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【初テスト】BMWの新型コンパクトMPV BMW 223iアクティブツアラーに初試乗 果たしてその性能と評価は?

2022年5月1日

BMWは2シリーズをつくるコツをつかんだようだ。BMW 223iアクティブツアラーは、回転式プッシュボタンを使用しない新しいコントロールシステムで新境地を開拓している。テストレポート。

常に自己改革を迫られる自動車メーカー。BMWは、新しい「2シリーズ アクティブツアラー」で、その問題にチャレンジし、エキサイティングな答えを提供する。

このプレミアムハイシートコンパクトの新型には、先代を彷彿とさせるものは、あまりない。フロントには、これまた極めて広大な自己完結型のダブルキドニーグリルが備わっており、リアもエプロンに隠れるように排気管が配置され、ストローマーらしさが出ている。

新型アクティブツアラーにも巨大なダブルキドニーが採用されたが、これは好みが分かれるデザインディテールだ。

2シリーズのデザインについては意見が分かれている

「iX」や「i4」との近似性は、インテリアでも見て取れる。「アクティブツアラー」にも第8世代の「iDrive」が採用されているので無理もない。それはiPhoneにホームボタンがないような、飛躍的な進化を遂げている。少なくとも今、BMWは、センターコンソールの丸い回転式プッシュボタンを廃止している。「E65 7シリーズ」に導入されて以来、BMWが絶対的な完璧さを追求し、直感的な車両操作のためのマイルストーンとして成熟してきたパーツだ。

ニューBMW2シリーズ アクティブツアラーには、内装などに何か物足りなさを感じてしまう。

コントローラーの代わりに音声操作とタッチ

直列6気筒とドライバーに傾いたコックピットだけに、コントローラーはとっくにブランドのDNAの一部になっていた。それが消えた。今は触れるか触れないかの時代だ。アプリのようなアイコンで機能を探す必要があり、時にはサブメニューに分岐している。エアコンのコントロールもモニターに移ったことで、決してより使いやすくなったわけではない。また、数十年来のようにウインカーレバーでオンボードコンピューターを操作できなくなったことは、ノスタルジックな人々にとっては心臓を刺されるような思いがすることだろう。

【車両データ】

モデル BMW 223iアクティブツアラー
パワーユニット 4気筒ターボ+電動モーター、フロント縦置き
排気量 1998cc
最高出力 204PS@5000rpm+19PS
最大トルク 320Nm@1500rpm
最高速度 241km/h
駆動方式 前輪駆動、7速デュアルクラッチ
全長/全幅/全高 4386/1824/1576mm
ホイールベース 2670mm
トランク容量 415~1405リットル
平均燃費 16.3/ℓ
CO2排出量 140g/km
基本価格 41,500ユーロ(約560万円)より
価格 49.350ユーロ(約666万円)より

「アクティブツアラー」のボイスコントロールはスムーズに素早く作動し、「Hey BMW」で起動することができ、さらに積極的に働きかけることができる。多くのドライバーがアシスタントの深みにはまらないことをBMWで知っているかのように、システムは定期的にそのヘルプを提案する。駐車するときも、高速道路を半自動で走るときも。とにかくここは大きく変わった。アシスタントを全部挙げると、紙幅が足りなくなる。何より、どれも日常的に使えるようにきめ細かく調整されており、煩わしいというよりは、助かるという感じだ。

もう少し快適であることが望まれる

走りの印象も基本的にポジティブなものだ。システム出力218馬力のマイルドハイブリッドは非常にパワフルで、標準装備の7速デュアルクラッチトランスミッションは目立たないように作動する。発進時の小さなゴロゴロ音と、シフトダウンする前に考える秒数だけが、以前のトルコンATへの憧れを抱かせる。

ソフトというよりハード: Mスポーツサスペンションは良く調整されているが、もう少し快適性があってもいいのでは?

