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【このクルマなんぼ?】デビューから30年 2021年にオールドタイマーの仲間入りをする20台

2020年12月11日

ドイツではデビューしてから30年経ったモデルはクラシックカー(オールドタイマー)として扱われ、Hプレート(H-plates)というナンバープレートが与えられる。2021年にデビュー30周年を祝い、オールドタイマーの仲間入りをするのは、VWパサートVR6、ゴルフ3、メルセデスW140等々だ。以下にオールドファンにはお馴染みのモデル20台を紹介する。

1991年に初年度登録された車のオーナーにとって、ここドイツでは、2021年は特別な年となる。
それは、彼らのガレージにある愛車が30歳になる年である。
そして、自動車文化財に指定されているHナンバープレートが受け取れるのだ。
このプレートを備えた車は、税金が安くなり、保険料も安い。

1991年に製造された車の多くは、温かみのある建物の中に停められているだけではなく、今もその多くが道路上を走っている。
結局のところ、90年代初頭には、技術的に成熟した車両が多く登場したのだ。
そして単純であるがゆえに、電子機器は現在でも依然として十分修理なども可能であり、必要に応じてスペアパーツをまだ供給してもらえる可能性も高い。

2021年に30歳を迎えるオールドタイマー20台とその価格

30年前の多くの偉大なモデルが、2021年にはクラシックカー車として認定され、Hプレートナンバーを取得することができる。
例えば、このVWパサート(B3)バリアントVR6は、1991年に、日常の庶民の足から高速ツーリングモデルへと変身した。VWの新しいVR6エンジンは、そのパワフルな2.8リッターが、さわやかな家族の外出のために提供されたB3で最初に搭載され、猛威を振るった。VWモデルには珍しいティンカーフロントを備えていることも、異色だ。
コンディション2の価格: 7,100ユーロ(約90万円)
コンディション3の価格: 3,800ユーロ(約48万円)
Photo: Autoleitner

Photo: Klaus Kuhnigk

新開発のVR6は、ゴルフ3にもそのまま採用された。VWゴルフ3とオペル アストラは1990年代初頭にコンパクトクラスを再定義し、2021年にはHナンバープレートを装着できるようになった。デビュー当時、ゴルフにV6?と驚きを隠せなかったが思えば、それはゴルフがプレミアムな方向に進むという決意の現れだったのかもしれない。今やそのゴルフは数え切れないほどのエンジンバリエーションを持っていることを30年前だれが予想しただろう。
Photo: Opel Automobile GmbH

アウディ80(B4): 写真は1992年のバリエーション。B4は、1991年にインゴルシュタット生まれのモデルとしての一時代の終わりを告げた。1994年、アウディは、その命名法を変更し、初代アウディA4がアウディ80のB4に取って代わったのだった。
アウディ80も今年で30歳だが、これまでのところ、価値の上昇は認められていない。写真はエッティンガーバージョンだが、このころからアウディはハイテクで高性能モデルに思い切り舵を切り、超高性能なSやRSモデルの方向に邁進していくのである。
価格例80(B4)2.0 E
コンディション2: 2,500ユーロ(約31万円)
コンディション3: 1,200ユーロ(約15万円)
Photo: Andreas Lindlahr / AUTO BILD

アウディ100(C4)アバント: 1991年、アウディは100アバントで、BMWやメルセデスに対抗するという野望を世に示し、計画は成功した。アウディ100はアバントとしても見事に売れ、アウディは市場でプレミアムブランドとしての地位を確立した。
アウディのアバントは長年スタイリッシュで未来的なワゴンとして存在し続けている。このアウディ100も当時はものすごく先進的で、メルセデス・ベンツよりもずっと都会的なワゴンだった。もちろんクアトロもあったが、日本では圧倒的にFFモデルが多かった。
価格例: 100アバント2.3 E
コンディション2: 7,500ユーロ(約92万円)
コンディション3: 4,100ユーロ(約52万円)
Photo: Klaus Kuhnigk

アウディ カブリオレ: 戦後最初のアウディのコンバーチブルは、有名な2.3リッター5気筒エンジンを搭載して市場に投入された。翌年には初の6気筒モデルも登場した。
Aピラーのクロームメッキがなんとも格好良かったアウディ カブリオレ。ボディカラーも深いグリーンやブルーなどお洒落なカブリオレだった。ライバルはもちろんBMWの3シリーズカブリオレだが、ちょっとハイテクで先進的に感じられたのはアウディのほうだった。
価格例: カブリオレ2.3E
コンディション2: 9,500ユーロ(約120万円)
コンディション3: 4,100ユーロ(約52万円)
Photo: Klaus Kuhnigk

