【ニューモデル情報】第5世代レンジローバー発表! フルモデルチェンジしたレンジローバーの全ての情報をお届け
2021年10月30日
新型レンジローバーはややスマートに見えるが、真のオフローダーであることに変わりはない。オフロードの資質はそのままに、デザインは洗練されたものになっている。すべての情報!
テーマ一覧:
➤ 外観
➤ インテリア
➤ リア
➤ レンジローバーSV
➤ コネクティビティと機能
➤ サイズ
➤ オフロード機能
➤ 全輪駆動とテクノロジー
➤ エンジンラインナップと価格
エレガントさと実用性を両立させたクルマは少ない。この技術を他に先駆けて習得したモデルのひとつが、50年以上も前から存在する「レンジローバー」だ。英国王室だけでなく、ジェームズ ボンドも映画の中でも「レンジローバー」は使用されてきた。そして今回、ランドローバーが発表するのは、その5代目となるモデルだ。果たしてこのニューモデルも、本格的なオフローダーでありながら、高級セダンのようなインテリアを備えているのだろうか?
外観: 洗練されたレンジローバー
車両全体のデザインは、以前よりもずっと滑らかになっている。典型的なブランドグリルは再解釈され、非常に縮小されたエプロンと融合している。サイドでは、ホイールサイズが23インチに拡大され、ドアハンドルは「ヴェラール」と同様に、ボディワークの中に埋もれている。
また、ピラーをブラック化したことも、新型の印象を大きく変えている。まるでルーフが自由に浮いているかのように見えて、リアには、一見するとテールライトがないように見えることだ。実際、このライトは使用時にのみ現れ、それ以外は単に深い黒の表面に覆われている。
インテリア: ディフェンダーとの類似性
インテリアはいつものように豪華で、何の不満もない。ボタンの付いたステアリングホイールは、ディフェンダーのそれに近いものがある。シャシーモードの選択には、エレガントなロータリーコントロールを採用している。レザー以外にも、ヴィーガン素材や、ウールとリサイクルプラスチックを組み合わせた素材が使用されている。エンターテイメントは、オプションの13.7インチタッチスクリーンで提供され、将来的にはダッシュボードに設置される予定だ。
リア: レンジローバーはまだまだラグジュアリーを提供できる
リアは、ショートホイールベースでもすでに十分な広さを確保しているが、さらに広いレッグルームをご希望の方は、ロングホイールベースバージョンを選べる。今回は3列シートバージョンも選択できるところも特徴であろう。2列目の窓には、電動ブラインドが装備され、センターアームレストには快適機能をコントロールするタブレットが設置されている。また、オプションで、フロントヘッドレストにもスクリーンが設置できるようになっている。
座席構成に応じて、2列目には、2席または3席が用意されている。また、ロングホイールベースの「レンジローバー」では、ランドローバーとしては初めて3列目のシートが用意されている。そして、たとえ3列目であっても、大人が乗っても違和感のない、高級感のある座り心地を追求している。
レンジローバーSV: これほど快適なSUVはない
ベーシックな「レンジローバー」であっても、平凡とは言い難いことは間違いないが、それでは物足りないという方にはSVバージョンをお勧めする。ここでは、英国人が再びあらゆる手を尽くしている。「スペシャルビークルオペレーションズ」という、社内の高貴な鍛冶屋で、特別な種類の「レンジローバー」が手作業で製造されているからだ。ニューモデルには、セラミック製のエンブレムが装着されており、その他にも多くのセラミック製のディテールが施されていることが分かる。「レンジローバーSV」のロングホイールベースバージョンを注文した人は、「シグネチャースイート」というオプションがある。そこでは、24方向に調整可能な成形個別シートが用意されている。また、電動テーブルも装備に含まれている。
コネクティビティと機能: 新しいインフォテイメント
新型「レンジローバー」には、13.1インチのタッチスクリーンと「Pivi Pro」インフォテイメントが標準装備されている。オプションで、タッチスクリーンは、最大13.7インチにすることができるようになっている。3部構成のメニューレイアウトにより、システム内のナビゲーションを容易にし、より直感的な操作を可能にしている。また、Amazon Alexaとの連携により、音声操作もよりスマートなものになっている。後席には、オプションの11.4インチスクリーンを前席の後ろに設置することができるようにもなっている。また、ヘッドレストに設置されたスピーカーのおかげで、新型「レンジローバー」は室内にアクティブノイズキャンセレーションを搭載している。これは、車内に侵入する騒音を低減し、快適性を高めるためのものだ。絵に描いたような夕日のファンは、将来的に新型「レンジローバー」のトランクからその景色を楽しむことができる。オプションとして、テールゲートをシートに変更することも可能だ。また、テールゲートにはスピーカーが装備されており、風景に合った音楽を楽しむことができる。
