パガーニ自身が語る動画付き ハイパーカー パガーニ ウアイラR正式発表 鍵となるデータを含むすべての情報

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超限定モデル パガーニ ウアイラR: メルセデスモータースポーツ部門の開発した自然吸気V12エンジンを搭載した初のパガーニモデル ファーストインプレッション

パガーニ ウアイラRは、再設計された自然吸気の850馬力V12エンジンを搭載、乾燥重量は1,050キロで、ベース価格は税込みで300万ユーロ(約3億9千万円)を超えるモデルだ。このウアイラRは、歴代のパガーニの中で最も過激なモデルとなる。パガーニが彼自身のフィロソフィーと開発コンセプトを語る動画とともに最新情報をお届けする。

そのパガーニは、レーストラック走行のためだけに開発されたモデルだ。
イタリアのハイパーカーブランドであるパガーニは、この新型「「ウアイラR」」で、「ロードスターBC」に次ぐ「ウアイラ」の最後の進化のステージであるだけでなく、「史上最も過激なパガーニ」と称するモデルを発表した。
2009年に発表された「ゾンタR」同様、完全に新開発されたエンジン、「パガーニV12-R」を搭載した、レーストラック走行のためだけに作られた「ウアイラ」のスーパーハードコアバージョンだ。
その数字を見ただけでも、鳥肌が立つ。
最高出力850馬力、最大トルク750Nm、最高速度@9,000rpm、そして乾燥重量わずか1,050kg。

➤ デザインと第一印象
➤ ヒストリー
➤ 鍵となるデータ
➤ エンジン
➤ エアロダイナミクス
➤ 価格と生産台数
➤ 結論

我々は、幸運にもすでにパガーニの「ウアイラR」の実物を直に見ることができた。
その背景を振り返ろう。
2020年9月、私は世界で最初に「ウアイラ ロードスターBC」のハンドルを握ったジャーナリストの一人となった。
そして、それだけでは物足りないと思ったのか、パガーニ社はイタリアのモデナ県サン チェザーリオ スル パーナロにある工場の現場で、私にもうひとつのサプライズがあることを教えてくれた。
それがこの「「ウアイラR」」で、半年ほど前、私は初期のプロトタイプ、いわゆるモックアップ(すぐに乗れる車ではない)を見る機会を得た。
残念ながら当時は写真撮影が許されておらず、すべてが極秘だったのだが、「「ウアイラR」」の1:1スケールモデルは、現在公開されている写真とほぼ一致していた。
最大の違いは、現在公開されている「「ウアイラR」」とは異なり、モデルがフルカーボンシルバーで塗装されていたことだ。

横から見ると、ウアイラRはウアイラ ロングテールに近い形をしている。テールが張り出し、ウィングはフラットなデザインだ。

当時も今も、私の最初の感想は同じもので、この「ウアイラR」は、「ウアイラ」の他のどのバージョンよりも、2009年に発表された「ゾンタR」を思い出させる。
特に、細くて特徴的なヘッドライト、巨大なエアインテーク、大型スプリッターを備えたフロントは、レーストラック版の「ゾンタR」と紛らわしいほど似ている。
横顔を見ると、「ウアイラ」との親和性がはっきりと見て取れ、リアエンドがより長く見え、「ウアイラ」のロングテールのように見える。
そして「ウアイラR」のリアは特に印象的だ。
「ゾンタR」同様、完全にオープンなデザインで、特徴的な中央の4本のテールパイプを持つエグゾーストシステムが目を惹く。
細いLEDのアーチがテールライトとなり、XXLサイズのディフューザーにはイタリアのトリコロールカラーが配されている。
リアウイングは完全に再設計され、その巨大なサイズにもかかわらず、ほとんどフィリグリーのように見える。
「ポルシェ911 GT3」や「マクラーレン セナ」などのスポーツカーで人気のあるグースネック型とは対照的に、イタリア人はクラシックな構造を採用していて、ウィングのフラットな角度と、2つのエアベントで縁取られた大きなウイングサポートが印象的だ。

