【バーンファインド物語】約30年捨て置かれた無残な姿のランボルギーニ エスパーダ 納屋の隅で見つかる

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30年以上も納屋に置き忘れられていたランボルギーニ エスパーダ。約30年間、イギリスの古い納屋にランボルギーニが佇んでいた。このたび、その希少なエスパーダが発掘され、オークションに出品されることになった!

そのランボルギーニは、30年以上前に人里離れた納屋に保管され、その後忘れ去られていた。この「エスパーダ」が、どのような状況でそこに置かれていたのかは、部分的にしか解明することはできないが、今、この希少な4シーターはレスキューされ、ちゃんとした場所に保管された。そして、これが「ランボルギーニ エスパーダ」のバーンファインディング(納屋での発見)ストーリーだ。

人里離れたウィンダーミア湖(イギリス北西部にあるイギリス最大の自然湖)近くの農場。ここにこそ、30年以上もの間、所有者に忘れられ、人目に触れることのなかったランボルギーニがあったのだ。このエスパーダを発見したのは、「The Late Brake Show」という、YouTubeチャンネルを運営し、過去にも何度かバーンファインドを扱ったことのあるジョニー スミスだ。彼のYouTube視聴者のドミニクは、スミスに連絡を取り、忘れ去られていた「ランボルギーニ エスパーダS3」を、彼の目に留めさせ、光を当てることに成功した。

このバーンファインディングストーリーは、30年以上前に、ランボルギーニのオーナーが土地の所有者に、「エスパーダ」をしばらくこの小屋に置いておいてくれないかと頼んだことから始まる。もちろん、それなりの賃料を払ってのことだ。ここまでは、ごく普通に、よくある話であるが、ここからが今回は特別なストーリー展開となる。2人は価格に合意し、「エスパーダ」は、ターポリン製カバーの下で、安全かつ乾燥した状態で小屋に保管された。しかし、数ヵ月後、突然支払いが止まり、ランボルギーニのドライバーは忽然と姿を消した。小屋の所有者は、その男性から二度と連絡を受けることはなかった。

それ以来、「エスパーダ」は放りっぱなしで、小屋の土地の所有者が数ヶ月前に亡くなっていなければ、おそらくあと数年は小屋の中で気づかれずにいただろう。相続人が家と農場を売ろうとしたとき、1968年から1978年の間に、わずか1,217台しか製造されなかった「エスパーダ」に出会い、あやうく、マルチェロ ガンディーニが描いたフロントエンジンのV12をスクラップにしてしまいそうになった。

しかし、幸いにも家族の一人が、ドミニクが車に強い関心を持っていることを覚えていて、2台の「ヴァクスホール キャバリエ」と「カリブラ(日本ではそれぞれオペル ベクトラとカリブラとして知られている)」の間に「エスパーダ」を見つけたとき、彼はすぐにジョニー スミスに連絡を取り、一緒にエスパーダを発掘した。

最大350馬力のV12

二人は一生懸命調べた結果、それが1972年から1978年に製造された最終進化段階の「エスパーダS3」であることが明らかになった。驚くべきことに、高さが1.18メートルしかない、4人乗りのランボルギーニの状態は、それほど悪くないようだ。これは、「エスパーダ」が長い間ターポリン製カバーで覆われていたことに起因するのかもしれない。そのカバーがいつ取り外されたのかは不明である。もちろん、白い塗装には鳥の糞や埃が付着しているが、ヴォクスホールに比べれば、ランボルギーニはそれほど大きなダメージを受けていないようだった。それでも困ったことに、ランボルギーニのエンブレムや「エスパーダ」のバッジはすべて失われているが、それを除けば、現在でも未来的な印象を与える「エスパーダ」は、30年間放っておかれたにしては、比較的良い状態にあるように見える。

「エスパーダ」は、「350/400GT」、「イスレロ」、そして伝説の「ミウラ」に続く、ランボルギーニの4番目のモデルである。4人乗りの真のグランツーリスモを目指したこのモデルは、発表当時、技術的にも優れていた。1968年には、早くも独立懸架式サスペンションとディスクブレーキを装備していた。大きなフロントフードの下には、3929ccのV12エンジンが鎮座し、当初は325馬力、後には350馬力にも達した。最高速度は245km/hで、一時的には世界最速の4シーターにもなった。とはいえ、「エスパーダ」は決して成功したモデルではなかった。生産開始から10年間で、サンタガータボロネーゼの工場から出荷されたのは、わずか1,217台だった。その後も、「エスパーダ」はランボルギーニの中でも人気のないモデルのひとつだった。

良好なランボルギーニ エスパーダは10万ユーロ(約1,300万円)から購入可能

全長4.67メートルのシャープなデザインの「エスパーダ」がクラシックカーとして人気を博し始めたのは、近年のことである。高級車であるがゆえに、最近では10万ユーロ(約1,300万円)以下の個体を見つけるのは難しい上に、非常によくメンテナンスされたエスパーダは、15万ユーロ(約2,000万円)以上の価値があると言われている。もちろん、このバーンファインディング「エスパーダ」は、最高の状態にはほど遠いが、7,477kmという、極めて少ない走行距離と、それに伴うヒストリーは、コレクターにとって朗報になるはずだ。特に、エスパーダの中身は良く、V12は完全で、ブルーレザーのインテリアにはわずかなダメージしかなく、ランボは一見すると、ほとんど錆びずに済んでいるようにも見える。今、「5 MBP」というナンバープレートの「エスパーダ」に真剣に興味を持っている人には、さらに朗報がある。なぜなら、この「エスパーダ」はスクラップされることから救われ、2021年末までにオークションにかけられるからだ。

まだまだバーンファインディングのニュースは続いているようで、今回は「ランボルギーニ エスパーダ」である。「カウンタック」でも、「ミウラ」でもなく、「エスパーダ」というところが実にエンスージャスト心をくすぐるというか、個人的にはなんともシブイいい車種ではないかと思う。文中には「不人気」と書いてあるが、不人気でけっこう、こういうモデルにこそ、妙にツボを刺激する何かがあるのであって、みんながみんな、読売巨人軍と、王選手と、長嶋選手だけが好きなプロ野球など、つまらないではないか(と、例えが古くてすまないけれど)。

やっぱりこういう、ちょっと本流を離れたところにこそ、面白さやストーリーは生まれるものだし、「エスパーダ」、いいじゃぁないかと、つい嬉しくなる。価格も1億、2億は当たり前の昨今の事情を考えれば、リーズナブルともいえる価格だし、まあ高騰することはないだろうけれども、誰か生粋のランボルギーニファンの人に救助されて、きれいに姿に戻ってくれることを願わずにはいられない。

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: Youtube/The Late Brake Show

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