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ハイブリッドMINIカントリーマンALL4 SEに初試乗 その評価は?

2020年11月23日

MINIカントリーマン ハイブリッドは、より強力なバッテリーで大幅な進歩を遂げた。MINIがマトリックスLEDやデジタルコックピットなどを備えたハイブリッドカントリーマンを解禁。我々は早速プラグインハイブリッド版をテストしてみた。その結果は?

立体的なユニオンジャックのテールライトとコックピットのトグルスイッチを備えた新型MINIカントリーマンは、英国の民俗感覚的雰囲気を醸し出してはいるが、実際には英国人を装ったBMW X1であり、オランダで製造され、日本製のオートマチックトルクコンバーターを搭載している。

電動モーターのパワーが少し増えた

その結果、同ブランドの最も汎用性の高いモデルとなった。我々が運転したプラグインハイブリッドのSEバージョンは、1.8トンのボディをちゃんと引っ張ることができる。

SEの新機能
・9.6kWhの容量を持つバッテリーは、以前よりも2kWh増えている。
・リアアクスルの電動モーターが65kWから70kWになった。
・170ユーロ(約2万1千円)の追加料金で、ドライバーは、バーチャルで落ち着いた雰囲気のコックピットを手に入れることができる。
・回転式押しボタンとタッチの両方で操作可能なノブを備えたセンターディスプレイ。

そして何より興味がるのは、プラグインハイブリッドMINIカントリーマンのフェイスリフトは、電気駆動がどのように進歩したかだ。ということで、スロットルを「マックスEドライブ」にして、早速出かけよう。

より多くのパワー: よりパワフルな電動モーターを搭載したSEは、停止状態から時速100km/hまで6.8秒で駆け抜ける。

電動レンジの方がはるかに普段使いに適している

2017年の我々のテストで、先代モデルはバッテリーをたったの25km(メーカーの想定は41km)で空にしていたのに対し、フェイスリフトされたカントリーマンは電気最高速度135km/hという性能を有しながらも、50km近く(メーカーの想定は55~61km)まで航続距離が伸びて、より「実用的」になった。

その一方でインテリアのスペースや感覚などは以前と何ら変わっていない。BMW X1と同じホイールベースを持つプラットフォームをベースにしているMINIカントリーマンの室内は驚くほど広く感じる。縦方向にスライドするリアシートのコストは(わずかに値下げされて)250ユーロ(約3万1千円)の追加となる。今までオプションだったLED照明は標準で装備されるようになり、オプションのグレアフリーマトリクスLEDには335ユーロ(約4万1千円)のコストがかかる。その車両価格は先代モデルよりも416ユーロ高い38,017ユーロ(約475万円)に上昇した。

3気筒All4ガソリンエンジンモデルより5,000ユーロ(約62万5千円)以上高いものの、6,750ユーロ(約84万円)の環境ボーナスによって、かろうじて36,267ユーロ(約453万円)にとどまっている。ちなみに比較のために挙げるなら、技術的に同一のドイツの兄弟モデル、BMW X1 25eのコストは44,500ユーロ(約556万円)だ。

より多くの距離: 前回のテストと比較して、カントリーマンSEの電動パワーは2倍の航続距離を走ることが可能になった。

テクニカルデータ: MINIカントリーマンプジョー All4 SE
● エンジン: 3気筒ターボ、フロント+電動モーター、リア ● 排気量: 1499cc ● 最高出力: 125PS+70kW(電動モーター) ● 最大トルク: 220Nm(ガソリンエンジン)+165Nm(電動モーター) ● 駆動方式: 前輪駆動(ガソリンエンジン)+後輪駆動(電動モーター)、6速オートマチックトルクコンバーター ● 全長×全幅×全高: 4297×1822×1559mm • 乾燥重量: 1790kg • ラゲッジコンパートメント容量: 405~1275リットル ● 最高速度: 196km/h ● 0-100km/h加速: 6.8秒 ● CO2排出量: 45g/km ● 価格: 38,017ユーロ(約475万円)

結論:
より多くの電動航続距離と最高時速のアップが今回の進化の中心だ。しかし、環境ボーナス(補助金)を差し引いても、プラグインハイブリッドモデルの価格は高い。あとはあなたが本当に欲しいかどうかの問題だ。
AUTO BILDテストスコア: 2

いまさらこんなことを言ってもどうしようもない話ではあるが、1.8トンもあるSUVを、「ミニ」と呼ぶことにどうしても違和感がある。さらに今回のクルマはなんだかんだで、500万円を突破する立派な高級車であり、そういう意味でも少しもミニではない。

ミニというブランドビジネスは成功しているわけだし、こういう形のSUVを好きな人がいることは否定しないけれど、これからどの方向に行くのだろうと思うと、より大きく立派なると予想される未来のミニの姿が頭にうかぶ。
昔から小さな高級車(あるいはクラスレスカー)という地位のクルマではあったが、このままでは高級大型路線まっしぐらのSUVになってしまうのではないかと危惧している。

おそらくMINIという名前も、Miniのイメージを保ったこのスタイリングも継続しながらビジネスを展開していくのだろうが、それは制約も多く、難しい仕事であるし、新鮮さを保つには多大なエネルギーが必要になるに違いない。

Text: Rolf Klein
加筆:大林晃平
Photo: BMW AG