このクルマなんぼ? もはやクラシックカー 80年代生まれのポルシェ944 人気上昇中 クラシックオブザデイ

4318
- Advertisement -

トランスアクスルのポルシェ944に注目度が高まっている。

ポルシェといえば、ほとんどの人が911を思い浮かべるのではないだとうか。
しかし、中古車価格も高価な「911」の各世代を掘り下げていくと、経済的な理由から「944」に興味を持つ人もいるだろう。
かつての「924」ほど、スポーティではなく、かといって後期の「968」ほど、高価でもなく、「ポルシェ944」は実にお手頃な価格で魅力的な存在だ。
特に、最後の「944 S2」と「944ターボ」が30歳を迎え、Hライセンスプレートの対象となっていることを考えるとなおさらである。

今日まで、多くのポルシェファンは、「924」と同様に、「944」を鼻であしらう。
初期の「924」とは対照的に、「ポルシェ944」には、ポルシェ純正のエンジンが搭載されており、フォルクスワーゲングループからの目に見える3部品は、年月を経るごとに徐々に交換されていった。

シャシーはクラスを超えて

1995年までに40万台以上のポルシェ944がオーナーの手元に渡っている。
photo:Aleksander Perkovic

消滅の予言にもかかわらず、ツッフェンハウゼンの不人気なトランスアクスルのスポーツモデルたちは、1995年まで持ちこたえ、40万台以上に買い手がついたのである。
「ポルシェ944」が本物のスポーツカーであることは、数km走っただけで実感できる。
特に最初のモデルでは、エンジンのパワーはともかく、「944」のシャシーは別格であった。
さらに、タンクとトランスミッションをリアアクスルに配置した駆動系による、ほぼバランスのとれた重量配分、駆動力の影響を受けないニュートラルなステアリング、非常にフラットなシートポジションなど、すぐれた要素を兼ね備えていた。
跳ね上げ式のヘッドライトと、ドーム型のガラス製テールゲートが特に印象的なデザインを持つ「ポルシェ944」は、明らかにポルシェの生んだ1980年代の優れた1台であった。

特に人気があるのは、944S

944
944ターボ
1988年に登場したターボモデル(タイプ951)は、220~250馬力を発揮した。
944S

「ポルシェ944」の4気筒エンジンは、大型の「ポルシェ928」に搭載されていた2バンクのV8シリンダーのうちの1つを流用したものである。
1985年に触媒コンバーターを装備したことで、エンジン出力は163馬力から150馬力に低下したが、1987/88年には、排気量を2.7リッターに拡大したこともあって、160馬力と165馬力に再びパワーアップを果たした。
特に「944」ファンに人気があったのは、「ポルシェ944S」のバージョンで、現代の4バルブ技術により、2.5リッターで190馬力というはるかに俊敏な出力を得て、最高時速230kmのスピードを出すことができた。
しかし、生産開始から2年後、「944S」は、より高価で精巧な「944 II」に取って代わられた。
排気量が3.0リッターになり、211馬力へと大幅にパワーアップし、かつての「ポルシェ924」の狭い顔を1990年代に持ち込むことになるフロントエンドの変更が行われた。
1986年に発売された「944ターボ」は、ターボチャージャーの装着により、当初は220馬力、後には250馬力を発揮するようになった。

photo:Aleksander Perkovic

日常的な使用に完全に適した、大きなトランク

ポルシェ944〝グローブトロッター”。オーストリア人のゲルハルト プラットナー氏が世界一周を果たしたモデル。

ボンネットの中だけでなく、インテリアも多彩だ。
「944」の最初のモデルには、「924」のコックピットとシートが採用されていて、多くの場合、黒と白のペピータパターンが採用されていた。
さらに、3本スポークのステアリングホイールの後ろには、3つの丸い計器があり、センターコンソールの不格好なセンターボックスの下には、3つの小さな丸い計器があり、エアベントもあった。
より現代的ではあるが、カリスマ性に欠けるのは、4本スポークのステアリングホイールの後ろに4つの丸いダイヤルがあり、その周りには黒いオープンスペースがたっぷりある、新しいコックピットである。
新しいセンターコンソールには、もはや計器類はなく、新しいエアベント、デジタル時計、ラジオ、ミラーコントロールとリアワイパーのトグルスイッチが設置されていた。
残念ながら、「944」にはほとんど搭載されていないシートヒーターやエアコンなどの快適装備がある。
リアシートを倒せば大きくなるトランクは、他のスポーツカーに比べて余裕があった。
しかし、目隠しにはプラスチック製のローラーブラインドしかなかった。

photo:Marcus Gloger
photo:Aleksander Perkovic

装備を充実させた944は、3万ユーロ(約400万円)以上の価格

歴史をたどることができるメンテナンスの行き届いたポルシェ944の価格は、約15,000ユーロ(約200万円)から出回っている。

「ポルシェ944」には、クーペ、コンバーチブル、そしてタルガバージョンがある。
しかし、実際のタルガモデルは、当時の「ポルシェ911」のGモデル(964)とは異なり、ルーフを全幅に開いたり、取り外したりすることができないため、欺瞞的なパッケージとなっている。
ポルシェは、911をベースにした、「タルガ」という言葉を使ってマーケティングを成功させたかったのだが、大きな成果は得られなかった。
「944タルガ」は単純に、電動で開閉できる大きなサンルーフを備えたモデルである。
今日に至るまで、「944コンバーチブル」は、クローズドバージョンのガラスドームの代わりに、特大のテールゲートを備えているため、デザインの面で純粋主義者たちから苦言を呈されている。
クラシックカー市場での人気はクーペの方が高いが、装備の充実したカブリオレにもファンは多い。
価格的には、メンテナンスが行き届き、ヒストリーが確認できる「ポルシェ944」は、15,000ユーロ(約200万円)弱から入手可能である。
装備が充実し、190馬力、あるいは211馬力を発揮する「944」は、すぐに3万ユーロ(約400万円)以上になる。

944タルガ、911タルガとは違ったリムーバブルポップアップルーフである。
photo:Aleksander Perkovic

Text: Stefan Grundhoff
Photo: autobild.de