シボレー コルベット ストーリー 初代から第8代目C8スティングレイまで アイコンアメリカンスポーツカーの歴史を写真とともに辿る

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シボレーの伝説的なコルベットが、68年の歴史を経て、8代目で初めてミッドエンジンを搭載した。その名も「コルベットC8」。そこで今回はクールな画像とともに伝説のスーパースポーツの8世代を振り返る。

伝説のアメリカンスポーツ、「コルベット」の68年にわたる歴史は1953年に始まる。
1953年1月、シボレーは初代「コルベット」をニューヨークの老舗ホテル「ウォルドルフ=アストリア(ニューヨークマンハッタンのミッドタウンにある高級ホテルで、ヒルトンホテルファミリーにおける最上級ホテル)」で発表した。
現代的なプラスチック製のボディにもかかわらず、ロードスターの販売は当初低迷した。その理由は、150馬力と195馬力から選べる6気筒エンジンが不調だったからである。
1956年、シボレーはこの需要の低さに対応するため、デザインとエンジンのラインナップを見直した。丸いツインヘッドライトや消えたテールフィンなどの新しい特徴に加え、225~360馬力のV8エンジンを搭載し、ついにシボレーにふさわしい性能を発揮するようになったのである。特にエンジン出力の向上は、それなりの販売台数を確保したが、リアにリーフスプリング式のリジッドアクスル、ドラムブレーキを採用したシャシーでは、万が一にもそのパワーを発揮することは危険であった。
Photo: Werk
カラーも生活シーンからもわかるように、優雅で豊かな自動車こそが、当時の「コルベット」の目指すポジションであり、ハイパフォーマンス一辺倒の世界ではない。
「コルベット」は1960年、「ル マン24時間レース」に初出場し、大富豪のプライベーター、ブリッグス クンニガム氏の車両がクラス優勝を果たし、センセーションを巻き起こした。ヨーロッパ車が圧倒的に有利だった当時、ル マンで優勝したことは本当に大きな衝撃であった。
Photo: Werk
Photo: Christian Herb
Photo: Christian Herb
Photo: Roman Raetzke
Photo: Getty Images
初代誕生から10年後の1963年、「シボレー コルベット」の第2世代、「C2」が開発された。外観は、リトラクタブル4灯のヘッドライトと、スポーティで強調されたボディデザインが目を惹く。新型コルベットには、コンバーチブルと、リアウィンドウが分割されたクーペが用意されていた。排気量の拡大(最大7リッター)と出力の向上(250馬力から335馬力にアップ)に加えて、シャシーも改良された。独立したリアサスペンションとディスクブレーキにより、「コルベット」はスポーティなコーナリングでもコントロールしやすくなった。また大きく湾曲したリアグラスも画期的なものといえる。バイデン大統領は今でも大切にこの時代の「コルベット」を所有している。
Photo: Christian Herb
スイープライン、跳ね上げ式のヘッドライト、強調されたホイールアーチ。第3世代の「シボレー コルベット」は、外見からしてすでにそのスポーティなパフォーマンスに注目が集まっていた。
1967年にGMがフランクフルトで開催されたIAA(フランクフルトモーターショー)で初めて発表した、いわゆるコークボトルデザインのアメリカンスポーツカーは、今日でも有名だ。
そのテクノロジーは「C2」からほぼ引き継がれている。重さ1,500kgを超えるモンスターだが、ビッグブロックV8がそれを笑い飛ばし、不安を吹き飛ばしてくれる。最大7.4リッターの排気量と465馬力を誇り、当時としては驚異的な250km/hの最高速度を実現した。
先代同様、クーペに加えてコンバーチブルも用意された。
1978年、「コルベット」は改良された。より安全で、より経済的で、より環境に優しいモデルとなった。排気ガス対策によりV8の出力は大幅に低下。最大220馬力で200km/hは可能となったが、コルベット本来のアメリカ的なキャラクターは失われた。
