユーロ(約350万円)より

結論:
「シタン」は慎重に考えられ、きちんと組み立てられている。ツアラーとしての快適性、パネルバンとしての積載性など、幅広い領域をカバーしている。
典型的: メルセデスらしいのは、セーフティデバイスシステムを備えるためには、エキストラコストがそれ相応にかかることだ。

メルセデス・ベンツとルノーの組み合わせというと、まず頭に浮かぶのは「スマート」と「トゥインゴ」の兄弟車である。あのリアエンジンの小型車は、なかなか魅力的で、欲しい小型車の一台ではあるが、個人的に購入するとしたら、やっぱり「トゥインゴ」になるだろう。この「メルセデス シタン」は、もちろん「ルノー カングー」の兄弟車であって、その度合いはかなり「ルノー カングー」寄りのものである。内装は今流のメルセデス・ベンツのものになっていたとしても、コンポーネンツのほとんどは「カングー」だし、おそらく乗ってみれば「ルノー カングー」だろう。でもそれは決して悪いことではなく、基本に忠実で、実用車の鑑たる「カングー」の中身であれば、安心して選んで良いのだから。以前にあった、「メルセデス・ベンツ ヴァネオ」と比べたら、はるかに良い話だし、あのどうしようもなくダメだったクルマに比べれば、「シタン」は夢のように良い実用車なはずだ。ルノーと共同開発で良かった・・・。と書いていたところに、いきなり「ダイムラーベンツ、ルノー株売却」のニュースが入ってきた。さて今後、どうなってしまうのか。もうこういう魅力的なコラボレーション企画は打ち止めなのか。気になるニュースである。

Text: Jan Horn
加筆: 大林晃平
Photo: Daimler AG