ABJ “The Best Car of the Year 2020” 2020年 Auto Bild Japanが選んだイヤーカーはこれだ!

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想像だにしないような一年となった2020年ではあったが、多くの皆さんのサポートもあって、我々「Auto Bild Japan」は負けることなく、精力的にニューモデルの情報や数多くのテストや新車情報、ドライビングインプレッション、数多のユニークで面白い記事をお届けできたのではと自負している。
そんな数多くの記事の中から、特に2020年に評価の高かった車種10車種(をピックアップし、「Auto Bild Japan」のスタッフ間で喧々諤々の討議を行い、2020年にふさわしい「今年の一台」をチョイスした。その栄えある一台とは?

まず、Auto Bildに掲載された数多くのテスト&ドライビングインプレッション記事の中で、評価が高かった車種を10台ピックアップしたところ…、

・プジョー208
・ルノー ルーテシア
・シボレー コルベット
・ポルシェ タイカン
・トヨタ
GRヤリス
・ホンダe
・フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント
・BMW M440i
・ランドローバー ディフェンダー
・メルセデス・ベンツ Sクラス

以上の10台がノミネートされた。
この10台はいずれも辛口で知られるAuto Bildのテスター達が珍しく(?)絶賛した車たちであり、いずれもかなりの高評価を得た記事が掲載されたことを覚えておいでの方も多いと思う。

残念ながらまだ日本には正式導入されていない車種もあるが、2021年にはすべて日本市場に導入されるはずの10台のクルマである。そんな10台を言うまでもなく自動車好きのAuto Bild Japanのスタッフが忖度なしに、愛情をこめて討議し、2020年のベストイヤーカーを選出した。そしてその栄えある一台とは…。

「ランドローバー ディフェンダー」だ。

Photo: Christoph Börries / AUTO BILD

2020年を代表とする1台として我々が選んだのは、40年以上の時を経て最初のフルモデルチェンジを敢行したランドローバー ディフェンダーである。そのスタイリング(ボディーカラーなども魅了的なものが多い)やインテリアはいずれも実用性を一切失うことなく新鮮でスタイリッシュなもので、そういう意味ではできるだけ変化しないようにフルモデルチェンジしたメルセデスベンツ ゲレンデヴァーゲンとはやや違うベクトルのフルモデルチェンジであったといえる。
若干全幅などは大きいが、全長などはSUVの中では使いやすいものといえるし、なによりその価格も(特に日本において)十分以上に魅力的であったことも特筆すべきであろう。
もちろん数多い電子デバイスの採用なども含め、伝統的なディフェンダー熱烈愛好家には受け入れがたいフルモデルチェンジであったとも思うが、従来までの歴史あるディフェンダーの良い部分を残したうえでブラッシュアップし、21世紀のテクノロジーと融和させて登場させた形としては、新鮮で最良のクルマの一台になったのではないかというのが、私たちがディフェンダーを選んだ理由である。2020年にはまだ日本市場にはディーゼルエンジンが導入されていなかったが、2021年に発売が開始されることも決定し、その人気もますます加速するものと思われる。しばらくは現在以上にバックオーダー状態が続くことだろう。
何はともあれ、コロナに翻弄された世に中で、ランドローバー ディフェンダーのように楽しく、力強く、そして頼もしい一台を見ると、なんだか自分にも力が湧いてくるような気がする、それこそが我々がディフェンダーを選んだ理由なのである。