しかし、2020年9月以降に変更されたディテールもある。
それは、ドアだ。
クーペバージョンの「ウアイラ」は、「メルセデス300SL」のスタイルであるガルウィングドアを採用しているが、「ウアイラ ロードスター」は、そのデザイン上、従来のドアが装着されていた。
しかし私が工場を訪れたとき、モックアップにはガルウィングドアのヒンジは見当たらなかったのだった。
開発スタッフに聞いたところ、当初は「ウアイラR」もノーマルドアの予定だったとのこと。
しかし、どうやら計画はその後変更されたようで、新しいレンダリング画像では、「R」にはメルセデスSLRマクラーレンのようなフロントヒンジ式のガルウィングドアが備わっている。
それは「ウアイラR」にうまくフィットしているように思える。
それよりも、正直なところ、今回の内覧会で一番気になったのは、とにかくエンジンのことだった。

すべては2009年のゾンタRから始まった

しかし、「ウアイラR」の核心に迫る前に、もう一度パガーニの長年にわたるプロジェクトを振り返ってみたい。
2008年のことだが、その頃、パガーニのチームはすでに「ウアイラ」の開発に全力で取り組んでいた。
「ゾンタ」の後継車が発表されたのは2012年だが、最初のドラフトスケッチは2003年にはできていた。
「ウアイラ」の開発と並行して、2008年にはもうひとつのプロジェクトであった、「ゾンタ」が完成間近だった。
「ゾンタ」はレーストラック専用のパガーニで、2009年のジュネーブモーターショーで発表され、15台が製造された。
AMGが開発した最高出力750馬力の6.0リッターV12エンジンを搭載した「ゾンタR」は、2010年にニュルブルクリンクサーキットでその速さを証明した。
6分47秒50というタイムで、ニュルブルクリンク北コース、ノルトシュライフェ(通称緑の地獄)でのレースカーのラップレコードを樹立、「フェラーリ599XX」のタイムを11秒も上回ったのだった。
それから12年後となる今回、イタリア人はブランドの最も過酷なモデルとなる「ウアイラR」を発表したのだった。

In 2009, Pagani presented the Zonda R, a pure racetrack model.

パガーニ ウアイラR: キーデータ
● 史上もっとも過激(ハイパー)なパガーニモデル
● レーストラック限定モデル(非公道走行仕様)
● 新型パガーニV12-R(6リッター自然吸気V12エンジン)搭載
● メルセデスモータースポーツ部門(HWA)開発エンジン
● 最高出力: 850馬力&最大トルク: 750Nm
● 最高速度@9,000rpm
● 乾燥重量: 1,050kg
● 最高の安全基準に合致
● 30台の限定生産
● 価格: 260万ユーロ(約3億4千万円)+税

メルセデスモータースポーツ部門開発の自然吸気V12エンジン搭載

「史上最も過激なパガーニ」には、当然ながら特別なエンジンが搭載されている。
「パガーニV12-R」というシンプルな名前のこのエンジンは、パガーニ史上最もパワフルな自然吸気エンジンであり、「ウアイラ」に搭載された最初の自然吸気エンジンでもある(850馬力、750Nm)。
しかし、この6.0リッターV12は、純粋な数字以上のものを持っている。
「ゾンタR」の自然吸気V12をさらに発展させたものではなく、26基しか製造されなかった「メルセデスCLK GTR」のエンジンをベースに、メルセデスのモータースポーツ部門である「HWA AG」とのコラボレーションによって実現された、まったく新しく開発されたパワーユニットなのだ。
しかし、大きな問題がひとつあった。
それは、HWA社もメルセデスAMGも、現在は、自然吸気のV12エンジンを製造していないという事実だった。
そこで唯一の解決策は、「パガーニV12-R」を完全に新開発することだった。
ここで、他のすべての「ウアイラ」モデル(クーペ、BC、ロードスター、ロードスターBC、イモラ)がV12ツインターボを搭載しているのに、なぜ「ウアイラR」は自然吸気エンジンを採用しているのかという疑問が湧くかもしれない。
パガーニ社によれば、これには簡単かつ明快な答えがある。
彼らの得意客の多くが自然吸気エンジンの復活を望んでおり、いかなる制限や規制にも屈しない100%妥協なしの「ウアイラR」は、そのための完璧なプロジェクトなのだ。

アーチ型のLEDテールライトとトリコロールカラーのディフューザーを採用した華やかなリアエンド。

決定的なアドバンテージは、エモーションだ。
850馬力のフルパワーは8,250rpm時に、750Nmの最大トルクは5,500rpm時に発揮される。
そして9,000rpmでの回転時にリミッターが効くようになっている。
「ゾンタR」のライブ演奏を聴く機会に恵まれた人なら、30人の顧客が自然吸気エンジンを望んだ理由を理解できるだろう。
巨大なパワーにもかかわらず、パガーニにとって新エンジンの基本的な要件は軽量化であった。
2年以上の開発期間を経て、最終的には198kgという軽量化を実現し、エンジニアたちも満足した。
また、高回転型のエンジンは、1万キロごとのメンテナンスで済むという、レース用エンジンとしては長いインターバルも獲得している。

