【初テスト】 新型VW T7マルチバンいよいよ市場投入 ドライビングインプレッションを含むすべての情報をお届け

195

VWマルチバンはすべてが新しい。

新しいマルチバンはリアベンチシートを廃止し、ポロGTIエンジンを搭載。T7は、個別のシート、MQBアンダーボディを備え、これまでよりもはるかに快適になっている。すべての情報とファーストドライビングインプレッションをお届け。

コンテンツ一覧:
➤ 市場ローンチ時期と価格
➤ 外観
➤ サイズと牽引能力
➤ プラットフォーム
➤ コックピット
➤ リア
➤ アシスタントシステム
➤ コネクティビティ
➤ ドライビングインプレッション(アップデート情報!)
➤ ドライブトレイン

● VW T7マルチバンは、「MQB Evo」プラットフォームをベースにする予定
● VWバス初のプラグインハイブリッド車を設定
● リアベンチシートを廃止し、調整可能な個別シートを採用
● 価格:44,839ユーロ(約595万円)から

市場投入と価格:新世代ブリは高価になっている

ドイツでは根強く、高い人気を誇るTモデル(ブリ=マルチバン)がフルモデルチェンジし、第7世代として登場した。
新型「VW T7マルチバン」は、ゴルフベースの史上最大モデルとなる。
第7世代では、マルチバンとしてのVWバスは、プラットフォームを変更し、将来的には「MQB-Evo」コンストラクションキットを使用する。
フロアアッセンブリーの変更により、新型「ブリ」の電動化が可能になったが、汎用性の高いハノーバーのバックボーンには従来のドライブトレインが残されている。
VWの商用車部門は、1985年に、「T3」シリーズでマルチバンを発表した。
それから35年以上が経過し、現代のニーズに合わせて、インテリアのコンセプトが見直された。

新しいプラットフォームにもかかわらず、商用車の愛好家や、純粋に商売車用にも十分な価値を提供している。
すなわち、「T6.1」が、バンとキャンピングカー(T6.1カリフォルニア)としてラインナップに残ることになる。
「マルチバン」だけは、例外的にゴルフのベースグループに属すように変更された。
市場投入は2021年11月で、価格はさらに上昇するという。
「T7マルチバン」は、1.5リッター「TSI」で、44,839ユーロ(約595万円)からとなっているからだ。
全長5.17メートルのロングバージョンには、いずれも1,862ユーロ(約25万円)の追加費用がかかる。

価格一覧:
ガソリンエンジン:

VWマルチバン1.5 TSI: 44,839ユーロ(約595万円)から
VWマルチバン2.0 TSI: 49,932ユーロ(約644万円)から

プラグインハイブリッド:
VWマルチバンeハイブリッド: 57,174ユーロ(約760万円)から

ディーゼル:
VWマルチバン2.0 TDI: 48,748ユーロ(約650万円)より

外観: VWキャディに似ているマルチバン

「マルチバン」の外観は、フロント部分で「キャディ」に似たものとなっている。
ヘッドライト、グリル、エプロンなどのレイアウトは、大容量のステーションワゴンを強く意識したもので、VWの実用的な乗用車モデルのラインにバスを統合している。
エンジンフードは先代よりもフラットになり、フロントガラスとの角度が大きくなっているが、これもフラットだ。
サイドビューでは、サイドミラー前の三角窓が印象的で、標準装備のLEDヘッドライト(オプションのマトリックスLED)と、同じく標準装備のLEDテールライトが視覚的なラインで結ばれている。

T7は、スプリットテールライトを採用した最初のブリとなる。水平に配置されている。

新型「VWバス」には2枚のスライドドアが標準装備されている。
リアには、VWトランスポーターでは初めてとなる、水平に配置されたスプリットテールライトが採用されている。
モデルのレタリングは中央に移動しているが、ロゴの下ではなく、ナンバープレートのくぼみの下にある。
「T7マルチバン」のルーフは、リアに向かってわずかに傾斜し、最後にはルーフエッジスポイラーが付いている。

