1. ホーム
  2. SUV
  3. フォルクスワーゲン「T-Roc」はマルチパーパスビークルのお手本だった

フォルクスワーゲン「T-Roc」はマルチパーパスビークルのお手本だった

2021年10月13日

ハイウェイクルーズも得意

ABJスタッフが東京-神戸の往復ロングドライブに、フォルクスワーゲン T-Rocを連れ出して敢行したインプレッション。ライバルが多いコンパクトSUVの中、果たしてその性能、乗り心地はどうだったのか?

「T-Roc TDI Style Design Package」ラヴェンナブルーメタリックのボディカラーに、ホワイトに塗られたルーフのツートーンカラー、薄くシャープなヘッドライト、肉感のある前後フェンダーがとても個性的で好感が持てるクルマだ。

試乗車のタイヤはブリヂストンのトランザT001が装着されており、剛性の高いボディとの相性も良く、しっかりとした安心感の高い走りを乗ってすぐに実感することができた。直進性が高いため、無駄なハンドル操作が必要がなく、長時間運転しても疲れない。ドライビングプロファイル機能で「スポーツモード」を選択してキビキビとした走りを楽しむことができるが、 高速道路でも街中でも「ノーマル」が一番快適だった。角が取れたバランスの良い乗り心地は特筆ものである。

安定感抜群のステアリングフィールが印象的だった。
Photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン

高い動力性能

「DOHCインタークーラー付きターボ」と書くといかにも元気のよさそうなイメージだが、まさに活発で“速い”エンジンで驚かされた。1.5ℓとはにわかに信じられないほど余裕ある走りを実現する。 あまりのスムーズさにターボの存在をほとんど実感することはできなかった。ゴルフなどと共有するモジュールに、フロントにマクファーソンストラット、リアにトレーリングアームの盤石なサスペンションシステムで構成される。7速DSGが組み合わさって非常に優れたドライブトレーンとなっている。

T-Rocの外見の特徴は、ルーフラインにあるのだが、クーペスタイルを強調するわけではないが、実にスタイリッシュでSUVにありがちな“土臭さ”は一切ない。
Photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン
個性的なウインカー/デイタイムランニングライトが周囲の目を引いていた。
エンスー、レーサーが集う神戸のスペシャルショップ「スタークラフト」を訪問。クラシックカーのメンテナンスに関する高い技術、豊富な知識、経験を持つこちらにはポルシェ356、メルセデスSLパゴダ、フェラーリ246などの名車がひっきりなしに訪れる。
神戸で“ガイシャ”と言えば「ヤナセ ブランド スクエア神戸」安心してクルマを購入できる老舗だ。

これがVWの底力なのか?

今や15%がSUVという世の中、さらに一番人気のコンパクトサイズSUVだが、正直に言って国産車の多くが長距離ツーリングには適さないと思っている。そして、フォルクスワーゲンもさほど変わりはないのではないか。という推測から始まった今回の企画。
果たしてその結果だが、ドイツブランドはこのコンパクトなSUVにも長距離ドライブが苦にならない、むしろ楽チンな、優れた性能を与えていることを痛いほど味わったのであった。

車両価格が400万円に近くなると、安くはないが間違いなくリーズナブルだ。

車高の高さが“走り”を犠牲にするのか?

ヨーロッパではいまだに、背の高いSUVはオフロード、カントリーロードを走るためのクルマであって“走り”は二の次というイメージを持つ人がいる。ましてFFとなれば、高い速度域で背の高さが災いして安定性を失い、ゴルフ同様の走りができるとは思えないのである。

Photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン
Photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン
とても見やすいディスプレイ
Photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン
掛け心地の良いシート。
Photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン
身長170㎝のドライバーの後席には十分なスペースがある。シートの掛け心地も申し分ない。
分割可倒式シート、トランクスルー機能もあって、なんら不自由することのない大きさのラゲッジルーム。
Photo:フォルクスワーゲン グループ ジャパン
シャープな印象のフロントマスク。
シンプルかつ安定感を生むリアのデザイン。ルーフスポイラーがスポーティな印象を醸し出す。

そんなマイナスイメージはすぐに消え去った

内装の質感がイマイチなのが唯一残念なところだが、ビートルの誕生以来、綿々と続くフォルクスワーゲンならではの巧みなインテリアのレイアウト、「走る、曲がる、止まる」基本性能の高さを改めて思い知らされた。
このクラスのモデルの中には後席の背もたれの角度が立っていて、長距離ドライブには適さないものもあるが、前席同様にくつろげるし、欲しいときに欲しいだけ効くブレーキ、ハンドルの遊びが少なく補正の必要がないハンドリング、レーンキープなどの運転サポート機能の数々がクルマに興味がない人にも“クルマに乗ることの楽しさ”が伝わるのではないだろうか。

環境性能にも抜かりはない

約1,500キロを後にした燃費は14.6㎞/ℓ(メーター読み)であった。最後までその存在を実感することはできなかったが、高速道路をゆったり流すと20㎞/ℓを余裕で超えてくるのは 気筒休止システムの効果だと思われる。電動化されていないモデルだが、むしろ必要ないとさえ思った。

SUVスタイルのT-Rocがここまで良い走りをするとなると、ライフスタイル、好みに合わせたクルマ選びができることになる。それはとても素晴らしいことだ。

燃費が良く、優れた基本性能を持つ、T-RocはコンパクトSUVを検討するファミリーに積極的にお勧めしたいクルマである。
となると、兄弟車のティグアンとは何が違うのか?とても気になる。

【VW T-Roc TDI Style Design Package】

車両型式3BA-A1DPC
全長×全幅×全高4,240×1,825×1,590mm
ホイールベース2,590mm
車両重量1,320kg
車両定員5名
燃費(WLTCモード)15.7km/ℓ
エンジン直列4気筒 DOHC インタークーラー付きターボ
排気量1,497㏄
最高出力(ネット値)150PS(110kW)/5,000-6,000rpm
最大トルク(ネット値)250Nm(25.5kgm)/1,500-3,500rpm
燃料タンク容量50ℓ
使用燃料無鉛プレミアム
トランスミッション7速DSG
駆動方式FF
タイヤサイズ215/55 R17

車両本体価格:¥3,760,000(オプション込み、消費税10%込み)

Text&Photo:Auto Bild JAPAN

AUTO BILD JAPANオリジナルフーディー

AUTO BILD JAPANオリジナルTシャツ