しかし、どんなに優れたエンジンでも、適切なトランスミッションがなければ意味がない。
そこで、「パガーニV12-R」と並行して、6速のシーケンシャルトランスミッションが新たに設計開発されたのだった。
このトランスミッションは、3プレートの焼結金属製クラッチを備え、重量は80kgと軽量で、エンジンと同様にモノコックにしっかりと固定されている。
自然吸気のV12エンジンが自由に呼吸し、「ウアイラR」がレーシングカーのようなサウンドを奏でるために、パガーニは特別モデルのためにインコネル製のエキゾーストも開発した。

時速320km時に1,000kgのダウンフォースが「ウアイラR」の目標だった

パガーニといえば、洗練されたエアロダイナミクスを重要視するブランドとして知られている。
創業者のオラシオ パガーニがエンジニアに課した目標は、時速320km時に1,000kgのダウンフォースだったが、これは最初の設計でも有望な数値だった。
シミュレーションによれば、空力分布は46〜54%だった。
しかし、完璧主義者のオラシオ パガーニはまだ満足していなかった。
彼にとって、「ウアイラR」の外観は、あまりにもテクニカルでクールな印象があったのだ。
パガーニがデザインのモデルとしたのは、「フェラーリP4」や「フォードGT40」、そしてもちろん、彼自身の大のお気に入りである「ポルシェ917」など、1960年代から70年代にかけての伝説的なル マン用レーシングカーだった。

パガーニ 「ウアイラR」は、メルセデスSLRマクラーレンと同様のフロントヒンジ式ガルウィングドアを採用している。

今日の多くのレースカーとは異なり、これらのクラシックカーは風洞シミュレーションだけで作られたものではなく、それでも非常に速いマシンだった。
そのため、「ウアイラR」の最初のデザインは修正する必要があった。
「デザインはよりエキサイティングでエモーショナルなものにする必要があったのですが、不思議なことが起こりました」とオラシオ パガーニは明かす。
「ウアイラR」のデザインは美的観点からのみ変更されたのだが、エアロダイナミクスもそれだけで改善されたと言う。
最終的な結果は、デザイン的な観点だけでなく、対応する空力的な価値においても、総司令官であるオラシオ パガーニを納得させるものとなったのだった。

パガーニ、ドイツで309万ユーロ(約4億円)の価格を提示

パガーニの「ウアイラR」について多くのことを学んだが、まだいくつか、初歩的な疑問が残っている。
まず、生産台数についてだ。
パガーニが製造する「ウアイラR」は限定30台で、「ゾンタR」の2倍、さらに過激な800馬力の「ゾンタ レボルシオン」の6倍になる。
イタリアでの販売価格は260万ユーロ(約3億4千万円)+税金で、ドイツの我々にとっては309万ユーロ(約4億円)となり、「ウアイラR」は世界で最も高価なレーストラックマシンの1台となる。
特に、対応する規制に部分的に準拠していないため、公道走行の認可が得られず、購入した顧客は「ウアイラR」をサーキットやテストコース以外では運転することができない。
しかし、パガーニはその解決策を用意している。
フェラーリに倣って、イタリアでは「アルテ イン ピスタ」と呼ばれるプログラムを開始した。
このプログラムでは、顧客はパガーニの公式サポートを受けながら、世界各地の厳選されたレーストラックに宝物を持ち出してドライブすることができるようになっている。
最後に、最大の質問だ。
「ウアイラR」は、最後の「ウアイラモデル」なのだろうか?
それに対してパガーニは肯定的に答えているが、「ゾンタ」の歴史を見れば、何かが起こる可能性に対する疑念は捨てきれない。

結論:
幸運なことに、私は「ウアイラR」の開発の初期段階から今回のプレビューまでプロジェクトに接し、見続けることができた。
そしてそのプレビューでは、関係者全員の誇りを文字通り感じることができた。
私個人としては、「HWA」が開発した6.0リッター自然吸気V12エンジンであれば、300万ユーロ(約4億円)をサン チェザーリオ スル パーナロに送金する十分な理由になると思う。

Text: Jan Götze
Photo: Pagani