BMW 5シリーズ(E34)ツーリング: 1991年9月、BMWは5シリーズを初めてツーリングとして販売した。セダンよりも希少で人気が高く、現在ではステーションワゴンモデルのユーズドカーの方が高値で取引されている。ツーリングには1,000ユーロ以上の追加料金がかかるのが一般的だ。スペアパーツは簡単に手に入れることができるものの、価格が高い場合もある。
E34も30年前か…と感じさせるほどまだ古く見えないモデルででもある。5シリーズと言えば、E34を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。
初めて登場したワゴンたるツーリング、荷室スペースはそこそこだが、今さらっと乗ったらお洒落かもしれない。
価格例: 520iツーリング
コンディション2: 6,400ユーロ(約81万円)
コンディション3: 3,300ユーロ(約41万円)
Photo: BMW AG

シトロエンXMブレーク: ラゲッジスペースをお探しなら、XMブレークにお任せあれ。このフランス車は、驚くべき1,960リットルものスペースを備えている。ディーゼルの働き者は、当時特に人気があった。今日でも、2.1リッターターボディーゼルは、ほぼ不滅のモデルと考えられている。
なんともアヴァンギャルドなXMの中で、ブレークはやや普通なデザイン。それでも今のシトロエンにはないような都会的でスタイリッシュな雰囲気はさすがである。写真の後期モデルよりも前期モデルのほうがシトロエン度は高いが、マイナートラブルなどは圧倒的に前期モデルのほうが多かった。
価格例: 2.1ターボD12
コンディション2: 3,300ユーロ(約41万円)
コンディション3: 1,700ユーロ(約21万円)
Photo: U. Sunday

シトロエンZX: ヴィザ(VISA)とGSが終了した後、シトロエンは小型車AXとミッドレンジモデルBXの間のギャップを埋めるのが1991年にZXとして登場する。没個性で無機質なデザインと言われたZXだが、今改めてみるとなかなかフランス車っぽく見えるから不思議である。日本にも普通のモデルとスポーツモデルが正規導入されたが、圧倒的にシトロエンらしいのは言うまでもなく普通の「クラブ」のほうだった。
価格例: ZX 1.4i
コンディション2: 1,600ユーロ(約20万円)
コンディション3: 900ユーロ(約11万円)
Photo: AUTOMOBILE CITROËN

マツダ121(DB): 本格的なコンバーチブルではないが、キャンバストップサンルーフを採用し、風通しの良いドライブに最適。程度の良い個体は人気で、多くの愛好家に探し求められている。
価格は、過去数年で上昇した。
日本ではオートザム レビューとして売られていた、言ってみればフォード フェスティバに短いお尻のついた4ドアセダン。キャンバストップというところがちょっとお洒落で、なかなか悪くないマツダの小型車。
価格例121 1.3 16V
コンディション2: 3,700ユーロ(約46万円)
コンディション3: 2,200ユーロ(約27万円)
Photo: Werk

マツダMX-3: マツダは90年代前半に多くのことを試した。その1つが、当時最小の排気量1.85リッターの6気筒エンジンで俊敏な走りをもたらした。
日本ではユーノス プレッソとかオートザムAZ-3として売られていた。何とも懐かしい時代だ。珍しいのはやはりV6の方である。
価格例: MX-3 1.8 V6
コンディション2: 3,600ユーロ(約45万円)
コンディション3: 2,400ユーロ(約30万円)
Photo: Klaus Kuhnigk

メルセデスW140: このSクラスW140の発表会では、ボディサイズについて業界紙から賛否両論の声が上がった。第二次湾岸戦争と燃料不足の時代に、最大2.25トンのこの船は時代遅れのように思えた。しかし一方で、近代的なアシスタンスシステムと質の高い仕上がりには賞賛の声があがっていたことも確かだ。
ドアの立て付けなどボディワークは圧倒的で、30年経っても剛性感は劣らない。今や貴重な12気筒エンジンだが、買うならV8がお勧めだ。
価格例: 300 SE(W140)
コンディション2: 11,100ユーロ(約140万円)
コンディション3: 5,000ユーロ(約63万円)
Photo: Roman Raetzke / AUTO BILD

ニッサン100 NX: ニッサンはサニーをベースに、1991年に小型スポーツクーペ「100 NX」を発売。特徴は、コルベットC3同様、ルーフハーフを2つ取り外し可能にしたTルーフを採用したこと。現在では、100 NXのGTIモデルがマニアから特に求められている。
日本ではルキノの後継としてNXクーペとして売られた、言ってみればサニーのハッチバックモデル。ドイツのレポートをでは「GTIモデル」の人気が高いようだが、残念ながら本国の日本では見かけなくなってしまった。当時は珍妙なスタイルに見えたが、こうしてみるとなかなかニッサンらしいセクレタリークーペに見えないこともない。
価格例: 100 NX 1.6
コンディション2: 2,300ユーロ(約29万円)
コンディション3: 1,200ユーロ(約15万円)
Photo: Thomas Ruddies

