エンジンルームの時限爆弾

207

タイミングベルト: タイミングベルトの交換タイミング(とコスト)

タイミングベルトの指定交換時期を越えて放っておくと、自動車の心臓部であるエンジンを壊す可能性がある。
そこで今回はいつ頃交換すべきなのか、その「タイミング」を教えよう。

Photo: Hartwig Huckfeldt

➤タイミングベルトはいつ交換すればいいのか?
➤タイミングベルトを交換するコスト
➤タイミングベルトの機能
➤タイミングベルトを交換するとき一緒に交換されるパーツ
➤タイミングベルトの長所と短所
➤タイミングベルトの定期的なチェック
➤中古車を購入する際はタイミングベルトに注意するべきだ
➤参考資料:タイミングベルト交換時期

エンジンはタイミングベルトなしでは作動しない。カムシャフトを駆動し、吸気バルブと排気バルブが適切なタイミングで開閉するようにしなければならないからだ。
しかし、時間が経つにつれて、タイミングベルトは熱や湿気、オイルなどの付着で劣化する。そのため、定期的に交換する必要がある。交換しないでいると、タイミングベルトが破損して、大きなエンジン損傷が発生してしまうからだ。

Photo: Werk

タイミングベルトはいつ交換すればいいのか?

タイミングベルトを交換する必要がある時期は、クルマによって異なるがその交換時期は走行距離にして通常100,000〜200,000キロといわれる。
正確な交換時期は、それぞれのクルマの取扱説明書に記載されていますし、記録簿にも記載されていることが多い。だが、すでに行われた場合でも記載なしの場合もある。
その場合にはエンジンルームのステッカーは、最後のタイミングベルトの交換を記録していることもあるが、経年変化による劣化も考慮する必要があるので注意が必要だ。
車や使用状況にもよるが、一般的にはおよそ10年を経過すると交換が必用であり、その交換タイミングに自信がない場合は整備工場。ワークショップ・ディーラーなどでチェックしてもらうことが大切だ。

今のクルマは20万キロまで以上まで性能やタイミングベルトがもつこともあるが、定期的なチェックが必要なのはいうまでもない。

交換の間隔は車種によって大きく異なり早ければ60,000キロメートルから20万キロ以上もつこともある。
だがこのような走行距離だけではなく、タイミングベルトは経年変化による劣化があるということも考慮する必要がある。
いずれにせよ、交換時期は常にエンジンの使用状況に関連しており VWゴルフ2.0などでは、走行距離20万キロ程度でタイミングベルトを交換するとよいだろう。 また 同じエンジンを使っている、パサート、トゥーランにも同じことが当てはまる。
過去数年間で、交換時期は大幅に伸びているがVWグループでは、約9万km走行を交換の目安としている。
タイミングチェーンは、タイミングベルトよりもはるかに長く性能を保つことができるので多くのメーカーが交換時期を指定していません。 ただし、金属製のこのチェーンにも問題がないわけではない。

タイミングベルトを交換するコスト

タイミングベルトを交換するコストは、その車種とエンジンによって変動する。 必要な金額は、エンジンの複雑さ、エンジンルームにおけるタイミングベルトのアクセシビリティ、およびワークショップの技術で変化する。
たとえば、2010年のOpel Astra 1.6(115馬力)の場合、一部のA.T.U支店は約340ユーロ(約42,000円)だが、ボッシュのサービスでは約480ユーロ(約60,000円)かかる。
VWゴルフVI 2.0 TDI(140馬力)では、それぞれ675ユーロ(約84,000円)、940ユーロ(117,000円)になる。
エンジンを降ろさなければタイミングベルトを交換できないモデルの所有者はさらに高い交換工賃を請求されることはいうまでもない。
またその場合には 交換には最大2日間かかるが通常は一日で終了する。

