オランダのHVL社が手掛ける世界有数のヒストリックフェラーリの内装レストア

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あくなきオリジナル再現への探求

アムステルダムの南東に位置するワーデノアイエンにファクトリーを構えているHVL社は、ヘンク ヴァン リス(Henk Van Lith)が1989年に設立して以来フェラーリ、マセラティなどのヒストリックカーの内装を手掛けている。

ヘンク ヴァン リス(Henk Van Lith)

ヘンク ヴァン リスは航空機の内装メンテナンスに従事していた時に、ヒストリックフェラーリを所有する顧客から、フェラーリの内装レストアにおいて、レザーやウッドなど望ましい素材を手に入れることがほぼ不可能であることを知る。好奇心旺盛な彼は、フェラーリ本社をはじめ、精力的に情報収集を始めた。その結果、彼の情熱に共感したフィオラバンティ、ピニンファリーナのデザイナーなどの協力で、車両データ、レザーなどのオリジナル素材を入手することができた。さらに、コノリーレザーとの密接な関係を築き、遂にはフェラーリの内装を手掛けるカリスマとして、名だたるクラシックカーコンクールの審査員も務めるほど、ヒストリックカーの知見を豊富に持つにいたるのである。

ファクトリーで作業中のヘンク ヴァン リス。

HVLの成功

HVLは、ヘンク ヴァン リスのフェラーリレストアに対する細部への拘り、見えないところにまで手を入れて、オリジナルを再現するたゆまない努力にエンツォ・フェラーリが感心して、エンツォ直々に、正式に認められたファクトリーとなった。それ以来30年以上にわたり、フェラーリとの協力関係を持っている。

Jacques SwatersがHVLを訪れた際の記念写真。

HVLは、1947年に「フェラーリ」の名がつくレーシングカーが誕生して以来、製造されたフェラーリに使用されたレザーをはじめ、内装に使われた素材を車輛ごとに所有している。1950年代までのモデルにはArbotan、1960年代はBOW leather、以降はCogolo leather、Roser leather、Franzi leatherなど、車両のデータに対して忠実にレザーを調達して、それを使用する。そして、HVLが保有するのは、その貴重な情報と素材だけではない。オリジナルの内装を正確に再現するには、経験を積んだクラフトマンの巧みな技術が必要で、作業方法も当時の製法に倣い、HVLのノウハウを合わせて作り上げていく。

ナンシー シナトラのFerrari 330 America。

HVLが所有するのはレザーだけではない。内装に関連するすべてのオリジナル素材をストック、あるいは都度手配して、フロアカーペット、天井のレザー、ビニールレザー、金属パーツ。意外とおざなりにされているネジ類に至るまで、汎用品は一切使わない。

ネジ一本にいたるまでオリジナルを使用する。決して汎用品は使わない。

HVLとコノリーレザーそしてHVL Class Leather®

HVLは、オリジナルの再現への絶対的なコミットメントを確保するために、自動車用の皮革製造で有名なコノリー社から、機密情報であるフェラーリに使用されたすべてのコノリー レザーの情報とサンプル、ストックのすべてを取得した。そして、HVLが蓄積したノウハウを組み合わせて、3,000種類以上のレザーをHVL Class Leather®として車両情報と組み合わせてシステム構築をした。

HVLがレストアを手掛けたフェラーリ デイトナ プロトタイプとヘンク ヴァン リス。

HVLがレストアしたフェラーリは世界中の著名なコンクールで数々の賞を受賞しており、HVLはヒストリックフェラーリレストアにおける確固たる地位を築いている。

日本では大阪のカーメイクアートプロがHVL社と提携してヒストリックフェラーリのレストアを行っている。

Text:アウトビルトジャパン
Photo:HVL