【初テスト】3シリーズのプラグインハイブリッドステーションワゴン BMW 320eツーリングに初試乗&レポート
2021年10月27日
BMWは、そのプラグインハイブリッドモデルをダイエット中だ。
走行性能のダイエットにもかかわらず、プラグインハイブリッドの3シリーズはテストで納得させてくれる。330eのように292馬力のパワーではなく、320eツーリングは204馬力だ。果たしてそれでいいのか? 我々が検証する。
わずか1.4リットルの燃料消費量?
これは信じられない値だ。
そして、プラグインハイブリッド車にありがちなのが、少しだけだまされていることだ。
プラグインハイブリッド車は、常に非常に楽観的なパンフレット上の値で輝いている。
このことは「BMW 3シリーズ 320e ツーリング」も同様だ。
その数値実現は守られないからだ。
実験室よりも、ずっと実践的な運転スタイルでの消費ラウンドでは、このステーションワゴンが100km走行するためには、バッテリーからの9.3kWhの電力と、4気筒の4.6リットルのハイオクガソリンが必要となる。
搭載されているバッテリーの容量は12kWhであるが、トランクに大きなスペースを取ることはない。
ちなみに、「320e」は、最大1420リットルの荷物を積むことができるようになっているが、同シリーズの従来のステーションワゴンは90リットル多く飲み込める。
このプラグインハイブリッド車のその他の部分は、典型的な「3シリーズ ツーリング」である。
フロントのサポート性の高い非常に優れたシート、リアのやや乗り込みにくいエントリースペース、荷室の水平なフロア、すべてが非常にきれいに組み立てられ、仕上げられている。
一言で言えば、この「3シリーズ」の装備はアッパークラスだ。
「320e」は、高速リアルタイムナビゲーションやボイス&ジェスチャーコントロールを備えた、使いやすいマルチメディアシステムでも注目を集めている。
充実したドライビングアシスタンスも安心して使用できる。
204馬力のシステム出力を持つステーションワゴンは、十分な性能を発揮
誤解を招くような燃費の悪さを除けば、このクルマに弱点はない。
システム出力204馬力の力強さは、1.9トン近い重量のステーションワゴンを、停止状態からでも軽々と前進させる。
また、「320e」は純電動モードでも走行可能で、テストでは約48km、走行した。
ガソリンエンジンが作動しているときでも、「3シリーズ」は快適な静粛性を保っている。
さらに、8速オートマチック(プラグインには標準装備)が、目立たないようにギアを切り替え、軽負荷時には低回転で振動も少なく、音もほとんど気にならず、心地よくリラックスした状態で走行できる。
そして、それは決して動揺しないサスペンションにもマッチしている。
ボタンを押すと、アダプティブサスペンション(1200ユーロ=約16万円)が効果的に段差を解消したり、アスファルトの表面にしっかりと食い込んだりする。
ステアリングには復元力がなく、ちょっとしたハンドリング修正にもぴったりとついてきてしまう。
補助金で少し安くなった320e
「320e」はバッテリーアシストがないと、100km走行で7.6リットルのガソリンを消費する(リッターあたり13.1km)。
公共充電用の接続ケーブルは標準で搭載されているが、その他のアイテムは、少なくとも50,500ユーロ(約670万円)という高い購入価格に、オプション費用が加算される。
ドライブアシスタンスなども、追加料金でのみ可能となっている。
一方、「大きな」マルチメディアシステムである、「ライブコネクテッドプロフェッショナル(Live Connected Professional)」は、「320e」には初めから搭載されている。
重要な要素だ。
このモデルには5,625ユーロ(約75万円)の補助金(環境ボーナス+イノベーションプレミアム)が授与される上に、ツーリングは、(ドイツでは)税率が半分になる社用車としても、有利なオファーだ。
結論:
高価な車だが、補助金や社用車としての特別扱いのおかげで安く購入できる。
その他: 優れた車、高い快適性、安全なアシスト、全体的に経済的なドライブをすることができる。
AUTO BILDテストスコア: 2
日本では家庭における充電システムの普及などから今一つ人気のない、プラグインハイブリッドであるが、ヨーロッパではまだまだ毎月新しいモデルが発表されているところを見ると、一定の需要が存在していることがわかる。
そのプラグインハイブリッドの中にも、今回の「BMW 3シリーズ」のように、大きいバッテリーとパワーを持つモデルと、やや小さめのパワーを持つモデルが混在するといったように、様々なモデルが存在している。これだけのモデルを開発する方が大変だろう、とつい気の毒になってしまうが、それでもまだまだこういうバリエーション追加の速度は落ちそうにない。
どのプラグインハイブリッドのモデルが一番いいのか、同じ車種の中にも様々なバリエーションがあるということは、実に悩ましい問題である。さらにプラグインハイブリッドの場合、ちょっとした故障(例えばバッテリー交換や、インバーター修理など)でも、かなり高額のものになってしまう、と聞く。自分の生活にとってどのシステムの自動車が一番適しているのか、今一度しっかり考えて選んでほしい。
Text: Jan Horn
加筆: 大林晃平
Photo: Christoph Börries / AUTO BILD