タイミングベルトがちぎれると大きな損傷をもたらすことがあり、最悪エンジンの交換が必要となってしまう。
Photo: Hans-Joachim Mau

タイミングベルトの機能

タイミングベルトは、クランクシャフトによって駆動され、2本または1本のカムシャフトとクランクシャフトの間でシンクロしつつ可動している。タイミングベルトは、ウォーターポンプやパワーステアリングなどの補助ユニットも駆動する。
タイミングベルトの主たる役目は、カムシャフトを駆動することだ。カムシャフトは、吸気バルブと排気バルブの開閉を行います。タイミングベルトに十分な張力がない、または裂け目がある場合には何が起こるかは容易く想像できよう。バルブは間違ったタイミングで開き、その後、ピストンに当たってしまうからだ。運が良ければ、この場合、バルブとシリンダーヘッドのみを交換するだけで済むが、運が悪い場合には、エンジン交換さえも必要になってしまう。

また、タイミングベルトの裂け目が必ずしもエンジンの損傷につながらないこともある。いわゆる設計上、“フリーホイール”を持つエンジンでは、ピストンとバルブはその設計により接触しない。しかし、フリーホイールは通常、圧縮率の低い古いエンジンのみである。高圧縮ディーゼルおよびターボエンジンにはあてはまらない。VWゴルフII(1984〜1991)には、90馬力の1.8リットルガソリンエンジン(エンジンコード「RP」)など、フリーホイールを持つエンジンがある。

タイミングベルトを交換するとき一緒に交換されるパーツ

多くの場合、他の部品をタイミングベルトの変更時に交換される。 通常、タイミングベルトドライブに属するコンポーネントは、新しいベルトと一緒に修理キットで提供されるからだ。 たとえば、タイミングベルトを交換するときは、新しいテンションプーリーと新しいデフレクションプーリーが必須となる。
また、タイミングベルトによってウォーターポンプが駆動される場合は、タイミングベルトの交換と同時に交換することをすすめたい。 タイミングベルトとウォーターポンプは同様に経年劣化するからだ。新しいタイミングベルトと古いウォーターポンプの組み合わせがエンジン損傷につながる可能性があるし 新しいタイミングベルトのテンションが古いウォーターポンプを壊すことは珍しくない。

タイミングベルトの長所と短所

金属製のタイミングチェーンとは対照的に、ゴムとプラスチックで作られたタイミングベルトは、静かで軽量で、摩擦が少なく動作する。コストパフォーマンスが高いうえに、完全なタイミングベルトドライブは、柔軟性が高く、タイミングチェーンのようにオイルで動く必要がないため、よりコンパクトにできる。狭いエンジンルームをもつ小型車には特に適しているといえよう。一方で、タイミングベルトは200,000キロメートル以上持続するように設計することもできる。
タイミングチェーンは、基本的に交換の必要はないが、数ミリメートルの範囲で伸びるので大抵チェーンテンショナーが付いている。
チェーンが伸びると、点火タイミングが変化して、エンジンの燃焼挙動が低下しまし、出力が低下し、ガソリン消費量が増加する。

一方、タイミングベルトの欠点としては、ベルトが突然裂ける危険性がある。これは、作動中のストレスに加えて、素材が経年劣化するためだ。恒久的な熱と乾燥、および不使用により、タイミングベルトはさらに早く劣化してしまう。また、エンジンオイルはベルトを損傷するため、タイミングベルトドライブはエンジンの外側に装備する必要がる。

タイミングベルトの定期的なチェック

タイミングベルトの損傷を防ぐため、メーカーは交換する時期を設けているが、定期的に点検することで未然にトラブルを防ぐこともできる。 したがって、定期点検の一部として、タイミングベルトのいわゆる「目視検査」が多くのエンジンに必須といえよう。 定期的な点検により亀裂を見つけることができるため、トラブルになる前にタイミングベルトを交換することができるからだ。
定期的な点検でタイミングベルトをチェックしても、その交換自体を遅らせることはできない。