サイズと牽引能力: VW T7はT6.1よりもわずかに大きい

新型マルチバンは、ほぼすべての寸法でわずかに大きくなっており、ボディは、ショートバージョンとロングバージョンの2種類がある。

サイズ一覧:
● 全長: 4973mm(ショート)/5173mm(ロング)。
● 全長: 4973mm(ショート)/5173mm(ロング)
● 全幅:1941mm
● 全高: 1903mm
● ホイールベース: 3124mm
● トランク容積:
ショートバージョン: 469リットル~3672リットル
ロングバージョン: 763リッター~4053リットル
● 牽引能力: 最大2000kg

プラットフォーム: マルチバンがついに乗用車に

フォルクスワーゲンは、「T4」を最後に、人気の高いバンを乗用車のセグメントに近づけ続けている。
それにもかかわらず、すべての派生モデルは商用車のプラットフォームを共有していた。
これが2021年に変わることになる。
フォルクスワーゲンは今後、「T」シリーズを3つの柱で構築していく。
ベースとなるのは引き続き現行の「T6.1」で、「トランスポーター」、「カラベル」、「カリフォルニア」として、商用車やキャンピングバスとしての要件を満たしていく。

「T7」として、マルチバンは、ゴルフもベースにしている「MQB Evo」プラットフォームに切り替わる。
現行の「ゴルフ」のインフォテインメントシステムや、最新のアシスタンスシステムに加え、フロアアッセンブリーでは、何よりも「マルチバン」の電動化の可能性がある。
これにより、「T」シリーズに初めてプラグインハイブリッドモデルが登場する。
2022年以降、最後の柱となるのはオール電化の「ID.Buzz」で、貨物仕様として新型「MEB」も採用される予定だ。

コックピット: ゴルフ8のインフォテイメントを搭載したマルチバン

コックピットは、「VWバス」ではかつてないほどデジタル化されている。
基本的には、スクリーンやステアリングホイールを含むダッシュボードを「ゴルフ8」から、新型「マルチバン」に移植している。
操作面では、ボタンの大部分がなくなり、タッチサーフェスに置き換えられている。
ステアリングホイールには、マルチファンクションボタンが残されている。
10.25インチのモニターがデジタルコックピットとなり、インフォテイメントは10インチのタッチスクリーンで操作する。
App-Connectによるスマートフォンとの連携は、すでに基本装備で可能となっている。

T7のコックピットは、基本的にはゴルフ8のものを継承しており、従来のボタンに代わって多くのタッチサーフェスが採用されている。

また、「VWバス」らしく、運転席と助手席にはアームレストが装備されており、上位の装備ラインでは標準装備となっている。
「マルチバン」では、将来的にDSGのギアシフトはトグルスイッチでのみ選択可能となり、セレクターレバーや機械式ハンドブレーキはなくなる。
また、モデルチェンジを機に、電動パーキングブレーキに変更される。
インテリアの雰囲気は、希望すればゴルフよりも重厚感のあるものになる。
装備によっては、ウッドによるデコレーションも用意されており、バスの家庭的な雰囲気を醸し出すことも可能となっている。

リア:リアベンチシートはないが、シートヒーターはある

「マルチバン」に興味を持つ人は、このクルマをさまざまな仕事に使いたいと思っている。
そして、VWはこの可変的なユーティリティーの価値をニューモデルでも約束している。
しかし、これまですべての「マルチバン」に標準装備されていた3人掛けのリアベンチシートは、「T7」では廃止され、代わりに「バス」用のスライド式個別シートが用意されている。
そのため、「バス」にはスリーピングエリアはもはや存在しないが、それを補うために、モジュール式のインテリアコンセプトを採用し、シートアレンジによっては「E-BIKE」の搭載も可能にしている。

マルチバンではリアベンチが廃止され、個別のシートとなる。センターから出るテーブルも作りが良さそう。

フロアに設置されたレールシステムは、シートの位置を変えることができ、電源も装備されている。
これにより、必要に応じて外側のシートにオプションのシートヒーターを装着することができるようになっている。
「マルチバン」初のパノラミックガラスルーフに加えて、リアの最大のハイライトとなりそうなのが、可変式のセンターコンソールだ。
車体のほぼ全長に渡って移動することができ、収納スペースに加えて、2つのテーブルを収納することができるようになっている。
また、使用する場所をずらすことで、前席との間にコンソールをスライドさせることができ、「ブリ」としては初めて運転席と助手席の間に収納スペースを標準装備した。