Photo: Toni Bader / AUTO BILD
1983年初頭、先代コルベットのデザインを踏襲した新世代のコルベット「C4」が登場した。全高を1.19メートルと大きく抑え、エンジンを車体の中央に移動させ、シャシーをさらに改良して、ハンドリングの面で新たな基準を打ち立てた米国のスポーツカーである。
「コルベット ナンバー4」は、従来のモデルに比べて、いわゆるクラムシェルフード式のボンネットを採用している。エンジンフードにはフェンダーも含まれており、開いた後にV8に簡単に手が届くようになっている。これにより、最高出力330馬力を発揮し、フラットなコルベットを250km/h近くまで加速させることができた。「C4」には、今回もコンバーチブルとクーペが用意されていた。
「007 美しき獲物たち」にも登場し、回転式ライトの動く姿が見られる。
Photo: Roman Raetzke
また、「C4」には1990年から1995年まで、「コルベットZR1」が急遽追加されている。4つのカムシャフトを持つ合金製の8気筒エンジンを搭載しており、そのワイドなリアエンドと17インチのホイールが特徴的だ。「ZR1」はハイパフォーマンスを誇り、ここからコルベットの新しい路線が築き上げられたといってよい。つまりこの後、ラグジュアリーではなく、スポーツカーとしての性格を強めていくきっかけとなるのである。
Photo: Andreas Lindlahr
コルベットの第5世代ある「C5」は、1997年にシャシーからエンジンまで全く新しいデザインで登場した。
多くの教養ある人々にとって、コルベットはヒョウ柄のコートを着たポン引きのように映るかもしれないが、その決まり文句は安直すぎるというのが事実だ。コルベットは、本物のトップスポーツカーである。特に1997年から2004年に製造された「C5」がそうだ。
「C5コルベット」は、フロントミッドエンジンとトランスアクスル方式(リアアクスルにトランスミッションを搭載)の採用により、フラットでワイドなGRPボディに重量を均等に配分している。また、シャシーのチューニングも妥協せずにタイトに仕上げている。
「C5コルベット」はノルトシュライフェ(ニュルブルクリンクサーキット北コース=通称’緑の地獄’)に持ち込んでも十分に性能を発揮する。猛烈に加速する5.7リッターのスモールブロックV8は、どんな状況でもパワフルに車を引っ張り、シャシーは344馬力のパワーを常に安全にアスファルトの上に置き、たとえ長いフルスロットルのカーブであっても、それを可能にする。つまりもはや単なる直接番長的な自動車ではなく、スポーツカーとして文句のない性能を全域で持っているクルマに生まれ変わったのである。
「コルベット」は、今でも残酷なまでに楽しいマシンだ。
インテリアは、タッパーウェアのファンにはたまらない、どこを見てもプラスチック製だ。
5.7リッターのスモールブロックは文句なくパワフルで、344馬力のパワーを試してみると、息ができなくなる。疑問の余地はない。ヴェット(Vette)は本格的なスポーツマシンだ。
Photo: Thomas Ruddies
第6世代の「コルベット」は、「まっすぐ走ることしかできない、のろのろしたクルーザー」というイメージと、ついに完全に決別した。それどころか、「C6」はこれまでで最もアクティブで、スーパースポーツカーとして文句のない「コルベット」だった。ファイバーグラス製の巨大なボンネットの下で響く邪悪な咆哮は、6.2リッターの排気量によるものだ。そのビッグブロックエンジンは、シリーズ生産では404〜442馬力の出力と豊かなトルクを発揮する。100km/hまでの加速は4.4秒、そして300km/h超まで加速し続ける。
快適さと雰囲気は、純粋にアメリカ人好みで、シートは柔らかすぎるし、コックピットは正直言ってアメリカ車の領域を超えられていないのは残念だ。
とはいえ、メカニズムや各部の処理には若干の変化がもたらされていて、クロームトリムやレザーシートが上質な印象を高めている。最高出力437馬力、586Nmを実現。
「コルベット」のクーペは、代々ルーフ部分が取り外せるタルガなのだ。