Photo: Christoph Börries / AUTO BILD

以下に残念ながらイヤーカーには選ばれなかったものの、十分に高評価を得た9台のクルマを簡単にコメントしておこう。

ホンダeは航続距離や生産台数などに様々な意見があるのは承知の上で、こういう魅了的な形で登場したことを評価したい。もちろん形だけではなく、その走行性能に関しても高い評価を得ているが、まずはこの新しい魅了的な形こそが素晴らしい。願わくば、他のホンダ車にもこういう魅了が伝播することを心から期待したい。
Photo: Honda
GRヤリスは圧倒的な完成度と、あえて今この時期に市販した心意気がなんとも嬉しい。純粋な内燃機関のクルマを、大メーカーがこんなに本気で作った市販車はもう最後になる可能性も高いし、買っておくのなら今のうち、といえる自動車の筆頭であろう。
ランエボ、インプレッサWRXに続く、輝く伝説の日本車となりますように!
Photo: Toyota
ポルシェ タイカンは「ポルシェがEVを作るとこうなりますよ」、という見本のようなEVであり、これからのポルシェの方向性を描く一台でもある。もちろん開発者の頭の中には言うまでもなくテスラがあったからこそ、この恐ろしいまでの性能を持つEVの登場に至ったのである。タイカンの完成度と性能を見る限り、将来911がEVになったとしても、きっと大丈夫だろうと胸をなでおろす気持ちだ。
Photo: Porsche AG
BMW M440iは数多いBMWの記事の中でも、Auto Bildのスタッフにもっとも高評価を得たBMWであった。斬新なディテールの中にもスタイリッシュなデザインと適度なサイズ、そして十分以上に高性能な一台であり、本来のBMWらしい姿を持つクルマであった。来年にはM3、M4も出揃うが、さてそちらはどんな完成度を持っているのだろうか?
Photo: BMW Group
ミッドシップエンジンになったシボレー コルベットは、当初フェラーリのコピーなどと悪口を言う者もあったが、いざ実際に乗ってみると、そんな批判を口に出せないほどの完成度と性能で乗った者を圧倒した一台だった。コルベットがこれからもまだまだ強く魅了的なアメリカ車のアイコンのひとつであってほしい、そう願わずにはいられない。
Photo: General Motors
残念ながらメルセデス ベンツSクラスが今年の一台に選ばれなかった理由は、様々な新しいメカニズムや快適装備を持ってはいるものの、あまりに変化に乏しく、Sクラスとしてはいささか物足りないそのスタイリングが減点対象となってしまった。新型Sクラスなのだから内容などに関しては注目するべき部分の多いことは言うまでもないが、そのスタイリングや内装の一部に関しては、なんとなくビックマイナーチェンジのようにも感じてしまうことが残念でならない。
Photo: Daimler AG
Photo: PSA Group
同じセグメントでがっちりライバル対決を繰り広げるプジョー208とルノー ルーテシアが同じ年にフルモデルチェンジしたことは偶然とはいえ印象深い。EVモデルをかなり魅了的な価格でラインナップし、基本的には骨太ながらも昨今のプジョーらしく凝った内装などを持つ208と、ルノーの持つ自動車の基本を忠実にブラッシュアップしながら、各種エレクトロニクスデバイスを搭載し、あっという間にこのクラスのトップとなったルーテシアとでは、優越ではなくその性格にかなりの差異がある。だが両車ともクルマとしての完成度も魅力もかなり高く、このセグメントがヨーロッパではまだまだ主戦場であることを実感させる2台のフルモデルチェンジであったことは確かだった。プジョーとルノーはこれからもよりキャラクターを明確にしながら、このクラスの好敵手同士でいて欲しい。
Photo: Auto Bild Japan
フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアントは意外なノミネートかと思われるかもしれないが、実はAuto Bildのテスターが絶賛していた一台であり、地味ながらも完成度などは普通のゴルフ8や、一部の部分ではパサート ヴァリアントをもしのぐほどのものらしい。2021年にはぜひ他のモデルと併せて日本の路上でその完成度を実感してみたいものである。
Photo: Christian Bittmann / AUTO BILD

以上10台のクルマをピックアップし紹介したが、こんな波乱万丈な一年の中においても魅了的な自動車を開発し、発売したメーカーには頭が下がる思いで、感謝の気持ちでいっぱいだ。来る2021年も、自動車を愛する私たちにとって、魅了的な自動車が世の中に生まれてくることを心から願っている。
皆さまも身体を大切にして良いお年をお迎えください。
来年もAuto Bild Japanをよろしくお願いします。

Text: 大林晃平 / Auto Bild Japan