アシスタント: MQBがマルチバンを半自動で動かす

新型マルチバンは、新しい乗用車用プラットフォームを採用することで、現在他のフォルクスワーゲンが提供している安全システムをほぼすべて採用している。
「トラベルアシスト」では、アダプティブクルーズコントロールなどの機能と、レーンキーピングシステムを連動させている。
これにより、半自律的な自動走行が可能となった。

MQB Evoプラットフォームには、マルチバンにも採用されている数々のアシスタンスシステムがある。

アシスタンスシステム一覧:
● ストップ&ゴー(車間距離制御)機能付き「ACC」
● 4個のカメラで周囲を360度見渡せる「エリアビュー」。
● パーキングアシスト(ターンオフアシストを含む)
● 坂道発進アシスト
● Car2X(ローカルウォーニングシステム)
● エマージェンシーアシスト(緊急時の停止支援)
● ABS、ASR、EDS付きESC
● 脇腹保護
● シティエマージェンシーブレーキ機能を含む「フロントアシスト」
● スピードリミッター付クルーズコントロールシステム
● IQ.DRIVEトラベルアシスト(自律運転、レベル2)
● レーンアシスト(車線逸脱警報システム)
● ライトアシスト(ハイビームアシスト)
● 眠気検知機能
● マルチコリジョン(多重衝突回避)ブレーキ
● パークパイロット(車間距離警報システム)
● プロアクティブ対向車(&歩行者)プロテクション
● リアビュー(後方監視カメラ
● タイヤ空気圧監視システム
● クロスウィンドアシスト
● サイドアシスト(車線変更支援)退出警告システム
● トレーラーアシスト(トレーラー操舵支援システム)
● 交通標識認識

コネクティビティ: 新型VW T7に搭載されたMIB 3.2、フルコネクティビティ

「ゴルフ」と同様に、「マルチバン」のインフォテイメントも、「MIB 3.2」をベースにしている。
フルデジタルのインストルメントクラスターに加えて、「ブリ」のシステムも10インチのタッチスクリーンで操作する。
また、VWでは初めて「バス」にヘッドアップディスプレイを搭載している。
どのトリムレベルを選択しても、基本的なインフォテイメントとして「Ready 2 Discover」が採用されている。
これには、無料の内蔵型「eSimカード」がすでに含まれており、常にオンライン状態になっている。
ナビゲーションはここでは利用できないものの(後に車内で追加可能)、ヘッドユニットのApple CarPlayやAndroid Autoを使って、App Connect経由でGoogle MapsやApple Mapsにアクセスできるようになっている。

車と携帯電話を接続したい場合は、有料の「We Connect Plus」サービスを利用することで、さまざまな車両機能にアクセスできるようになる。
このサービスでは、携帯電話を使って、「マルチバン」のロックを解除・施錠したり、走行前に室内の空調を事前に設定したりすることができるようになっている。
スマホは「USB-C」ソケットを介して車両に接続され、音楽ファンは14個のスピーカーと840ワットのパワーを持つオプションの「ハーマンカルドン(Harman Kardon)製サウンドシステムを利用できるようになっている。
安全性もコネクティビティの一翼を担っている。
「ゴルフ8」と同様に、「マルチバン」にも、「Car2X」通信が搭載されており、他の車両や周辺の交通インフラとのネットワーク接続が可能となっている。

ドライビングインプレッション: 乗用車のようなハンドリングを実現

路上では、「T7」は非常に説得力がある。
1.4リッターの控えめなエンジンを搭載しているにもかかわらず、今回試乗したプラグインハイブリッド車は、まるで乗用車のように扱いやすかった。
電動モーターとの組み合わせで、最大218馬力を発揮し、最長50kmを電動のみで走行することができる。
積載時や坂道でのみ、6速DSGはモーターに高いエンジン回転数を要求するが、それは「マルチバン」のゆったりとしたキャラクターにはあまり似合わない。
そのため、ゆったりとした気持ちでクルーズした方が、ローリングノイズやリアの風切り音が気にならなくなる。