プジョー106: 760キログラムの車体重量。軽さのおかげで、106に搭載されている1.0リッター4気筒の小さなエンジンであっても、高速で走ることが可能だった。時代をはるかに先取りした電気駆動の106もあった。
106は小型プジョーらしい一台といえる。なぜか日本にはスポーティモデルの3ドアしか導入されなかったが、スタイル的にバランスが良いのはむしろ5ドア。5ドアには高級仕様のグリフもあり、これがなんともお洒落で素敵だった。
価格例: 106 1.4
コンディション2: 2,200ユーロ(約27万円)
コンディション3: 1,200ユーロ(約15万円)
Photo: Werk

ポルシェ968: 先代の944 S2からエンジンを変更した968は、ポルシェにおけるトランスアクスル技術の終焉を告げるモデルだった。944からの変更点も視覚的にはむしろ些細なものであり、968は単体のモデルというよりもモデルアップグレードと言えるものだった。最近の価値に推移はない。
今あらためて見るとまだまだフレッシュで格好いい968。現在でもホイール同色のクラブスポーツは高値で取引されているし、決して時代遅れになっていないのはさすがにポルシェである。
価格例: 968
コンディション2: 24,000ユーロ(約304万円)
コンディション3: 14,000ユーロ(約177万円)
Photo: Angelika Emmerling

ルノー19カブリオ: コンバーチブルであるルノー19は、当時のVWやフォードと競合していたフレッシュエアの小型車に比べて、ボディ補強用のブラケットを必要としないという大きな利点を持っていた。当時人気のあったコンバーチブルは、現在でも比較的安価な価格で販売されている。
ルノー19の良さはとにかくシート。一度座ったらお尻が忘れないシート、というのはこういうのを言うのである。残念ながらカブリオは乗ったことがないが、幌に関してのマイナートラブルは頻繫に発生するそうなので、気を付けて欲しい。
価格例: 19 カブリオ16V
コンディション2: 4,300ユーロ(約54万円)
コンディション3: 2,100ユーロ(約26万円)
Photo: Werk

ルノー エスパス: 2シリーズ目のエスパスには丸みを帯びたボディが登場し、V6エンジンも搭載されていた。
革命的な一台だったエスパス、2代目からはマートラではなくルノーが作るようになった。個性は若干うすれたが、それでもフランス車らしい一台。ドアミラーの処理なども超絶デザイナーでなければやらないだろう。エポックメイキングな1台である。
Photo: Werk

トヨタ カムリ: アッパーミッドレンジクラスの第1号車として、エアバッグ、電子制御4センサーABSを標準装備していた。
……と言われても、普通のブレッドアンドバターカーのカムリ。この普通のFFセダンが今どうした、と言ってしまえばそれまでではあるが、こういう普通の実用車こそなかなか動態保存されないものなのである。
ドイツでの価格が記載されていないのは残念だが、わが国では5万円以下が相場。
Photo: Klaus Kuhnigk

トヨタ セリカ(T18)カブリオ: セリカ カブリオはドイツのディーラーに入荷する前に、世界の半分を歩き回っていた特異なクルマであった。というのも、シャシーは日本から来て、アメリカでコンバーチブルに改造され、最終検査のために日本に戻ったからだ。
価格例: 2.0 GT-i 16
コンディション2: 9,000ユーロ(約114万円)
コンディション3: 5,200ユーロ(約66万円)
Photo: Klaus Kuhnigk

ボルボ 850: 850の特別シリーズのT-5Rは、今日でもカルト的な存在だ。特にメルキュリアルイエローのステーションワゴンは今でも走っている姿を見ることがある。横置きの5気筒エンジンは、ベースモデルでも素晴らしい性能を発揮する。
価格例: 850 2.5 20V
コンディション2: 3,900ユーロ(約49万円)
コンディション3: 2,200ユーロ(約27万円)
Photo: dpa

こうしてみると、へえー、あのクルマも、あっちのクルマももう30歳かと、感慨深いものがある。
それにしても価格がとてもリーズナブルだ。
うらやましい。日本で見つからないなら、輸送代を払ってでも輸入したい、そんなちょっと欲しいモデルも数台ある。
今から30年後、こんな風に魅力的に感じられる自動車が現在の世の中にいくつあるだろうか…。

Text: Matthias Techau, Marcel Nobis
加筆:大林晃平
Photo: Autoleitner