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【10万km耐久テスト】「スズキ スイフト スポーツ」を分解して耐久性を評価する

2021年10月19日

スズキ スイフト スポーツ: このスイフト スポーツは、黄色の魅力的なボディカラーだけでなく、非常に優れていた。10万キロを超える耐久テストでは、スズキ スイフト スポーツは多くの退屈を引き起こしたが、それはワークショップの中だけで、路上ではなかった。

AUTO BILDの耐久テスト車の中でも、あまり目立たないモデルもあって、その車が2年間編集部のガレージに出入りしていたことを、解体されるまで気づかない同僚もいるほどだ。しかし、チャンピオンイエローの「スズキ スイフト スポーツ」には、そんなことは起こらなかった。 スズキの作ったこの「爆竹」はすぐに多くの話題を呼んだ。「最高に楽しいマシン、小さな黄色いやつ」、「機敏で生意気な小さなやつ」、さらには 「高回転型ターボ、ミニ クーパーSよりも楽しい」と。

これだけ褒められれば、そりゃあ気にならないわけがない。そんなわけで、「スイフト スポーツ」は、出張の際には、優れた移動手段として、多くのスタッフから求められるようになった。編集部と目的地の間に数百キロの距離があっても、だ。なぜなら、すぐに噂になったのだが、この小さな車は、快適さに関しては、ほぼ妥協を許さず仕上げられているからだ。

37リットルの小さな燃料タンクに苦情や批判

スイフトはシャシーのチューニングが抜群で、長距離走行にも適している。また、太いテールパイプの割にはあまりにも静かすぎて、批判する人たちもいるくらいだ。それよりも、同僚たちが、長旅でスイフトを罵倒することがあったのは、37リットルという小さなガソリンタンクのせいだった。「250km走って5分で給油、250km走って5分で給油・・・」と、クラシックカーマンのヘニング ヒンツェは、ロングトリップでの煩わしさを指摘した。少なくとも、非常に洗練された4気筒エンジンをフルパワーで楽しむと彼の言うとおりとなった。だが、多くの人が喜んで、頻繁にそれを実行した。

2つ目の長距離走行の際の難点は、断熱材が薄いため、タイヤノイズをはじめ、様々なノイズ車内を騒々しくしてしまうことだった。ヘッドライナーを取り外すと、スイフトはその事実を目の当たりにした。解体チームがすぐに見ることができたのは、禁欲的なアスリートの薄っぺらな内装だった。他の小型車は、もう少しましだ。しかし、「スイフト スポーツ」は、それらの省略により、並外れて正直で、何よりも軽量なアスリートになっている。960kgという実測値は、今の時代、本格的な5人乗りで、そこそこのトランク容量を持つ車としては、驚異的な値だ。もちろん、満タンの状態である。

非常に洗練された4気筒エンジンは、運転していて楽しい。それだけに、より高いエンジン回転数への欲求も一方で生じた。

テクニカルデータ
● エンジン:4気筒ターボ、フロント横置き ● 排気量:1373cc ● 最高出力:140PS@5500rpm ● 最大トルク:230Nm@2500rpm ● 駆動方式:前輪駆動、6速MT ● 乾燥重量:960kg • トランク容量:265~947リットル ● 最高速度:210km/h ● 燃費:17.5km/L● CO2排出量:135g/L

価格と楽しさのバランスが取れている

しかし、「e-car」レベルの航続距離を望まなければ、批判的な意見はほとんどなかったが、装備にはいくつか問題があった。インフォテインメントシステムは出来が悪く、ほとんどの人がスマートフォンを接続してApple CarplayやAndroid Autoに切り替えた。リアビューカメラの表示は雑で画像は2秒ごとに更新されるというお粗末さ。そのため、まだ遠くにあった障害物が、突然、画面いっぱいに表示されてびっくりさせられることがあった。しかし、LEDライト、ナビゲーション、オートマチッククライメートコントロールなどの優れた機能が22,000ユーロ(約290万円)弱の車に搭載されていたことを忘れてはならない。

そして、6つのギアをきびきびと動かしながら、このフェザー級の車でコーナリングを楽しめば、すぐに結論に達した。スイフトのコスパの高さは素晴らしい!と。

スイフトのハンドリングの良さは、しばしば賞賛された。しかし、一方で、過敏に反応するアダプティブクルーズコントロールは批判されることが多かった。

耐久テスト終了後の分解時の状態の良さ

そんなこんなで、10万キロは我々テスターが思っていたよりもずっと早く過ぎていった。エンジンは一つの故障もなく、一つの問題もなく、スイフトはドライバーがオイルを補充することさえ望まなかった。