Photo:von Sternenfels

中古車を購入する際はタイミングベルトに注意するべきだ

中古車の購入者は、モデルにタイミングベルト駆動があるかどうか、いつベルトを交換するかを確認する必要がある。 重要なのは車の走行距離だけでなく、年齢でもあることはいうまでもない。 クルマが新しいベルトで30,000キロしか走行していなくとも、12年もののタイミングベルトは間違いなく期限切れといえよう。
走行距離、年月、そして環境によって大きくその耐久性などは変化するからだ。

参考資料:タイミングベルト交換時期

アルファロメオ
モデル: ジュリエッタ
エンジン: 1.6 JTDM
最高出力: 105ps
費用 : 340ユーロ(約42,000円)
交換時期 : 120,000km / 4~6年

モデル: ミト
エンジン: 1.4 16V
最高出力: 95ps
費用 : 300ユーロ(約37,000円)
交換時期 : 120,000km / 4~5年

アウディ
モデル: A3 (8P)
エンジン: 1.9 TDI
最高出力: 105ps
費用 : 380ユーロ(約47,000円)
交換時期 : 120,000km

モデル: A3 (8P)
エンジン: 2.0 TDI
最高出力: 140ps
費用 : 550ユーロ(約68,000円)
交換時期 : 120,000km、150,000km、または180,000km(エンジンのタイプによる)

モデル: A4 (B8)
エンジン: 2.0 TDI
最高出力: 143ps
費用 : 660ユーロ(約82,000円)
交換時期 : 180,000km

モデル: A4コンバーチブル
エンジン: 2.0 TFSI
最高出力: 200ps
費用 : 600ユーロ(約75,000円)
交換時期 : 180,000km

フィアット
モデル: 500
エンジン: 1.2 8V
最高出力: 69ps
費用 : 250ユーロ(約31,000円)
交換時期 : 80,000~120,000km / 5年

モデル: 500
エンジン: 1.4 16V
最高出力: 100ps
費用 : 300ユーロ(約37,000円)
交換時期 : 80,000~120,000km / 5年

ルノー
モデル: メガーヌ III
エンジン: 1.6 16V
最高出力: 110ps
費用 : 530ユーロ(約66,000円)
交換時期 : 120,000km / 6年

モデル: ツイン後 (II)
エンジン: 1.2 16V
最高出力: 76ps
費用 : 325ユーロ(約40,000円)
交換時期 : 120,000km / 6年

トヨタ
モデル: アヴェンシス(第2世代)
エンジン: 2.0 D-4D
最高出力: 115ps
費用 : 530ユーロ(約66,000円)
交換時期 : 105,000km

ボルボ
モデル: V60
エンジン: D3
最高出力: 163ps
費用 : 300ユーロ(約27,000円)
交換時期 : 180,000km / 6~8年

VW
モデル: ゴルフ (IV)
エンジン: 1.4 16V
最高出力: 75ps
費用 : 300ユーロ(約27,000円)
交換時期 : 90,000km時点から30,000km毎に点検

モデル: ゴルフ (V)
エンジン: 1.4 16V
最高出力: 80ps
費用 : 290ユーロ(約26,000円)
交換時期 : 90,000km時点から30,000km毎に点検

モデル: ゴルフ (V)
エンジン: 1.6
最高出力: 102ps
費用 : 290ユーロ(約26,000円)
交換時期 : 90,000km時点から30,000km毎に点検

モデル: ゴルフ (V) GTI
エンジン: 2.0 TSI
最高出力: 200ps
費用 : 630ユーロ(約78,000円)
交換時期 : 180,000km

モデル: パサート (B7)
エンジン: 1.6 TDI
最高出力: 105ps
費用 : 500ユーロ(約62,000円)
交換時期 : 210,000km

モデル: ポロ (V)
エンジン: 1.6 TDI
最高出力: 75ps
費用 : 520ユーロ(約65,000円)
交換時期 : 210,000km

モデル: シャラン II
エンジン: 2.0 TDI
最高出力: 140ps
費用 : 550ユーロ(約68,000円)
交換時期 : 210,000km

備考
価格は概算です。

Photo: Goetz von Sternenfels
Photo: Goetz von Sternenfels

Text: Jan Kriebel