もちろん、「C6」は息を呑むような横Gを実現し、それはヘッドアップディスプレイにG値として表示されるほどだが、ポルシェのようなハンドリングではない。
最大で437馬力、586Nmの出力を発揮。4000rpmからの怒涛の勢いで、1.5トン車はわずか4.4秒で停止状態から100km/hに到達する。これは、フェラーリ、ランボ、ポルシェと同等のレベルだ。
古いエンジンテクノロジー。8気筒といっても、中央にカムシャフトがあり、排気バルブと吸気バルブがそれぞれ8個ずつあるプッシュロッドV8である。
Photo: Martin Meiners
「コルベットZR1」は、通常の「C6」よりもかなり高価だが、性能も格段に向上している。
パワーソース。「ZR1」のボンネットの下には、史上最強のヴェット(Vette)のハイライトである620馬力の6.2リッターV8エンジンが眠っている。言うまでもなく、その性能は極めて高性能なものだ。
ヴェット(Vette)は高速性能にももちろん優れ、300km/hの達成は容易だ。
この車は2008年に開催されたデトロイトモーターショーで初公開された。
フロントには285mmのパッド、リアには335mm幅の巨大なローターを採用し、路面との接触を維持している。カーボンセラミック複合ブレーキシステムにより、十分な制動力を確保している。
ミリオンダラーカー: アリゾナ州スコッツデールで開催されたバレットジャクソンオークションで、初代「ZR1」が100万ドル(約1億1千万円)で落札されたことが話題になった。
Photo: Werk
「C7コルベット」は2013年に開催されたデトロイトモーターショーで初公開された。
Photo: Roman Raetzke
その1年後の同じくデトロイトモーターショーで、シボレーは追加で629馬力と881Nmを兼ね備えた「Z06」を発表した。
Photo: Ronald Sassen / AUTO BILD
Photo: Roman Raetzke
先代に比べて、デザインはより角張ったものになった。しかし、スポーツカーのレジェンドとしての「コルベット」の基本原則には何の変化もない。また、「C7」はフロントアクスルの後ろにV8を搭載している。ガソリン直噴と気筒休止機能を備えた6.2リッター自然吸気エンジンは、450馬力の出力を発揮する。610Nmの豊かなトルクは、7速マニュアルまたは6速オートマチックで操作される。
Photo: Christian Spreitz
事実、コルベットは気まぐれなスポーツカーではない。パワーやスピードはあってもコンピュータ制御のアクティブショックアブソーバーシステム「マグネティックセレクティブライド・コントロール」、電子制御式リミテッドスリップディファレンシャル、油圧式ブレーキアシスト、5つの走行モードを備えた「ドライブモードセレクター」などの高度な技術により、ハンドリングにも乗り心地に関しても、ほとんど不満はなくなった。電動ステアリングは美しくダイレクトで正確であり、ブレンボ製のブレーキは力強く食い込んでくる。
Photo: Werk
「C7コルベット」は、インテリアにおいても競合車に比べて遜色ない。高解像度の8インチカラースクリーンを備えたデジタルインストルメントディスプレイ、マルチカラーヘッドアップディスプレイ、シートヒーター&ベンチレーション、電話やオーディオストリーミング用のBluetoothインターフェース、Bose製10スピーカーを備えたHi-Fiシステムなどが標準装備されている。デザイン・質感ともに文句のないものになったといえる。
Photo: Ronald Sassen
コルベットファンの中でも特にドライビングダイナミクスにこだわる人たちが、長い間求め続けてきたものが、ついにその時を迎えた。第8世代のヴェット(Vette)、「C8スティングレイ」は、ミッドエンジンコンセプトに切り替わった。
リアに搭載された6.2リッター8気筒エンジンは、古典的な自然吸気エンジンであることに変わりはないが、最新の可変バルブタイミングが採用されている。欧州のコルベット全バージョンの「Z51」パッケージを装着すると、このエンジンは495馬力、637Nmをパワートレインに送り込む。