負荷時や坂道でのみ、6速DSGは高いエンジン回転数を要求する。

ドライブトレイン: プラグインハイブリッドモデルのマルチバン

「VWバス」の歴史の中で、ニーダーザクセン州の会社が初めてプラグインハイブリッドドライブを搭載したモデルを提供する。
「マルチバンeハイブリッド」は、1.4リッターTSI(150馬力)と電動モーター(85kW/116ps)により、218馬力のシステム最高出力を発揮するとともに、13kWhのバッテリーを搭載し、都市部でのオール電動走行を可能にする。
航続距離は明らかにされていないが、プレスリリースによれば、1日の走行距離は50kmを少し下回る程度とのことだ。
プラグインハイブリッドモデルに加えて、VWは従来のパワートレインを搭載したマルチバンを引き続き提供する。
2種類の「TSI」ガソリンエンジンとディーゼルが用意されているが、セルフイグナイターの搭載は2022年までの予定となっている。
「1.5 TSI」ガソリンエンジンは、最高出力136馬力、最大トルク220Nmを発揮する。

一方で、より大きな「2.0 TSI」は204馬力、最大トルク320Nmを発生する。
このエンジンは、「ポロGTI」、「ゴルフGTI」、「ゴルフR」にも搭載されており、エンジンコードは「EA888」となっている。
どちらのガソリンエンジンにも7速DSGが組み合わされる。
来年には、まだ名前のない「TDI」が150馬力を備えて登場する予定だ。
VWは新型車に全輪駆動を提供しないため、「T6.1マルチバン」の1モデルのみが全輪駆動モデルとしてラインナップに残る。
204馬力の「2.0 TDI」と4MOTIONが生きる可能性があり、「ブリ」の重い荷物を引っ張る能力が確保される。

エンジンラインナップ一覧:
プラグインハイブリッド:
● VW T7マルチバンeハイブリッド
システム最高出力: 218馬力
トルク: 350Nm
純電動航続距離: 約50km
トランスミッション: 6速DSG

ガソリンエンジン:
● VW T7マルチバン1.5 TSI
最高出力: 136馬力
トルク: 220Nm
トランスミッション: 7速DSG
● VW T7マルチバン2.0 TSI
最高出力: 1.204馬力
トルク: 320Nm
トランスミッション: 7速DSG

ディーゼル:
● VW T6.1マルチバン2.0 TDI 4MOTION
最高出力: 204馬力
トルク: 450Nm
トランスミッション: 7速DSG
● VW T7マルチバンTDI(2022年~)
最高出力: 150馬力
それ以上のデータは現時点では不明

結論:
2003年に登場した「T5」は、その後、2度の改装(T6、T6.1)を経て、今こそ「マルチバン」のニューバージョンが必要な時期となった。
VWは良い仕事をしてくれた。
広々としたスペース、高い可変性、ニーダーザクセン州のエンジニアたちの経験が細部にまで反映されていることなど、「T7」はまさにバンのあるべき姿となって戻ってきた。
そして、それは見た目も紛れもないものだ。
好感が持てる。

いよいよフォルクスワーゲンの「T7マルチバン」の登場となった。おそらくこのクルマを開発するにあたり、フォルクスワーゲンの開発部署では、トヨタの「アルファード」を購入したり、調査したりしたのではないだろうか。こういった高級ミニバンはホテルやリゾート地、さらには企業の送迎用などにも用いられる時代であり、その中でもトヨタのミニバンは、特にアジアにおいて圧倒的に人気があり、独占状態ともいえる。
そんなことをフォルクスワーゲンともあろうものが知らないわけはなく、このクルマを開発する時のライバルの一台として、「アルファード」は必ずどこかにあったことだろう。
もちろんセグメントも、狙いも、全く違うことは言うまでもないが、フォルクスワーゲンのラインナップの中でも今回の「T7」は大変重要なモデルになるはずだし、このような高級なモデルが売れることは利益を多く生むことなので必須なのである。
それにしても、辟易するようなメッキによる厚化粧の、押し出しの強い日本のミニバンに比べ、この「フォルクスワーゲンT7」は、なんともシンプルで格好いいではないか。ツートンカラーのボディも感じ良い。
もうこの時点で個人的には文句なくこちらを選びたくなるし、これからますます迫力を増すであろう、日本のミニバンの姿と比べ、なんとも大人な姿で美しい。日本のミニバンにこういうデザインを求めても永遠に無理なのだろうか。
日本市場投入はあるのだろうか、あるとすればいつになるのだろうか、が気になるところだ。

Text: Dirk Branke, Malte Büttner and Andreas Huber
加筆: 大林晃平
Photo: Volkswagen