1. ホーム
  2. 旧車&ネオクラシック
  3. 【このクルマなんぼ?】極めて特別なアストンDB4発見 ボロボロでも高価格 そのわけは?

【このクルマなんぼ?】極めて特別なアストンDB4発見 ボロボロでも高価格 そのわけは?

2020年8月26日

アストンマーティンDB4(1960): バーンファインディング、価格、購入

信じがたいかもしれないが、この朽ち果てたアストンマーティンDB4にはとてつもない価値があるのだ。お粗末な状態のヴィンテージカーに100万オーストラリアドル(約7,600万円)は、ひどい価格の取引のように聞こえるかもしれない。しかし、このアストンマーティンDB4にその価値があるのは、ひとえに特別な前オーナーの賜物だ。

この1台はお金をかけてでもフルレストアする価値がある。

もしあなたはメカニックであり、大富豪であり、ユニークなハンドクラフトプロジェクトに興味があるならば、すぐにも、この場所へ駆けつけるべきだ。
オーストラリアのクラシックカー専門誌『オクタン』は、アストンマーティンDB4を販売している。
この英国製クーペは、何十年も納屋に放置されていて、哀れな状態になっている。
それにもかかわらず、このアストンは、もちろん税抜きで、100万豪ドル(約7,600万円)で販売されることになっている。
この値段は、レストアされたトップコンディションのDB4か、それよりも高い。
スクラップ状態のこのDB4は、ほぼガラクタ状態だが、この個体は、非常に希少かつ特別なDB4なのだ。
なんと、このクーペは、元アストンマーティンのボスであり、あの伝説のDBシリーズの名前の機嫌となった、デイヴィッド ブラウン自身が所有していたものなのだ!

30年間以上動いていない

アストンマーティンDB4は1958年から1963年まで製造され、そのデザインはこれまたミラノの伝説的カロッツェリア(コーチビルダー)、「トゥーリング(Touring)」によるものだった。
デイヴィッド ブラウンの元愛車、DB4は1960年に製造されたもので、非常に特別なものだ。
アストンのボス用のクルマにはいくつかのエクストラが装着されていた。
このクーペには、リアウィンドウヒーター、電動ウィンドウ、モトローラ製のステレオシステム、ロック可能なリアアクスルなどが装備されている。
ブラウンはこの車を約1年間運転し、1962年にはオーストラリアに送られた。
1979年にオクタン誌に購入されるまでに、この車にはさらに2人のオーナーがいた。
1990年には、スピードメーターに146,020kmを記録したままガレージに停められ、それ以来、一度も動いていないし、移動もされていない。
雑誌には正確な歴史的背景は書かれていない。
そのため、この車がクラシックなバーンファインディング(納屋で発見されたもの)なのかどうかさえ不明だ。

非常に多くの作業や労力が必要と推測される。コックピットは摩耗していて、いくつかの部品は明らかに完全に失われている。

オリジナルのワークショップマニュアルが同封されている

いずれにしてもこの車にはかなりのレストアが必要だ。
240馬力の3リッター直列6気筒エンジンとコックピットは、一目で酷さがわかる。
ボディワークはまだ驚くほどよく保存されているように見えるが…。
しかし、アストンを良い状態に復元するための金銭的な努力は莫大なものになるはずだ。
豪「オクタン」誌によれば、オリジナルのワークショップマニュアルが用意されているというので、理論的には、自分でやることも可能だろう。
ハンドクラフトプロジェクトとはそういう意味だ。
ともあれ、まずは、蘇らせるための第1歩は、英国に送ることだろう。
自分でやるよりは、これほど貴重な個体のレストアこそ、アストンマーティンにやってもらうべきだろう。
繰り返すが、フルレストアする価値のある1台には間違いない。

当時、アストンは0から100km/hまで10秒以下で加速し、トップスピードは200km/hに達した。

この状態のアストンマーティンを、本国のアストンマーティン専用レストア工房であるアストンマーティン ワークスに持ち込んで徹底的にレストアを依頼した場合、いったいどれだけの手間と費用が必要となるのかまったく想像もつかないが、おそらくこの車の落札価格以上の金額が必要なのではないかと思う。
007スペクターのワンシーンではないが、Qでなくともアストンマーティン ワークスの部門の技術と知恵があれば、クルマのレストアに関してできないことはほとんどないといってよく(何せもとの設計図さえあるのだから)、このDB4を持ち込んだ場合、時間とお金に糸目をつけなければ、完全に新品のDB4が完成することは確かだろう。

さらにこの車はデイヴィッド ブラウンの元愛車ということでもあるし、歴史的な面でも血統証つきの、文句のない逸品であることがわかる。そう考えればおそらく、日本円で車輛価格とレストア費用で2億円とか3億円になったとしても、払える人にとっては特別な一台となるだろう。
アストンマーティンによって最近発売された、007ボンドカーの復刻版?「DB5ゴールドフィンガー コンティニエーション エディション」はナンバーが付かない(つまり原寸大ミニカーである)モデルであるにも関わらず、さらには、275万ポンド(4億円弱)という価格がついていたにも関わらず、25台全数が完売したと聞く(くどいようだが、このDB5のボンドカーの復刻版は、ナンバーをつけて公道を走ることはできない。あくまでも原寸大ミニカーなのである)。

それからすればこのDB4は完成すればちゃんと公道を走ることができるし、なにしろデイヴィッド ブラウンの元愛車である。歴史的価値も希少性も計り知れないし、比較にならないほどの価値があるクルマといえる。完全にレストアが完成した時に、一番似合うことは、アストンマーティンの本社入り口に飾ることなのかもしれない。

悲惨な状態、写真でじっくりとどうぞ。

Source: octane.com.au
Text: Moritz Doka
加筆:大林晃平
Photo: Octane Australia