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【街乗り専用小型EV】シティカーとしてのキュートなマイクロEV これ、ありありですよね?

2021年10月5日

電動シティランナバウトは、都心ではどのくらい使えるのか? 新しいEVの登場に伴い、主に初心者を対象とした、小型の電動ランナバウトも現在発売されている。そんな都市型ランナバウトの実力は?

今から1年以上も前のことになるが、シトロエンが電気自動車「ルービックキューブ アミ」を発表したときは、多くの人々が驚き、興奮した。
2人乗りのカラフルなシティカーが、小さな電動モーターで動く?
それはこれまでは、フランスの街中でしか見られなかったタイプの車だ。
このシティランナバウトは、出力はわずか6kW/8ps、速度は45km/hで、AM運転免許証(日本の原付免許に相当)と、保険用ナンバープレートがあれば16歳から運転可能だ。
要するに4輪のスクーターである。

今のところドイツの街中では、この女性的ともいえるスクーターを見かけることはない。
全長2.41メートルの2人乗りで、小さなバッテリーパックを車体下部に搭載し、75kmしか走れないのに、7,000ユーロ(約92万円)は決して安いとは言えない。

オペル ロックス-eは、2人乗り、3点式シートベルト、75kmの航続距離を持つ4輪の軽自動車だ。
Photo: Opel AG

「オペル ロックス-e」は、技術的にも、視覚的にもシトロエンの双子のような存在となったが、いずれも500kg以下のクルマには、本格的な暖房もエアコンもない。
夏の暖かい日には不快なほど暑く、冬には凍えるような寒さだ。
ドアが反対方向に開くことは、オーバーハングや、車全体が対称的であることと同様に、かなり変わったディテールである。
そして、運転席側のドアが進行方向と反対方向に開くのは、必ずしも実用的ではない。
また、「アミ」には、開錠用とイグニッションロック用の2種類のキーが必要なのだ。
「シトロエン アミ」と「オペル ロックス-e」は、自宅の220ボルトのコンセントで、3時間で充電できる。

ルノー トゥイージーの走行距離は最大90km

すべてはこのモデルから始まった。ルノー トゥイージーは、2012年以来、省スペースのeコンセプトでドイツの都市を席巻している。
Photo: GROUP RENAULT

暖房のない寒い冬の問題は、2.33メートルの「ルノー トゥイージー」で、すでにおなじみだった。
「トゥイージー45」として1万1,000ユーロ(約144万円)強から販売されているが、13kW/17馬力のよりパワフルなバージョンでも、時速80kmまで達することができるため交通の障害にはならない。
「トゥイージー」には2人が乗れ、約90kmの航続距離がある。
しかし、7kW/10馬力の電気モーターを搭載したベーシックモデルでは、時速45kmにしか達しない。
少なくとも、サイドパネルにはプラグインソリューションが用意されているので、側面の風や天候に対して無防備になることはない。

リサイクル可能な素材を使用したエリ ゼロ

中国資本のアメリカのメーカー、エリ エリクトリック ヴィークルス(Eli Electric Vehicles)からの、新型「エリ ゼロ(Eli Zero)」は、少しスタイリッシュになっている。
そのボディには、ポリプロピレンやアルミニウムなどのリサイクル可能な素材を使用し、軽量化と環境負荷の低減を図っている。
発売は来春を予定しているが、意外にも、まずはサブコンパクトカーに縁のなかった米国での発売となった。
欧州仕様は11,000ユーロ(約144万円)弱からのスタートとなり、競合車同様、速度も45km/hに抑えられている。

ゼロにはエアーコンディショニングシステムが搭載されている

エリ ゼロは当初、少量限定生産台数で販売される。1回の充電で80kmの走行が可能な設計となっている。
Photo: Eli Electric Vehicles

容量5.8kWhのバッテリーパックを搭載し、80kmの航続距離を実現するという。
バッテリーパックは、220ボルトのコンセントで、2時間半でフルパワーに回復する。
全長2.25メートルの「エリ ゼロ」には、ゴルフカートとして使用できるモードも用意されている。
チャイニーズ・アメリカン小型EVは、競合他車とは異なり、2人乗りで、荷物(160リットル)や3人目も乗せることができるようにできている。
そして少なくともこのクルマには暖房と冷房は付いている。

AM免許のおかげで、16歳から運転可能

こういった電気自動車のサブコンパクトカーが、ヨーロッパでも、街乗りの電気自動車のパイをごくわずかに切り取ることができるかどうか、楽しみに待ちたい。
少なくとも、一部の初心者ドライバーにとっては新しい可能性を生むであろう。
なぜなら、AM免許(日本の原付免許に相当)を取得すれば、16歳から運転できるからだ。
ただし、いずれも価格の高さが問題だが・・・。

この「シトロエン アミ」が発表された時、僕は、かなり衝撃を受けた。
簡易的ながらデザインされた内外装、シティカーに特化した性能、そして16歳から乗れるという事実…。こんなクルマが僕の16歳のころに日本にあったら、あの暗黒な中学~高校時代、僕の人生はバラ色だったのではないだろうか?
だがこの車の詳細が判明してくると、最初のテンションはかなり下がっていった。極端に少ない航続距離や性能はしかたないにしても、暖房ナシ、エアコンなし、100万円近い価格……うーん、こりゃかなり厳しい。
高校時代にこれがあったとしても、100万円じゃどうにもならぬ(あの頃、原付スクーターは10万円を切っていたのだから)。そして現代であったとしても、都会でエアコンなし、暖房なしで、75kmくらいしか(ってことは実質もっと短い)走らないとしたら、さすがにこれじゃあ不便な面は多いだろう。
しかし、もう少し値段が下がり、ちょっとだけ暖房くらいは付くようになれば、地方のコミューターとしてはなかなか可能性があるのではないか、とも思う。原付スクーターに屋根がついたものと考えれば良いわけだし、これからの日本のコミューターとして、こういうのが出てきたとしたら、そしてそれがカッコウ良かったとしたら…。そういうものが出てくること可能性を、おじいさん予備軍としては大いに期待したい。

Text: Stefan Grundhoff
加筆: 大林晃平
Photo: PSA Group