【Tuning Car】ブラバス190E 3.6S PSモンスター

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80~90年代に流行った190Eのチューンナップ

ドイツのチューナー、ブラバスの作った272馬力のW201、それがこれだ。1980年代の終わりに、ブラバスはメルセデスのシリーズ生産モデルを野蛮なドライビングマシンに変えた。272馬力のストロング190E 3.6Sがテストトラックで躍動する。

 80年代に入ると、ブラバスのようなチューナーがメルセデスブランドを手掛けることが多くなった。
もちろん彼らのチューニングの中心となるのはパフォーマンスの向上にあった。
 我々は、そんなベンツのチューンナップの中でも、W201を特に強力にチューンナップした、ブラバス190 E 3.6Sをレーストラックに持ち込んでテストしてみた。
黒いフロントグリル(スリーポインテッドスターなし)とリアに黒いスリーポインテッドスターを備えた「ブラバス190 E 3.6S」だ。
 さらに、フロントスポイラー、厚手のアルミパーツ、ワイドタイヤ、スポーツシート、ダブルパイプのエキゾーストシステム、といった組み合わせだ。

ブラバスはベビーベンツからPSモンスターを作成

ベビーベンツ、メルセデス190Eは、真面目でまともな人たちのための車だった。
一方、ブラバスは、より高貴で、よりパワフルで、少し派手で、高価だった。
90年代の初めには、今回我々がテストした最大の装備の最高バージョンで、82,000ユーロ(約1,025万円)という費用がかかったが、これは、当時、エキストラなしの190E 2.6 (6気筒)の約3倍の価格に相当した。
スポーツシートは張りがあり、個々のリアシートは、フロントのレカロシート同様に、スポーティに見える。
ロード上では、正確な走りで、市販車よりも重く感じる一方、より俊敏にも感じる。
そして、スポーツカーのようなサウンドを奏でる。
ベビーベンツというよりは、現代のBMW M5といったほうが表現的には相応しいかもしれない。
それもそのはずで、ホイールハウスを見れば一目瞭然だ。
H&R製のスプリング、コニ製のダンパー、幅広のブラバス モノブロックIIホイールを備えたブラバスは、弾力性を備えたスポーティなフットワークを発揮する。
1990年当時には6000ユーロ!(約75万円)もした、「ブラバス高性能ブレーキシステムバージョン1」(キャリパー、ローターなどのセット)は、17インチのホイールを完全に埋め尽くしている。

ブラックレザーと専用装備のボタンが多い。ラジオは新品だ。

最高速度258km/h

オリジナルの2.6リッター6気筒エンジンの代わりに、ボンネットの下には強力にチューンナップされたメルセデス製3リッターエンジンが搭載されている。
より大きなW124セダンシリーズからではなく、300SL(R129)ロードスターと当時の300GEに搭載された3リッターストレート6のエンジンをベースにチューンナップされたものだ。
91ミリのシリンダー径と最大のストロークを持つクランクシャフトは、3,590立方センチメートルの燃焼室と、研磨されたチャンネルやファンマニホールドなどの精密な作業とともに、細かいエンジンチューニングが施されている。
そのエンジンサウンドは600回転という低回転域から6,200回転まで、大容量スポーツカーのように聞こえるだけでなく、スピードメーターが約束するように、300km/hの方向に向かって、強烈な推力でクルマをプッシュする。
272馬力エンジンにパワーとトルクの不足は決してない。

直列6気筒エンジンは3リッターのメルセデス製エンジンをベースにしている。ファンマニホールドはブラバス製だ。右のW201はもちろん普通の190Eだ。

W201が現役だった1990年代、様々なチューナーが高性能なモデルを発表し、高価格で発売していた。記憶しているだけでもAMGはもちろんのこと、エッティンガーもあったし、ケーニッヒもあった。そんな中でもこのブラバスも非常によく知られた有名な存在だった。たいていは普通の190Eの3倍くらいの価格で、190E 2.3-16よりも高価であり、そういう意味では特別な人だけが買うようなチューニングカーだったのである。

Text: Henning Hinze
加筆:大林晃平
Photo: Ronald Sassen