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このクルマなんぼスペシャル 100台しか作られなかった1967年製フェラーリ330GTS ピニンファリーナデザイン

2021年5月17日

フェラーリ330GTS(1967)。ピニンファリーナによるコーチワークが施された、受賞歴のある1967年製フェラーリ330GTS。このクルマはわずか100台しか作られなかったうちの1台で、フェラーリクラシケの「レッドブック(フェラーリのクラシックカー専門職人によってレストアされた証明書)」が付いている。

このシャシーナンバー「9791」の1967年式フェラーリ330GTSは、見事なエンジンとボディとのマッチングナンバーの個体で、100台製造された330GTSのうち28番目に製造されたもので、米コネチカット州グリニッジの「ルイジ キネッティ モーターズ」が、アメリカ市場向けに注文したモデルだ。
生涯を通じて、展示や走行はほとんど行われず、オドメーターに表示されている50キロマイル(約8,000km)の走行距離は、オリジナルであることが確認されている。
オーナーズハンドブック、オリジナル工具バッグ、フェラーリクラシケ「レッドブック」、フェラーリの専門家マルセル マッシーニ氏による鑑定証明書等、各種記録が付属している。
そしてそのことは大変重要だし、それがあるかないかによって価値(価格)は大きく異なることは言うまでもない。

「シャシー9791 330GTS」は、1989年6月に、ジョージア州アトランタ近郊のラニア湖畔にあるパイン アイランド リゾートで開催された、第26回「フェラーリクラブ オブ アメリカ ナショナルミーティング&コンコース」に出展され、1995年6月にはカリフォルニアビバリーヒルズの高級ショッピングストリート、「ロデオドライブ」で開催された、「ロッソ ロデオ コンコース」にも出展されている。
その後、2004年のペブルビーチコンクールデレガンスに合わせて、3年間のレストアを終了させた。
レストアとはなんとも時間と手間のかかるものなのである。

2008年には、ペブルビーチコンクールデレガンスの開催を前に、フェラーリの権威であるパトリック オーティス氏のもとでメカニカルな作業が行われた。
2012年1月に開催された第21回「パームビーチ カヴァリーノ クラシック」では、この「330GTS」が金賞を受賞した。
だが惜しくもプラチナ賞は逃した。
その後、オーナーの強い執念の下、同年、「9791」は再塗装され、最高賞から遠ざかっていた問題点が修正された。
この時、フェラーリクラシケの認定を受け、2012年10月には念願の「レッドブック」が発行された。
そして満を持して再挑戦した2013年の第22回「カヴァリーノ クラシック」で、この「フェラーリ330GTS」は見事プラチナ賞を獲得し、ついに念願の勝利を収めた。
2013年5月に開催された第29回「レディング フェラーリ コンクールデレガンス」では、フロリダでの大勝利の後、「9791」が展示され、「フランチェスコ バラッカ賞(Ferrari of Exceptional Merit)」を受賞した。

再塗装ということを一切感じさせない塗装と艶。幌ももちろん新品だ。
内装は新車(以上)のコンディション。少なくとも50年以上の時間を感じさせる部分は皆無である。

そして今、プラチナ賞を受賞したこの「330GTS」は、次の幸運な所有者を探し求めている。

1967年製フェラーリ330GTS(カロッツェリア ピニンファリーナ)

  • アメリカに新車で納入された
  • フェラーリクラシケ認定
  • オリジナルのマッチングナンバー付きエンジンを保持
  • 「パームビーチ カヴァリーノ クラシック」プラチナ賞受賞
  • 100台しか製造されなかった「330GTS」の28番目のモデル

え、値段?
知りたいですか?(笑)

たったの2,450,000ドル(約2億7,000万円)です。(^^♪

世の中にはこういうクルマもあるんだということを象徴するような一台である。走行距離も少なく、さらにオーナーの執念にも近い愛情を受けて、新車のようなコンディションである。
そういえば昔、「著名なコンクールドデレガンスで賞を受賞しようとしたら、新車以上の輝きでなければダメ」と聞いたことがある。なんでもタイヤハウスの中まで撫でまわし、その際、白い手袋が汚れたらダメ(!)なのだそうだ(ホントかいな?)。
今回の「330GTS」はそんな一台に違いないが、不思議なのは、どうしてそれほどの一台をオーナーが手放すのだろう、という点である。いったいどんな事情なのだろうか? 余計なことかもしれないが、それがとっても不思議でしょうがない。

Text & photo: GULLWING MOTOR CARS
加筆: 大林晃平