美しくパワフルに回転するパワーユニットは、簡単にパワフルなスタートを切ることができる。最新のコルベットは、アメリカの標準的なスプリントであるゼロから60マイル(96km/h)までを2.9秒で走り、312km/hに達するまで加速は止まらない。また、このエンジンは非常に応答性に優れている。
理想的とはいえない環境下で、ローンチコントロールとオンボードコンピューターを使ってゼロから100km/hまでの加速を計測したところ、3.1秒を達成した。また、パフォーマンスエグゾーストのおかげで、サウンドも素晴らしいものになっている。
今回初めて、8速デュアルクラッチトランスミッションがスムーズに機能するようになり、ステアリングホイールの後ろにある大きなシフトパドルでマニュアル操作ができるようになった。
シートは十分な横方向のサポート性があり、上下がフラットになっているステアリングホイールは手になじむ。
1,642kgの2シーターを思い切り飛ばしても、安定しているし路面をあまり選ぶことなく常に速く走ることができる。ただし、ステアリングは、例えばポルシェのようにシャープなレベルには達していないが、スポーティなドライビングモードでは以前のどのモデルよりも確実に引き締まったものになっている。
可変式の「マグネティックライド」ダンパーにより、「ウェザー」や「ツアー」では快適に、「スポーツ」や「トラック」では張りのある動きをするように、サスペンションがバランスよく調整される。また、個別に設定可能な2つのライドプログラムがある。
「コルベット」には強力な4ピストンのブレーキが装備されている。結論として、「シボレーコルベットC8スティングレイ」は、我々のかなり野心的なテスト走行において、リッターあたり7.4kmという平均燃費を記録した。
この成功したセットアップは、フロントエンジンを搭載した先代モデルと比較して10%剛性の高いボディのおかげでもあるが、「コルベットC8スティングレイ」は、「C7」と比較して約65kgの重量増となっている。
インテリアでは、車両の安定性を考慮した幅広のセンターコンソールや、運転席と狭い助手席を隔てるデザインが印象的だ。
長い列をなすコントロールエレメントと同様に、12インチのスクリーンに表示されるデジタルコックピットのディスプレイも雑然としている。回転数や速度を表示するヘッドアップディスプレイは、追加の情報源として機能する。
スマートフォンのコンテンツは、Apple CarplayまたはAndroid Autoを介して、インフォテインメントシステムの8インチタッチスクリーンに表示することができるようになっている。バックミラーに画像を表示できるリアカメラは、特に都市部の交通ではありがたい存在だ。
新型「コルベット」のスタート価格は、59,995ドル(約660万円)と手頃な価格だ。我々が今回のテストで試乗した「Z51」パッケージを装着したスティングレイは、7万米ドル(約770万円)の壁を越えてしまったが、提供されるパフォーマンスを考えれば、まだまだお買い得と言える。

「コルベット」はアメリカの誇るスーパースポーツカーであり、アメリカ人にとっては大切なアイコンでもある。そしてそのことはGMにとっても貴重な財産であるといえよう。
改めて言うまでもないことだが、「コルベット」は直線番長のクルマでは決してないものの、その性能はハンドリングもブレーキ性能もヨーロッパのライバルとまったく遜色ないレベルのものである。そして最新のミッドシップになった一台はその性能と性格を一層スーパースポーツカーの領域に発展させたといえよう。
だが歴代の「コルベット」もそうであったように、信頼性や日常生活での使用においてもコルベットは十分以上のクオリティを持っていることが、アメリカ的だし、その価格も含めて魅了的な存在であることをもう一度強調しておきたい。
いつの時代も変わることのない特別な存在、それはどの「コルベット」においても保たれていることが頼もしいし、今度の「コルベット」の完成度も、世界的に見ても文句なしのスーパースポーツカーといえる。
これならば「コルベット」愛好家として知られるバイデン大統領も笑顔で迎えることだろう。

Photo: General Motors

Text: autobild.de
加筆: 大林晃平