アダプティブダンパーとはいえ、15mmも下げられたMスポーツのサスペンションは、もう少しワイドに広げて解放してあげるべきだろう。セッティングはしっかりとしているが、熟年層にはもう少し快適さが必要かもしれない。

【測定値】

0-50km/h加速 2.7秒
0-100km/h加速 6.7秒
0-130km/h加速 10.5秒
0-160km/h加速 16.1秒
0-200km/h加速 30.1秒
60-100km/h中間加速 3.5秒
80-120km/h中間加速 4.4秒
制動距離@100km/h 34.1メートル

その快適さを提供するのが、完成度の高いインテリアだ。4人分の十分なスペースと、細部へのこだわりを実現している。多くの競合モデルとは対照的に、窓枠は完全に覆われているため、金属むき出しの状態を見る必要はない。ボンネットの下は、すべてがきちんと塗り分けられていることがわかる。どちらも希少なものであり、本物のプレミアムメーカーとその模倣品との違いを示す完璧な例だ。

BMWは高値を要求する

もちろん、その高水準は価格に反映されている。「223i」は41,500ユーロ(約560万円)からで、いくつかのエクストラをつけると50,000ユーロ(約675万円)にすぐ手が届く。すべての技術の背後に、まだ本当のBMWがあるのか、という疑問が残るが、「デジタルアシスタントとして、あなたが私を必要とする場所ならどこにでもいます」と、かつては単にクルマとしてだけ扱われていたBMWは音声で応える。

BMW 223iアクティブツアラー: 初試乗

「BMW 223iアクティブツアラー」は、回転式プッシュボタンを使用しない新しいコントロールシステムで新境地を開拓している。
フロントには、これまた極めて大きく広々とした自己完結型のダブルキドニーグリルがある。
リアもエプロンに隠れるように排気管が配置され、ストローマーを意識させる。
「iX」や「i4」との近似性は、内部でも継続されている。「アクティブツアラー」にも第8世代のiDriveが採用されているのだから無理はない。iPhoneにホームボタンがないような、飛躍的な進化を遂げている。少なくともBMWは、センターコンソールの丸い回転式プッシュボタンを廃止している。エアコンもモニターに移ったが、それによって、より使い勝手がよくなったわけでは決してない。
数十年来のようにウインカーレバーでオンボードコンピューターを操作できなくなったことは、ノスタルジックな人々にとっては心臓を刺されるような思いがすることさろう。
ボイスコントロールはスムーズに素早く動作し、「Hey BMW」で起動することができ、さらに積極的に働きかけることができる。BMWは定期的にアシストを提案する。
2列目でも長時間の移動に適した形状のシートを備えている。完成度の高いインテリアは4人分の十分なスペースと細部へのこだわりが感じられる。
システム出力218馬力のマイルドハイブリッドは、路上で非常にパワフルであり、標準装備の7速デュアルクラッチトランスミッションは目立たないように作動する。
アダプティブダンパーとはいえ、15mmも下げられたMスポーツのサスペンションは、もう少しソフトしてあげるべきだろう。

結論:
「2シリーズ アクティブツアラー」は、SUVでなくても高い位置に座れることを証明している。素晴らしい空間コンセプト、良い出来栄え、ドライブもほとんど不満はない。あとは高価な価格と操作に慣れるだけだ。
AUTO BILDテストスコア: 2-

【ABJのコメント】
今度の「BMW2シリーズ アクティブツアラー」は、ずいぶん攻めたデザインになったと感じた。エクステリアデザインの過剰なまでのデザインも、内装のディテール処理なども、今までの「アクティブツアラー」がファミリー向けにもほのぼのとして使えそうだったものと比べ、かなりとがった先鋭的なイメージのものである。もちろんこれは他のBMWのラインナップと歩調を合わせての統一イメージでもあるのだが、アグレッシブなデザインに変貌したことは確かである。

実際に乗ってみても今回のモデルは走りを重視し、乗り味もより硬質なものになっているとレポートされているが、パワーも十分以上だし、性能もこのクラストップのものである。当初はニッチ商品かと思われた「2シリーズ アクティブツアラー」だが、結構ヨーロッパでは人気も高く、販売もなかなか好調と聞く。適当なサイズと価格が好調の原因と考えられるが、今回のモデルチェンジでより一層人気が高まるのではないか、と考えられる。BEVでなく内燃機関のモデルという部分も、まだ現在では受け入れられやすいのかもしれない。(KO)

Text: Berend Sanders and Malte Büttner
加筆: 大林晃平
Photo: BMW AG