ベンツとワーゲンの高性能コンパクトSUV一騎打ち メルセデスAMG GLA対VWティグアンR 果たして勝者は?

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VWティグアンR対メルセデスAMG GLA 35。高く座って、低く走る。AMG GLA 35はティグアンRに挑戦する。どちらも素晴らしい眺めと十分なパワーを備えている。しかし、本当の意味で我々を魅了するのはどちらなのだろうか? その答えは、本比較テストから得られる。

「VWティグアン」、それはいつも前にいて、静かな勝利者。しかし、「メルセデスGLA」のように、それに全身全霊で立ち向かう有能なライバルもいる。正確に言えば、メルセデス・ベンツが、2020年6月から、市場に投入している「AMG GLA 35 4MATIC」は306馬力だ。そして、その数ヵ月後の2020年11月には、320馬力の「ティグアンR」が登場した。

外見上、パワーを感じさせないティグアンとGLA

外観上の違いは、ほとんどない。VWは背が高く、角張っていて直立しているのに対し、メルセデスはしゃがんでいて、丸みを帯びていてダイナミックであり、直接比較すると驚くほどコンパクトに見える。「ティグアン」に比べて、9cmしか長くない全長からは想像できないほどコンパクトだ。もっと大きな「GLB」であれば、「ティグアン」よりも12cm長く、価格もかなり高くなる。両者の特徴は、どちらも目立たないことだ。「ティグアン」も「GLA」も、大がかりなショーアップは必要ない。識別点はいくつかのスカート、デュアルフローのエキゾーストシステム程度だ。

慎み深い: ライバル車同様、ティグアンRの外観は、かなり控えめな印象を受ける。
今回は、どちらも21インチのホイールに、255のフルセットタイヤを装着しているが、これには追加料金が必要だ。しかし現在、もう誰もそのことに驚いてはいない。

メルセデスのMBUXにVWは追いついていない

インテリアでもその傾向は続いている。ヘッドレスト一体型のスポーツシートに、ちょっとした小粋さを加えた程度だ。特に「ティグアン」は、お行儀の良い「TDI」とほとんど見分けがつかない。しかしそれは、実用性の高さをディーゼルと共有しているからでもある。どこに巻尺を置いても、ほとんどの場合、「GLA」よりも半クラス程度大きくなっている。リアやトランクで、その不足しているサイズ問題になるのは、旅行の時だけだ。箱型のVWのリアエンドが520~1655リットルの優れた容量を備えているのに対し、AMGは435~1430リットルにとどまる。ベンツのローディングシルが5cm低いという事実は、わずかな慰めにしかならないが、結局のところ、これはボディ全体に適用される。「ティグアン」のドライバーは常に1階分高い位置に座っている。多くのSUV購入者の観点からすれば、これはデメリットというよりもメリットと言えよう。

一方で、「GLA」は品質とハンドリングに関しては問題なく、そして優れている。使われている素材は、もはや1990年代の「W140 Sクラスメルセデス」にも匹敵するものと言え、特にベルトラインの下の部分では、かなりシンプルなVWの素材よりも明らかに優れている。巧みなメニューナビゲーションと丁寧な音声認識機能を備えたMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエキスペリエンス)オペレーティングシステムは、いずれにしてもこのクラスのベンチマークだ。特にコックピットでは、それに対してVWのシステムは年輪が見え隠れする。すべてが操作しやすく、よくできているが、ちょっと古臭い感じがする。

性能面ではVWがメルセデスに勝っている

320馬力の2リッター4気筒エンジンは新鮮で生き生きとしている。VWは0から100km/hまでのスプリントを4.9秒と約束しているが、実際にはさらにコンマ1秒速かった。コンパクトなSUVとしては残酷なまでに速い。「GLA」は、「ティグアン」よりも、14馬力少ない。改良されたデュアルクラッチにもかかわらず、常に少しずつ遅れをとっている。また、よりコンパクトなサイズにもかかわらず、重量が7kgしか少なくない。また、空力性能が向上しているにもかかわらず、燃料消費量が、「ティグアン」よりも、100kmあたり0.4リットルも多い。主観的なドライビングインプレッションでは、合成的なVWよりも常に少しだけ正確で魅力的な印象を受ける。ステアリングはより正確に反応し、シートのホールド性は高く、車内ではより貪欲な音がして、よりスポーティな雰囲気を醸し出している。標準装備のアジャスタブルサスペンションや、キビキビとしたフェードフリーのブレーキも、絶対的な説得力を持っている。しかし、制動力は「ティグアン」の方が優れており、ワイドなシャシーを何者にも邪魔されずに走らせることができる。

明らかに先を行っている。0から100km/hまでの加速が4.8秒のティグアンは、GLAを0.3秒上回る。

道路税が高くても、保険料が安く、メンテナンス間隔が長いことでカバーしている。加えて、「GLA」は何よりもリセールバリューが低い。そして「ティグアン」は、お行儀の良い外観の裏に、真のファイターがいることを改めて示している。

第2位 800満点中516点: メルセデスAMG GLA 35 4MATIC
欲張りなエンジン、素晴らしいシート、優れたルックスとハンドリング。しかし、全体の完成度などは明らかに2位だ。
価格: 65,498ユーロ(約850万円)より

第1位 800満点中528点: VWティグアンR 2.0 TSI 4MOTION
豊富なスペース、優れた性能、高い快適性、適正なコスト。しかし外観はやや古めかしい。
価格: 60,420ユーロ(約785万円)より

結論:
「ティグアン」のような老舗の名機は、そう簡単には倒せない。弱点がなく、ほぼすべてのチャプターで勝利している。一方メルセデスは、丁寧なギアボックスとステアリングの改良により、堅牢な「GLA」は運転する楽しさが増している。しかしそれは、買う理由としては十分かもしれないが、勝つ理由としては不十分だ。

やはり老舗の定番商品は強い、そういう気持ちである。今のフォルクスワーゲンにとって「ティグアン」はそれほど大切な看板商品であり、力の入った一台なのだ。一方の「メルセデス・ベンツGLA」は、それほどのものではなく、あくまでも多くのラインナップの中の一台に過ぎない、という感じを抱いてしまう。それはこのスタイルにも表れており、びしっと一本筋が通った「VWティグアン」に対し、「GLA」はなんとなくゆるく、甘い感じがしてしまうのは眉唾物であろうか?自動車はその佇まいに、こういった成り立ちや本気度が自然と醸し出される…。そんな持論を昔から持っているのだが、その意見、あなたはいかがお考えだろうか?

Text: Malte Büttner, Mirko Menke
加筆: 大林晃平
Photo: Tom Salt / AUTO BILD