耐久テストのルールで分解される時期が来たのだが、「このクルマをもっと楽しめたはずだ」というのが我々の印象だ。ただ、元ラリードライバーのニキ シェルを中心とした、メカニックチームの仕事ぶりは見ていて楽しいものだった。55歳の元スズキのドライバーは、この黄色いスポーツカーを、どんなに酷使しても壊すことはできなかったと言う。シャシーの切り口やドリル穴、溶接の継ぎ目に錆が発生し始めたのが見つかったが、それ以外の点では、優美なデザインの「スイフト スポーツ」の状態の良さに驚かされた。

スタッフが内視鏡を使ってようやく不具合を発見した。後部縦断部材の切り口、ドリル穴、溶接部などに錆が発生していたのだ。残念だが、結果的に減点対象となった。
耐久テストが終ってしまったのは残念だ。このクルマが手もとにあればもっと楽しめたのに。
楽しさの方程式。10万kmに及ぶ耐久テストで、スズキ スイフトスポーツの140馬力で960kgの車重というミニマリズムが、軽快な走りと適正な燃費を実証した。
「スイフト スポーツ」は、長距離の移動手段として引っ張りだこだった。それが数百kmの距離があってもだ。なぜなら、快適性に関しては、妥協を許していないからだ。
日本人がチューニングしたシャシーは、長距離走行にも耐えうるものになっている。また、太いテールパイプにもかかわらず排気音は本当に静かだった。
しっかりしたシートの質は高い。しかし、高い着座位置が「コーチボックス」という悪口を言われた。それ以外はほとんど批判されなかった。
そして、6つのギアをテキパキとシフトチェンジして、レスポンスの良いターボエンジンを楽しみ、このフェザー級の車でワインディングロードを走れば、結論はすぐに出る。価格と楽しさのバランスが素晴らしい!と。
10万kmの走行は、我々テスターが思っていたよりもずっと早く過ぎて行った。一度も故障せず、トラブルもなく、オイル交換もしていない。分解することが無意味なものに思えた。
エンジンブロックには、測定可能な摩耗は存在しなかった。
アイドラープーリーの遊びが大きくなっていた。
クラッチは耐久テストでかなりの負荷がかかっていたが、動作に問題はなかった。
すべてのシリンダーに優しい走行痕がある。ホーニングの跡がはっきりと残っているが、摩耗は測定できない。
トランスミッションは頑丈に作られており、耐久テスト後も異常は見られなかった。
吸気バルブの堆積物は、ダイレクトインジェクションによるものだ。まだ問題はない。

結論:
ドライバーから猛烈なアタックを受けることが多い優美なデザインの「スイフト スポーツ」が、当初、これほど自信を持って耐久テストを乗り切ることに賭けるスタッフメンバーはいなかっただろう。しかし、その信頼性はしっかりと証明された。防錆対策がよりしっかりしていれば、この生意気な小型ホットハッチは、最高評価の「1+」にさえなっただろう。
グレード: 1

まず何より、本国AUTO BILD編集スタッフのしっかりと良い評価を下してくれたことは、とても誇らしいし、単純にうれしい。彼らの「スイフト スポーツ」を愛する様子が伝わってきて、とても愛らしい。「スズキ スイフト スポーツ」は以前より、モータージャーナリストの間でも評価が大変高く、プライベートカーとして、購入し、愛用している人もいるほどの一台である。 普通の「スイフト」とは別ものとはいっても、やはりベースとなった車輛の基本的な性能や成り立ちが正しかったからこそ、これだけ高評価を得るようなモデルになれたのであろうことは間違いない。

「スイフト スポーツ」の良いところは、なんといってもそのサイズと価格で、これだけのドライビングプレジャーのクルマがこの価格で購入できるのは、スズキならではだ。またこのクラスのホットハッチバックが、どれも以前よりはるかに大きくなってしまっている現代では、きっちりとコンパクトさを死守したその大きさも魅力的な要因だろう。

今回のレポートを読むと、その耐久性能も大変高く、おそらく長期間所有しても維持費は何も心配いらないだろうし、日本人としてこういう自動車がまだ存在していることを誇らしく思う。個人的には内装の色使いだけはもうちょっと落ち着いたものにしていたら、と思ってしまうが、ここだけは現地の市場での要求が強いのか、ちょっとオジサンには目に痛いのが残念ではある。

Text: Stefan Novitski, Tim Dahlgaard
加筆: 大林晃平
Photo: Uli Sonntag / AUTO BILD