サイズ一覧:
● 全長: ショートホイールベース: 5052mm / ロングホイールベース: 5252mm
● 全幅(ミラー全開時): 2209mm
● 全高: 1870mm
● ホイールベース: ショートホイールベース: 2997mm / ロングホイールベース: 3197mm
● トランク容量: ショートホイールベース: 725~1841リットル / ロングホイールベース: 725~2601リットル
オフロード性能: 真のオフロードカーであることに変わりはない
オフロード性能に関しては、先代と比べてもまったく譲歩していない。フロントで34.7度、リアで29度のバンク、90cmの浅瀬、29.5cmのグランドクリアランスなど、「レンジローバー」は、依然として真のオフロードカーであり、これからもお財布に余裕のある人をどこへでも連れて行ってくれるはずだ。
全輪駆動とテクノロジー: 全輪操舵が可能に
すべての「レンジローバー」には全輪操舵が搭載されている。これは、特に狭い市街地での操縦性を向上させることを目的としている。もちろん全輪駆動も標準装備されており、ベースモデルには、すでに、アクティブリアアクスルロッキングディファレンシャルが装備されている。このドライブトレインは、道路状況やドライビングスタイルに合わせてソフトウェアで調整され、常に最適なトラクションが得られるようになっている。
エンジンと価格: 2024年には電気自動車も登場
V8を除くすべての駆動方式は、マイルドハイブリッドとして電動化されている。ディーゼルエンジンは、250馬力、300馬力、350馬力、ガソリンエンジンは400馬力からとなっている。トップモデルはV8のままだが、出力は以前より低下している(530馬力)。プラグインハイブリッドドライブは、将来的には、6気筒を搭載し、2つの出力レベル(440馬力と510馬力)で提供され、電気での航続距離は少なくとも100kmに達すると言われている。もちろん、これらはすべて代償を伴う。価格は、英国では、121,200ユーロ(約1,600万円)からとなっている。注文はすぐに受け付けられており、納車は2022年春に開始される予定だ。オール電動バージョンを希望する人は、2024年まで待たなければならない。その後、「レンジローバー」には電気自動車の派生モデルがさらに登場するという。
エンジンラインナップ:
ガソリンエンジン:
● レンジローバーP400: 直列6気筒マイルドハイブリッド、出力: 400馬力、トルク: 550Nm、トランスミッション: 8速オートマチック。
● レンジローバーP530: V8、出力: 530馬力、トルク: 750Nm、トランスミッション: 8速オートマチック。
ディーゼル:
● レンジローバーD250: 直列6気筒マイルドハイブリッド、出力: 249馬力、トルク: 600Nm、トランスミッション: 8速オートマチック。
● レンジローバーD300: 直列6気筒マイルドハイブリッド、出力: 300馬力、トルク: 650Nm、トランスミッション: 8速オートマチック。
● レンジローバーD350: 直列6気筒マイルドハイブリッド、出力: 350馬力、トルク: 700Nm、トランスミッション: 8速オートマチック。
PHEV:
● レンジローバーP440e: 直列6気筒+電気モーター、システム出力: 出力:440馬力、トルク: 620Nm、トランスミッション: 8速オートマチック、純電動航続距離: 最大100km。
● レンジローバーP510e: 直列6気筒+電気モーター、システム出力: 510馬力、トルク: 700Nm、トランスミッション: 8速オートマチック、純電動航続距離: 最大100km。
5世代目となった「レンジローバー」、フルモデルチェンジの写真をじっくり見て、あんまり変わっていないような、でもやっぱり変わっているような、そんなモデルチェンジだと思った。もちろん内容的にはフルモデルチェンジだから数々の進化が見られるし、今後の電動化を考えれば必須のフルモデルチェンジであったことは言うまでもない。すっきりした感じのエクステリアデザインもそうだが、内装もかなりシンプルで華美さはなく、端正な感じの高級とはこういうものか、と思うようなディテールの部分が多い。もちろん、どんな姿をしていようとも、「レンジローバー」と名前がつけば、オフロード性能は文句なしなことは想像がつくし、おそらく快適性は大幅にアップしていることだろう。価格に関しては、今回はなんだかんだで、最低でも2,000万円以上は必要になるような価格帯となったが、これでもライバルであるはずの「ベントレー ベンティガ」や「ロールスロイス カリナン」よりは安いし、買える層にとっては意外と安い、と言われてしまうかもしれない。それにしても、昔のシンプルで機能的な「レンジローバー」に憧れていた身としては、超高級で、自分とは縁のない別世界のクルマなってしまったことが、ちょっと寂しい。
Text: Andreas Huber
加筆: 大林晃平
Photo: Jaguar Land Rover